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秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中
7章―2

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283.約1年ぶりの再会と驚き

「父上ー!」

「ハリスタン」


 僕の可愛いお馬さん3兄妹が引く馬車から降りてすぐ、お城のエントランスホールに入る前にパタパタと元気良く飛び出してきたのは青みがかった黒髪に薄い赤味を帯びた目をした男の子。


 顔つきは父親似かな。

獣人さんだからか1年前と比べると随分大きくなったね。

6歳のはずなのに小学校の中頃かと思うくらいにまで成長しててびっくり。


 そして髪と同色の兎のお耳様と丸いお尻尾様がついている!


 男の子は元気よくジャンプして優しく名前を呼んだ父親に飛びついた。

同じ髪色をした父親はレモン色の目を細めて頭を撫でると力強く抱き上げた。


「父上、体はもう良いの?!」

「ああ。

少しの間ならもう問題ないよ」

「本当!

やったー!」


 男の子、ハリスタンは自分よりも逞しいその首にしがみついて歓喜の声を上げた。


「あなた、お帰りなさい」

「ちーうえ?」

「ソフィニカ、ジェティカ、ただいま」


 黒髪のサラサラストレートをまだ少し冷たさの残る春風になびかせた、ハリスタンと同じ色味の目をしたスラリとした長身の女性は本当に嬉しそうな表情で息子に続いて歩み寄る。

優しげな眼差しは少しばかり涙ぐんでいる。


 そしてソフィニカと呼ばれた彼女にも髪と同色の兎のお耳様と丸いお尻尾様が!


 舌足らずで可愛らしい幼児らしい柔らかな黒髪にレモン色の目をした女の子の外見は人属だ。

この子のお顔は母親似?

うーん、どっちにも似ている。


 離れて暮らして1年近く経ってしまったせいか、父親の認識はありつつも人見知りが発動しているみたい。

人属の2歳児らしいぷくぷく体型で可愛いね。


 夫婦は再会を慎ましく喜ぶように子供達を腕に抱えたまま抱擁する。


 感動の再会シーンだね。

ああ、揺れ動くあの黒とか青みのある黒とかのお耳様を····。


「駄目だよ、僕の可愛いアリー」


 ふらふらと一歩足を踏み出す前に、後から肩をそっと掴まれる。


「ふぐっ。

レイヤード兄様····せめてちょっと青っぽい方····」


 意識が完全にあっちに向いていたせいで、ビクッとなって変な声がでちゃった。


 軽く振り向くとちょうどできる専属侍女、ニーアがお馬さん3兄弟の引く馬車をガラガラ移動させて行くところだった。


「余計駄目。

餌を生やした野獣だから」

「そんな····」


 餌を生やした野獣ってどんなの?!


 1年前は触らせて····。


「1年前は僕も兄上もいない隙にチビ野獣が耳と尻尾と妹を餌に僕の可愛いアリーを襲撃したんでしょ。

それに父親が倒れて泣きじゃくってたチビ野獣はもう立派な野獣になったから駄目」


 何故言いたい事が?!

というかウサ耳の可愛い男の子だよ?!

兎は草食系だよ?!

野獣らしさは見当たらないよ?!

耳も尻尾も妹も餌じゃないよ?!


「とにかく····」

「アリー!!

よく来たね!

会いに来てくれて嬉しい!」


 ザッ!と地面を蹴る音と共にまだ声変わりとはほど遠い高めの声が近づく。


 兎さんが飛びついてき····。


 バチバチバチィッ!


「うぎゃ!」


 と、思ったら、雷の盾が僕達の間に出現して男の子はハエタタキでスマッシュされたかのように小さな悲鳴と共に見事に叩き落とされた。


「君に会いに来たとか何の冗談かな」

「に、兄様?!」


 この子一応他国の公子にして王位継承権持ちの順王族····。


「おやおや」

「あらあら」

「あぅあー」


 え、両親微笑ましそうに見てる?!

妹楽しそうだね?!


「アリー、抱っこー」


 えー、静電気でバチバチして髪の毛逆立ってるよ?!

ウサ耳の可愛い男の子が涙目で両手差し出すとか可愛いな!

でも今触ったら絶対バチッて鳴るやつだよね?!

さすがに触りたくなくなったよ?!


「黙れ野獣。

あざと可愛いを装うな」


 に、義兄様、さすがに6歳の子供にそれは····。


「チッ」


 えー、兎さんが舌打ち?!


「フンッ」


 スクッと立ち上がって、どっかの超がつくスーパーな人みたいに気合いを入れて体に魔力を巡らせた?!


「もう雷でパチパチしないから、大丈夫だよ。

僕エスコートできるようになったんだ。

アリアチェリーナ=グレインビル嬢、お手をどうぞ」


 ふわぁぁぁ、ウサ耳ショタってやつかな?!

ニコッと笑って手を差し出すとか、可愛いが過ぎない?!


「ふふふー、素敵王子様になったね」

「えへへ、アリーが会いに来るって聞いて、母上にお願いしてお稽古つけてもらったんだよ」

「んふふ、そうなの?」


 向こうから黒いお耳のお母さんが苦笑しながら頷いている。

大公妃殿下と練習したなんて言われたら手を取るしかないよね。


「チッ」


 ふふふー、義兄様も仕方ないって思ってくれたみたい。


 ああ、ピコピコ動くチビウサお耳様の可愛らしさよ。


 そっと差し出された僕とあまり変わらなくなった手を取····。


「久しぶりだね、私の可愛い娘。

いつから父様との約束を破る可愛い不良娘になったのかな?」


 差し出そうとした僕の手は良く知っている逞しい大人の手に取られる。


 懐かしい声、懐かしい手に驚いているうちにそのまま()()()()()()()抱き上げられた。


 一瞬の間に目線が高くなって、恋しくて仕方なかった凛々しいお顔と出くわす。


「あ····」


 驚きすぎると人って言葉が出てこないって本当だ。


「お帰り、私の可愛いアリアチェリーナ」


 レイヤード義兄様と同じ色の目が優しく細められる。


「父様!!」


 会いたくて仕方なかった義父様に抱きついた。

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