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176.甘味の試食

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

「まずはお団子です」


 義兄様達を除く人達に今給仕係されているのは胡麻団子、みたらし団子、3色団子。

3つずつ竹串に刺してみた。

竹はこっちにも存在してたんだ。

3色団子はココナッツ、抹茶、桜風味だよ。


 義兄様達は甘いのがやっぱりダメみたい。

もちろんまずは商会長さん達から配膳されていくよ。


「コアサ団子だね。

お祭りの時より小ぶりで可愛いね」

「これがジャガンダ国でいうところのミヤビってやつか?

食器も東の雰囲気があるな」

「そうだね。

うちの国の茶屋であのミィとセットにして出したら人気が出そうな見た目だよ」


 そう。

長細くて平たい和風のお皿は抹茶碗とお揃い仕様。

お団子をお皿に斜めに3列で並べてるんだ。

コンセプトはどこぞの町家カフェメニューだよ。

一部中華っぽいお団子が入ってるけど。


「これは柔らかくて素朴な味わいで美味しい!

味もジャガンダ国内の茶屋で出せそうだね」


 まずはみたらし団子を1つ頬張って微笑むカイヤさん。


「この3色団子の白いやつ。

よく見ると薄く緑なんだな?」

「ルド殿、これはヤッツではないだろうか?」

「本当だね。

ルド、ヤッツジュースと同じ風味がするよ。

緑はミィ、桃色はアリリアだね」


 王族組はまずは3色団子を味わいながらお話ししてる。

闇の精霊さんはゼスト様のみたらし団子を1つ食べちゃってるね。

おいし~って両手を頬っぺたに添えて目をきらきらしてるの可愛いな。


「ヤッツとコアサにこんな使い方があんのか?!」

「みたいだね。

コアサと餡の組み合わせはやっぱり合うね」

「ヤッツとコアサのこの風味····俺の出してる店でも使える····」


 コアサは南から西で広く作られてるようなんだけど、調べたら南では主に黒、西では主に白のコアサが流通してるみたい。

こちらの世界では白も黒も北国以外でなら大抵の国で栽培はできそうなんだ。

それぞれの国民の好みで南と西のコアサの流通カラーが別れてるんだって。


 お団子を全て食べた従兄様は新商品へのインスピレーションが刺激されてきてるのかな?


「アリーちゃん、この団子に使った食材は何なんだい?

ジャガンダ国でもこんなに柔らかくて風味のある餅は食べた事がないんだよ」


 そう聞いてきたのは全てたいらげたカイヤさん。

お気に召してくれたかな?

 

「餅ベイを水に浸して水と一緒に細かく粉砕したら、濾して残ったものを乾燥させて粉にした物を使ってお団子にしました。

冷たくしてもあまり固くならないので、こんなものも作ってみました」


 白玉粉の作り方を簡単に説明する間に給仕係が背の高いガラスの器に盛ったデザートを皆の前に置いていく。


「アイスクリームを囲むように盛りつけているのはヤッツプリン、コアサプリン、ミープリン、お団子です。

1番下に見える黒いのは、カハイゼリーです」


 半円のアイスを囲むように小さな半円状のココナッツプリン、黒ごまプリン、抹茶プリン、白玉を2つずつトッピングしてある。

プリンは少し硬めに作ってパフェにしてみたんだ。


 カハイの言葉に味を知る人達は目が泳いだ気がするのは気のせいかな?


 数年前はアイスクリームなんて無かったけど、今では広まってるよ。

従兄様のお店でも販売してる。

あっちの国と違って冷凍庫が普及してる訳じゃないから、食べられる場所は限られるけどね。

うちは氷魔法の得意なバルトス義兄様や、レイヤード義兄様の魔具もあるからいつでも作ってもらえるから恵まれた環境だ。

王宮でもロイヤル達の要望で時々食後のデザートに出してるんだって。


 小さな半円状なのはたこ焼きプレートを使ったから。

大量に作るのに重宝したよ。


 今度は義兄様達のも用意してるんだ。

もちろんパフェは他の人達のとは違う義兄様達専用。

コーヒーゼリーを四角くカットして、甘さ控えめアイスとお団子を乗せたものだよ。

一緒に置かれた小さなココットには、黒いトロリとした液体。

これは甘さ控えめの温めたコーヒーシロップ。

お好みで好きなだけかけられるようにしたよ。


 すでに何回か試作品を食べてる義兄様達は勝手知ったる様子でそれぞれかけて食べる。

大昔の僕が好きだったアフォガートを気に入ってくれて嬉しいな。


 他の人の前にもココットが置かれていくけど、2種類ある。

そのうちの1つはもちろん甘いコーヒーシロップ。

もう1つは蛍光ピンクのシロップ。

どちらも保温魔法をかけてもらったから、多分10分くらいは温かいままのはず。


 そして最後にもう1つ。

四角い小皿の上には一口サイズの茶巾絞り。

これで本日の試食品は終了だよ。


「まずは1つずつそのまま食べてみてください。

その後お好みのシロップを上からかけるか、アイスクリームをシロップに浸して食べるかするお好みの食べ方で試食してくださいね」


 試食会だからシロップは両方試してもらわないとね。


「この団子、アイスクリームにくっついてる所が少し凍ったような食感になってて面白いね、カイヤさん」

「そうだね。

でもこんなに冷たいのにこの団子、柔らかいんだよ。

それにこの黒いコアサプリン。

確か黒いコアサは南国の方で好まれてて流通してんだよね?

白いのより香りが強いせいか独特の風味が甘さやミルクの風味に隠れる事なくうまく協調し合ってるね。

餡の時もだけど、コアサは単なる薬味の1つくらいに思ってたのにこんなにも甘味と合うなんて思ってなかったよ!」

「ヤッツもそうだぜ!

甘い焼き菓子で使う事はあったが団子やプリンに使うとはな!」

「ヨンニョルさん!

このカハイゼリー食べてみてよ!」


 白玉の食感を楽しんでたウィンスさんが長いスプーンでコーヒーゼリーをアイスクリームと一緒に発掘して恐々パクりとしたかと思ったら、目を見開く。

メモ帳に何かを書いてたヨンニョルさんにもすすめた。


 ヨンニョルさんもメモ帳を置いて同じように発掘してパクり。


 さっきから無言でずっと目をキラキラさせながら真剣に味わう従兄弟様の後に続いてパクりするのはカイヤさん。


「何だこれ?!

あのカハイのとんでもなく苦い後味がねえ?!

アリー嬢、アイスクリームって苦味を消す作用なんてあんのか?!」

「苦味を少しまろやかにするくらいはあるかもしれませんが、消す事はありませんよ。

後で説明しますが、カハイも淹れ方を工夫する事で苦味を味わえるくらいに抑えられるようになるんです」


 なんて僕の説明を聞きながらも商会長さん達と無言でキラキラ真剣な従兄様は2つのシロップをわくわくした顔つきで試し始めた。


 ヨンニョルさんのメモ書きが増えるペースが格段に速くなってる。


 ロイヤル達と闇の精霊さんは一口食べたあたりから無言でパクパクしたり、思い思いにシロップをかけたりアイスクリームをつけてみたりしてる。

ロイヤルの舌に合って何よりだよ。

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