第99話 友好の象徴
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ポタッ…
「ひっ…」
「ギャーッ!!!!」
「ちょっと!! びっくりするじゃない!!」
「水滴の音ぐらいで!! わざわざ騒がないで!! シン!!」
「ごっ… ごめん…」
「うーん… 結構、奥まで来たけど…」
「何も見当たらないわね…」
メェェー…
「!?」
「みんな… 何か聞こえなかった…?」
「うん… 私も聞こえた…」
「羊の鳴き声みたいなのが…」
「嘘っ… 私には山羊の鳴き声に聞こえたわ…」
「2人とも耳いいわね…」
「シン達… 何か聞こえた…?」
「いやっ… 全然…」
メェェー…
「ほら!! また!!」
「奥の方から聞こえたわ!!」
マトンとラムは鳴き声が聞こえた方に駆けて行った。
「ちょっ!! ちょっと!! 2人共!!」
凛達もマトン達に続いた。
「……」
「この部屋で、行き止まりみたいね…」
「んー…」
「あれっ… 何か、藁でできた家みたいなのない…?」
「ほんとだ…」
5人はマトンが見つけた藁の家まで寄って行った。
「んー… 中が気になるわね…」
メェェー…
「どうやら… この中にいるみたい…」
「よし!!」
「ジャンケン!! ポン!!」
急に始まったジャンケン、4人はパーを出したがシンはグーを出した。
「よし!! シン様!!」
「中を確かめてください!!」
「えっ… 嘘だろ!?」
「シン… 男に二言はないはずだよ…」
「わかった… わかった…(俺、中を覗くなんて1回も言ってないけどな…)」
「それじゃあ… 失礼しまーす…」
シンは藁の家の中を覗いた。
「……」
「どう… シン…?」
「ん…」
「んー…」
「はっきりとは見えなかったけど…」
「見た感じ… 山羊みたいな生き物がいたぞ…」
「ほら!! やっぱり!! 山羊だったじゃない!!」
「いやっ… 体がモコモコした毛で覆われていたから…」
「羊なのかな…?」
「ちょっと!! はっきりしてよ!!」
「うーん…」
メェェー…
藁の家からシンが見た生き物が姿を現した。
「ん…」
「確かに… 見た目は山羊…?」
「けど… モコモコした毛に覆われてるから羊…?」
「ほら!! 言った通りだろ!!」
「……」
「何となく… 何となくだけど…」
「シロちゃんに似てる気がする…」
「嘘でしょ… 私は…」
「モコちゃんに似てる気がする…」
「うーん… わかった!!」
「これじゃあ… 埒が明かないから…」
「一旦、ウール集落に連れて行こう!!」
「集落のみんなだったら、分かるかも知れない!!」
「そうですね!! シン様!!」
「でっ… どうやって、連れて行くの…?」
「……」
「おーーい!! 嘘だろ!!」
「シン様!! 大丈夫ですよ!!」
「絶対に落ちないように、体に括り付けてありますから!!」
「だからって…」
「何で!! 俺が背負わなければいけないんだよ!!」
「仕方ないでしょ!! ジャンケンに負けたんだから!!」
「頼むから… じっとしててくれよ…」
その後、崖を降りた5人は集落へと向かい、2つの集落の住民を集めた。
「うーーん… さっぱりわからないな…」
「確かに… 山羊にも見えるし…」
「羊にも見える…」
「お前ら、この生き物を崖上にある洞窟で見つけたんだよな…?」
「そうなんだよ…」
「……」
「長老達は何か知っていますか…?」
「いやっ… わしらも初めて見た…」
「うーーん… やっぱり…」
「シロちゃんに見えるんだよね…」
「そういえば… ラムの飼っているシロちゃんにどことなく似てる気がする…」
「……」
「ラムはそう言ってるけど…」
「私は、モコちゃんに見えるんだよね…」
「言われてみれば… マトンの飼ってるモコちゃんに見えなくもない…」
「……」
「モコちゃん達をここに連れてきたらいいんじゃないか!?」
「そうすれば!! 何かわかるかもしれないだろ!!」
「そうだな!! そうしよう!!」
その後、2つの集落の住民は手綱を引きモコちゃん達を連れて遠くから歩いてきた。
「うわっ!! 凄い引っ張られる!!」
「どうしたの!?」
マトンとラムはシロちゃん達の方に駆け寄った。
「いやっ… 2匹とも、あの生き物を見た途端、急に力強く引っ張り出したんだ…」
「まるで… 会いたがっているように…」
「……」
マトンとラムはお互い顔を見合わせた。
「手綱を離してあげて…」
「わかった…」
手綱を離されたシロちゃん達は、マトン達が連れてきた生き物の元に勢いよく駆けて行った。
メェー!!
メェェェ!!
メェェー!!
3匹はその場でじゃれ合い始めた。
「……」
「マトン…」
「ん…?」
「何となく、感じていたことがあるんだけど…」
「この光景を見て… それが確信に変わったわ…」
「……」
ニッ…
マトンは笑顔でラムの顔を見た。
「多分… 同じことを思ってる…」
「あの子は…」
「モコちゃん達の子供だったんだね…」
「へー… 通りで、山羊にも見えるし羊にも見えるわけだ…」
「何か… 僕、感動しちゃった…」
「マックス… 私もよ…」
マックスと凛は涙を流し始めた。
「……」
俺は… 何も感じないぞ…
「そうだ!! せっかく2つの集落が1つになれたんだ!!」
「この子を友好の象徴にしたらどうだ!?」
「シン様…」
「それは、素晴らしい提案です!!」
「だろ!!」
「じゃあ… 名前を付けてあげないとな…」
「うーん…」
「そうだ!! モヘア集落とウール集落の文字を取って…」
「“モールちゃん”っていうのはどうだ!?」
「おい… チビ…」
「それ!! すっげーいいじゃないか!!」
「俺も!! 気に入ったぞ!!」
「シン様!! 凄くいいです!!」
「モールちゃん… うん!! いい響きね!!」
「よし!! この子の名前はモールちゃんだ!!」
「……」
「ねぇ… 凛…」
「モールって…」
「商店街って意味じゃない…?」
「私も思ったけど…」
「みんながいいならいいんじゃない…?」
第99話 FIN




