第69話 治療当日
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ーシンの治療当日ー
「2人共、2週間の修業よく頑張った…」
「いやー… 何かあっという間だったな…」
「ほんと一瞬だったよね…」
「さてシンよ…」
「今から鏡水の滝へ向かって… お主を治療する…」
「申し訳ないが… お主の邪気は凶悪すぎる…」
「最善は尽くすが、成功する確率は恐ろしく低いと思ってもらった方が良いかもしれん…」
「それでも良いのか…?」
「……」
「もちろんです…」
「もう覚悟はできてます…」
「わかった…」
「それと… 凛、スティーブ…」
「お主らはどうする…?」
「もちろん行くよ!!」
「私も!!」
「それじゃあ支度を終え次第…」
「出発する…」
シン達は支度を済ませ、該伯の家を出発し、鏡水の滝へ向かった。
「……」
「何か空気が重い…」
「そりゃそうだよ…」
「じっちゃんもシンも緊張してるはずだから…」
4人は全く会話をせず、重い空気の中、鏡水の滝に着いた。
「……」
「つっ… 着いた…」
「シンよ… 今回の治療は全力で取り組みたい…」
「だから、少し1人で集中させてくれ…」
「お主はいつでも治療を受けれるように、心の準備をしておいてくれ…」
「わかりました…」
「凛、スティーブよ…」
「お主らは、治療が始まるまではシンに寄り添ってやってくれ…」
「じゃが… 治療が始まったら、絶対に近づいちゃいかんぞ…」
「今回の邪気は、次元が違う…」
「はっきり言って、わしも無事で帰れるとは微塵も思っとらん…」
「何かあったら、全力で逃げるんじゃ…」
「わかったな…」
「はい… わかりました…」
「うん… わかった…」
該伯は、1人でその場を離れた。
「ふぅ…」
シンはその場に胡坐をかいて座った。
「シン… 大丈夫…?」
マックスはシンの背中をさすった。
「ありがとな… マックス…」
「シン… 何かあったら言って…」
「私にできることがあれば何でもするから…」
「ありがとう… 凛さん…」
「今のところは大丈夫…」
「……」
シンは座ったまま、空を見上げた。
「2人とも…」
「今日は雲1つない、いい天気だな…」
「そうだね…」
「もし… 今日治療が成功したら…」
「俺の心もこんな… 晴れ晴れとするんだろうか…?」
「……」
「シン…」
「なぁ… マックス…」
「ありがとうな… ここまでついてきてくれて…」
「何を今さら…」
「実は… 俺…」
「ブラックの呪いにかかって、ちょっとだけ良かったって思ってるんだ…」
「この呪いを解く道中で、貴重な経験をして、沢山の人と会った…」
「時には、怪談話の大会に参加して…」
「時には、不良と一緒に闘って…」
「時には、人の心を治療する医者と会って…」
「俺の知らない世界を知ることが出来た…」
「そこで相談なんだが… マックス…」
「もし治療が成功しても… 失敗しても…」
「俺と一緒に…」
「旅を続けないか…」
「……」
マックスは少しはにかんだ。
「もちろん!!」
「だって… シンは僕がいないと何にもできないからね!!」
「なっ… なんだと!!」
「本当のことじゃないか!!」
フフッ…
これが男子の友情ってやつか…
ちょっと羨ましいな…
私には… 親友って呼べる友達なんていないから…
「えっ… 凛さん何でにやついてるの…?」
「まさか…」
「俺たちのじゃれあいを見て喜んでるの!?(まさかのそっち系!?)」
「……」
「どういうこと…?」
凛は少し首を傾げた。
「いやっ… 何でもない…」
「変なの…」
「……」
「よし…」
「行くかの…」
該伯は緊張した面持ちで、ゆっくりと歩いてシン達に駆け寄った。
「シンよ… 心の準備は終わったかの…?」
「……」
シンは、その場でニッコリと笑った。
「いつでもいいですよ!!」
「わかった…」
「その前に…」
該伯は持ってきたカバンからコップを取り出し、鏡水の滝の水を汲んで来た。
「シン… 飲みなさい…」
「えっ… この水飲めるんですか!?」
「あー… もちろん…」
「凛から聞いたと思うが… ここは“邪を流す滝”…」
「お主は… ここで初めて水に打たれたとき…」
「邪気が体から出てきた経験をしたと思う…」
「それは… この滝が持つ不思議な力なんじゃ…」
「治療するにあたって、コップ一杯の水でも体に入れれば、かなり心と体が楽になると思う…」
「わかりました…」
ゴクッ…
シンは、差し出された水を一気に飲み干した。
「フゥ…」
「……」
「それじゃあ、僕たちは離れてます…」
「シン… じっちゃん…」
「頑張って…」
凛とマックスはその場から離れ、遠目からシンの治療を見始めた。
「シンよ…」
「座禅を組んで… 目を閉じなさい…」
「はい…」
シンは該伯に言われた通り、その場で座禅を組んで、目を閉じた。
「……」
「よいか… 何があっても平常心を保つんじゃ…」
「少しでも、心に隙が出来ると、一瞬で飲まれるぞ…」
「今回は相手が相手じゃ…」
「飲まれれば…」
「取り返しのつかないことになる可能性が高い…」
「わかりました…」
「それじゃあ… 始めるかの…」
「該伯流… 気術…」
「祓!!!!」
シュウウウ!!
該伯の両手から、大量の煙が出始めた。
ポン!!!!
該伯は煙が出ている両手をシンの背中に合わせた。
「さて… ブラックよ…」
「わしと勝負じゃ…」
第69話 FIN




