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ぎふと  作者: えふ
7/11

お前のご飯はオレチャマのものっチャ

ちょっとおそくなっちゃいました

「できたよ」


「おぉ〜」


今日の晩御飯はすき焼き。


「ティアお米食べれる?」


「チャ〜、食べたことないっキャけど大丈夫っチャ」


「じゃぁはい。 お箸使ったことは?」


「プーむ。 そもそも食べるってことをしたことないっキャから使えないニャ」


「そっかぁ……。 ん〜、彩乃食べさせてあげて?」


「いいよ」


ティアに食べさせる前に、小皿に出した自分の分とティアの分の生卵をかき混ぜておく。

すき焼きは卵必須ですよ。


「なんで肉食うのに卵使うっチャ?」


「すき焼きの時はね、卵があると凄く美味しくお肉を食べれるんだよ」


「そんなのがあるんチャね」


「すき焼きの時は卵忘れちゃいけないんだよ」


卵をしっかりかき混ぜたら、お肉とその他の具材を取って混ぜた卵に入れる。

ティアが食べるとこが見たいから自分よりティアに先に食べさせる。


「ティア、口開けて?」


「チャー」


「はいっどーぞ」


「ぱくっチャ」


ティアの口は結構大きくて、口の中では火が燃えている。

これ味分かるのかな?


「どお?」


「プーむ。 なかなか上手いっキャ。 オレチャマに味覚があってよかったニャ」


「それはよかった」


「もっとそれをよこすっチャ」


「はいどーぞー」


味覚はあるみたい。

味も結構気に入ったみたいでどんどん欲しがる。


「はいどんどんはいじゃんじゃん」


「パクパクっチャ」


「途中でお米をどーん」


「なかなかあうっキャ」


「お豆腐もあるよ」


「アツアツニャ」


「一息ついてお茶どうぞ」


「早食いはよくないっチャ」


「ふふっ…楽しそうね〜」


結構ティアと息が合ってる気がする。

こんな感じで仲良くなれるといいなぁー。


「オレチャマお腹いっぱいっチャ。 あやの食べてないニャ。 さっさと食うっキャ」


「そういえば食べてなかった」


「オレチャマが食べさせてやるっチャ」


そう言うとティアはものすごい勢いで、私の分のお米と肉と卵を食べ、さらに追い打ちをかけるかのように私のお茶を半分飲み、そのお茶を私に差し出し一言。


「食後のお茶どうぞっチャ」


「まってまって」


動揺を隠せないよこれは。


「どうしたっキャ。 食べさせてやっチャってのに文句があるんかニャ?」


「え、食べさせてもらってない。 今私の分全部食べたよね? しかもお茶半分飲んでるよねこれ。 私の分のご飯どうなったのさ?」


「オレチャマの胃の中っチャ」


「なに当たり前のように答えてるの」


「くっ……ふふふ…w」


ティアってばめっちゃ清々しく答えるね。

お姉ちゃんは笑いこらえるのに必死だし。


「あーあ私のご飯が」


「上手い飯を作るゆかりが悪いっチャ。 オレチャマは悪くないニャ」


「……この胸無しメスゴリラが」


「あ゛? なにゆうとん?」


「絶壁だからこいつのせいっチャ」


「だね」


「その理論はおかしい」


もう変な会話になってきてるよ……。

顔には出してないけどもう私の腹筋無いよ?

そんくらい爆笑してますからね?


「あーどうしよ」


「まってて今なにか作ってくるから」


「ありがとー」


「無い胸はって頑張れニャ」


「彩乃生卵でいい?」


「ダメだよ。 何言ってるの。 私のせいじゃないでしょ」


言ったのティアじゃん……。

なのになんで私の分生卵に退化するの。

お姉ちゃんとティアがすき焼き全部食べちゃってもう無いし、ティアは箸とか使い方分からないから私の分食べる時全部手を使って食べてったよ。


「新しいお肉取ってくるから」


「ありがとー」


「あやの」


「ん?」


「あやのの胸は何でできてるっチャ?」


「えーっとねー。 詳しくは知らないけど脂肪の塊なんじゃない?」


「脂肪の塊っキャか」


「うん」


「肉は脂肪がいっぱいっチャ」


「うん」


「ゆかりいっぱい食べてたニャ」


「うん」


「ゆかり脂肪をいっぱい食べてたのに絶壁っチャ。 なんでニャ?」


「お姉ちゃん胸に脂肪がいかないの。 全部お腹にいくの」


「おい」


ありゃお姉ちゃん聞いてたみたい。


「聞こえてるんだけど」


「耳いいね」


「壁も何も無い数メートルの距離だからね。 聞こえないわけないよ」


「当たり前っチャね」


「なんて酷い妹なんだろう」


「え〜私ヤサシイヨ〜?」


「はい生卵」


「どんだけ私に生卵食わせたいんじゃ」


「胸あんだから脂肪いらないでしょ」


「いらないけど。 お姉ちゃんと違っていらないけど! いらないけどさ!」


「強調しまくりっチャ」


いらないってとこを強調して強調して強調する。

やっぱ精神的に潰さなきゃね!

まぁこんなんじゃお姉ちゃん傷つかないけど。


「はぁ…ラーメンでもいい?」


「いいよ! ありがと」


「すぐ作るからちょっとまってて」


「やっさしーっキャ」


お姉ちゃんはホント優しい。

孤児院にいた時もそうだった。

よく私達の面倒をみてくれた。


「……」


「なに黄昏てるっチャ。 らーめんって何っチャ。 教えろニャ」


「え、あ…えーっとね、ラーメンっていうのはね醤油の味とか味噌の味とかがするスープっていうか液体に細長い麺が入ってる食べ物だよ」


「ほー」


我ながら随分分かりずらい説明したなぁ……。

でもまぁティアは分かってくれたような感じだし……。


「……」


「プーむ。 らーめんキャか……」


絶対食われる。 私のラーメン絶対食われる。

そんな悲劇は回避しないと!


「ねぇ。 私のラーメン食べようとしてない?」


「当たり前ニャ」


「なんと言おうと食べさせないよ? 私のご飯なんだから」


「うるせーっチャ。 お前は黙ってオレチャマにお前の分のご飯を与えればいいのっキャ」


なんとゆー暴論。 そういうの好きだけどさ、さすがにご飯はねぇ……。


「お前のご飯はオレチャマのものっキャ。 オレチャマのご飯もオレチャマのものニャ」


某人気アニメのキャラが言って有名になった言葉に似てるなぁ。

なんとか二ズムじゃん。


「うわぁ〜食われるのか〜」


「仕方ないことっチャ」


「仕方なくないよ〜。 私のご飯〜」


「できたよーって、どうしたの?」


私がティアにご飯をまた取られると思って項垂れているとお姉ちゃんがラーメンを持ってきた。


「今からティアに取られるご飯……」


「いただきっキャー!」


お姉ちゃんがテーブルにラーメンを置いた瞬間ティアはラーメンに飛びかかって1口食べる。


「……」


「?」


「どうしたの?」


「チャ?」


ティアは不思議そうに首を傾げて口に入れた麺を何度も噛む。


「味がしないっチャ」


「え?」


「味がしない?」


「無味っチャァァァ!」


味がしないと言って叫ぶティア。

叫ぶ必要ない気がするけど、味がしないってなんで?


「一体なんニャ! これは!」


「塩ラーメンなんだけど……」


「味がしないって……」


箸を取ってラーメンを食べてみる。


「美味しい……」


お姉ちゃんが作った時の特有の濃いめの味が美味しい。

私は薄味が好きだけど、お姉ちゃんが作るんだったら濃い味が好き。


「美味しいけどなぁ……」


「は!? 味がするっチャァ!?」


「なんでぇ……?」


とりあえずティアが食べられないなら私が食べれるんだ。

隣で叫びながらゴロゴロと転がっているティアを横目に私は1人、ラーメンを味わって食べていた。


「オレチャマの味覚は一体どうしたっチャ!?」

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