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ぎふと  作者: えふ
11/11

なんとかなる……?

「ご飯できたよー」


ゆかりが朝食を持ってきた。

寝たきりじゃ何も食べられないから、あやのを起き上がらせなきゃならないっチャ。


「起きれるっチャか? あやの」


「うん……」


あやのが起き上がるのを手伝い、ゆかりが持ってきたお粥という柔らかいご飯を食べさせる。

これ食べる時はスプーンを使うみたいだったから、オレチャマでも食べさせられるっチャ。


「ほら口開けるっチャ」


「……」


ちょっと開いたあやのの口にお粥を掬ったスプーンを突っ込む。


「……」


「どうっチャ?」


お粥を1口食べたあやのは、少しお粥を咀嚼した後、お粥と一緒に机に置いてあった水を一気に飲み干した。


「あつ……」


(あっ……冷ますの忘れてたっチャ……)


「できたてだからね!? 気をつけて食べてね!」


「次からはちゃんと冷ますニャ」


冷ますってのは、たしか息でフーフーすることっチャね。


「フー!」


ボオオオ!


「火が出てるよ!?」


「ポワッ……」


スプーンに火がついてしまったから、今度は火を吹かないように息を吹き、火を消す。


「オレチャマって火が吹けるんチャね……。

初めて知ったニャ……」


「自分の体のこと分かってないの!?」


「いや〜、 オレチャマなんもできないと思ってたから、これは嬉しいっチャ」


「彩乃のご飯焼いてますけど」


「ティアがよかったんなら大丈夫だよ……」


「大丈夫なの……?」


あやののご飯焼いちゃったけど、新発見あったし、あやの怒ってないから大丈夫っチャね。

さぁ、あやのに残りのご飯を上げるっキャ。


「そんなことよりあやの、ご飯を食べるっチャ!」


「そんなことよりって……」


「さぁどんどん食べるっチャ!」


「え……まだ口に……」








にじゅっぷんご




あやのに朝ご飯を食べさせた後、オレチャマとゆかりもご飯を食べ、今オレチャマはベッドの上で寝転がっているあやのの上で寝転がっていチャ。

ゆかりは今買い物に行ってる。

なんか色々少なくなってきたから買ってくるって言ってた。

今家にいないゆかりの代わりにオレチャマがあやのの面倒を見てるっチャ。

面倒見てるっていうか、あやのが見た夢の話をしてるだけっキャけど。


「お前の夢、オレチャマが思ってるよりめんどくせぇっチャ」


「随分冷たいね」


「いやぁ、解決すんのが予想以上に難しいっチャ。 だってお前が過去に経験した事っチャよね?」


「そうだよ」


「普通の夢なら幻想みたいなもんっチャから、簡単にやり直させたりできるけど、実体験だキャらなぁ……。 しかもお前に深すぎる爪痕残してるニャ。 解決させんの嫌になってくるっキャ」


「そんな事言わないでよ……。 どうにかしてくれるんじゃないの?」


「どうにかしたいっチャけど……。 ちょっと考えてみるニャ。 あまり、話かけるニャよ」


「分かった。 黙ってるよ」


今朝あやのが言っていた夢の内容を思い浮かべる。


あやのがまだ孤児院にいた時の夢。

年齢はたしかあやのが10歳から13歳の間。

その3年間はほぼ毎日の出来事。

孤児院に務めていた数人の男のストレス解消やら性欲解消やらにゆかりが使われていたのをあやのが見てしまった。 その時の夢をよく見ているらしい。

どうやらゆかりはあやのの代わりに玩具にされていたようで、本当だったらゆかりの立場にいたのはあやのだった。

あやのがそうなってしまうのを見たくなかったゆかりが身代わりに自分の体を差し出した。

そのせいで今のゆかりの精神状態は正常なように見えるがまったく正常じゃないんだそう。

で、その時の傷が身体中にあって、あやのがゆかりと一緒に風呂に入りたがらない理由がそれを見て思い出してしまうから。


(なかなかめんどいっチャ……)


「地下に行ってから頑張るっキャ」


「えぇ……」


もう1人じゃなんともできねぇニャ。

地下のあいつ……アンドラスにでも頼まなくチャな。


「夢じゃすまねぇくらい大変っキャ」


「そっかぁ……」


「気を落とすなっチャ。 ちゃんとなんとかするっチャから」


「ふーん……」


彩乃の目が冷たいっチャ……。

これは頑張らなくチャな。


(とっとと地下に行かなきゃならないニャ……!)


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