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入学してきた変わり者1

久しぶりに書いてみたくて書きました。そんだけです。

 その男はあたしが生きてきた中で一二を争うほどの変人だということをまずは伝えておく。

 彼の名前は無上 なさけ。

 成績まあまあ、運動もまずまず、顔も悪くないと平凡より上くらいの総合評価に結び付くわけだが、なによりすごいのはその集中力と、多才だ。

 例として挙げるのなら、それは昨日の麻実との会話の時だ。


 「怜奈ー、ねえさあ、例の怜奈のクラスの男子無上くんだっけ。今日はどうだったった、またなんかすごいことしてた?」


 「んー、今日もいつもどうりだったよ。なんか最近は手芸にはまってるらしくてね。休み時間でさえ、ぶっ通しで何か作ってたよ。そしてほら、このぬいぐるみもらっちゃった」


 と、昼休みに二人で麻実でのクラスで弁当をたべながら、恒例の無上くん観察結果を報告していた。けして両者またはどちらかが無上くんに恋愛感情をもっているわけではない。話のネタになるからだ。彼には悪いが、なかなかに彼のエピソードはユニークであり、そんなこんなでいつもネタにしていた。


 「えっ、なんか普通によくできててすごそうなんだけど」


 「・・・だよね。普通にタダでもらうの申し訳なかったんだけど、なんかねちょっと「売りものみたい」って言ったらくれたんだ・・・。なんかちょっとテンション落ちてたから、悪いこと言ったかなって思ったんだけど、やっぱ失敗したかな?」


 「うーーん、まあ手作りのものに売りものみたいっていうのはまずいと思うよ。やっぱり、手作りってのはそれだけ愛情とかあるからね」


 「あーー、なるほどねーそりゃちょっと傷つくねー。あとで謝ってくるわ」


 「うん、そうしてきなよ」


 そんなわけで昼食も終わり、次の授業が始まる前の時間にあたしは彼に謝りに行った。


 「さっきはごめんね無上くん」


 「いや、こっちのほうこそすまない」


 「えっ、なんで謝るの?」


 「えっ、だってさっき渡したの市販のやつだったからさぁ。さっき城ヶ崎さん一発で気づいてたじゃん」


 「えっ、ほんとに市販のだったの」


 「えっ」


 「えっ」


 「・・・まあさっきのことは忘れてくれ。ほらさっきの時間ぶっ通しで仕上げたものだ、受けっとてくれるとありがたい」


 「あ、うん。ありがとう。って、なかなか完成度高くない!普通に自慢できるレベルだよ!」


 「うん。結構会心の出来。いやーーそれにしても間に合ってよかったよ、時間との闘いだったからさあ」


 「えっ、今日一日頑張ってたのってこれ作ってたの!?あたしにあのぬいぐるみくれたの2限終わりの休み時間のときだったよね」


 「そうだよ。市販の渡して速攻ばれてそのままとか嫌だろ」


 「・・・まず授業聞きなさい」


 「あんなの教科書さえ読めば大丈夫。てかまじで完成作品家に忘れてくるんじゃなかった」


 「ああ、だから雑貨店で作品のサンプルとして買ったけどほとんど必要なくて取りあえずリュックの中にしまってこのぬいぐるみが好きな奴がいたらやろうと決意したはいいものの、好きそうなやつが現れず次第に存在を忘れ、たまたまこっちを興味深そうに見ている子がいたから好感度あげのために最近作った良作をあげようと思ったけど、完成作品だから家に飾っとこうと思ってしまったがゆえにおいてきてしまったことに気づき、しょうがないので何かないかと探した挙句、存在を忘れていたぬいぐるみを発見し、とりあえず自分の作品と偽ってあげたと」


 「長々しゃべるくせにすべて的を射ているのが腹立たしい!!てか、なんでそんなことまでわかるんだ!?」


 「えっ、勘ですが」


 「・・・・」


 御覧いたただけただろうか。これが彼の集中力のすごさだ。授業中関係なく己の作業に120%集中し、あろうことかわずか数時間で職人レベルのオーダーメイド作品を作るその狂気なみの意地。そしてこれは実際にみたほうがわかりやすいのだが、高度なテクニックの数々や、絶妙な色使い、地味に凝ってる細かいグラデーション。などなど上げようと思えばいくらでも思いつく。それに今回は紹介しなかったが彼のすごさはこれだけではない。いやーまったく彼は本当にすごいと思う。

 ん、なに?あたしのほうが無上くんよりすごいのではないかだと?

 なわけないだろう。あたしはあんなに器用じゃないぞ。それに間違ってもあんな変人ではないはずだ。















 その女は俺が生きてきた中で一二を争うほどの変人だということをまずは伝えておく。

 彼女の名前は城ヶ崎 怜奈。

 成績優秀、運動苦手、顔はむしろいいと平凡より上くらいの総合評価に結び付くわけだが、なによりすごいのはその勘だ。

 例として挙げるなら一昨日の二クラス合同の体育の時間のことだ。


 「無上ーー、お前すごいなー!!普通ハンドボール投げで野球部に勝てないぞ」


 「ええ、実は中学のときに一時期はまってまして」


 「すげー学年トップだぜ!」「すげーな野球部がまさか帰宅部に負けるとはな」

 「にしても、なんであんな細そうな腕であんなにも飛ぶんだ?」「おい、野球部走らさせられてるぞ」


 と、中学と高校の一学期には必ず行うスポーツテストで恒例の運動部蹂躙を行っていたときだ。一通り、テストも終わり男子に混ざって女子のテストを見ていた。そしてそのとき、はじめて彼女のことを知った。


 「おいあれ見ろよ、あれがうちらのクラスの中でもトップクラスの城ヶ崎さんだぜ」


 「うわーやっぱ体操服でも城ヶ崎さん可愛いなー」


 「まったくだ。彼氏とかいるのかな?」


 城ヶ崎さんのことは何度かクラスで見たことあるなーレベルであり、まさかファンクラブレベルのものが存在していることは知らなかった。たしかに一目見たときは可愛いとは思ったがほとんど接点もなかったので特に話したこともなかった。

 しかし彼女の行動を見ていると、なにか様子がおかしい。立ったり、座ったり、友達と話したり、紙に書いたり・・・って、一回もテストしてないじゃん!!

 それであたかもきっちりやっているのふうに見えるのだからすごい。てか、あえてなのかうんまいこと先生からは自然なようにずっとある程度の距離をつくって離れてるし、遠くから全体を見わたしてる関係ない俺たちも欺くってすげえ!!

 なんていう演技力。





 しかし俺は彼女を見続けていると、どうやらそれが演技力じゃないことがわかってきた。

 それがわかったのはお馴染みのテストの一つ”反復横跳び”でのことだ。


 「すんげー、また無上が学内記録塗り替えやがった!!」「これで三種目目だぞ!!」

 「やべー!!、握力84とかバケモンだろー!!」


 お前らちょっと黙れ。


 「ねぇ、怜奈ちゃんと計っててよ」


 「任せてよ麻実。多分大丈夫だから。ふわぁぁ」


 なんかめっちゃくちゃ城ヶ崎さんあくびしてるやん。てか目がうつろだし。あれ絶対に数えてる途中に寝落ちするやつでしょ。と思ったら、パートナーの子がスタートすっる前に寝てるし。あれ絶対に怒られる奴だよね。あっ、”反復横跳び”終わった。


 「はっ、はぁっ、はぁっ、怜奈、はっ、何回だった?」


 「ん?ふえ?ああ、たぶん41回」


 「たぶんって、あんた絶対寝てたでしょ!」


 「お、お許しお~~」


 はい、正解は41回です。すごいね寝てても当てちゃったよ、勘てすごいね!


 「やっほー、怜奈!ねえねえ私反復何回だったと思う?」


 「46回」「・・・正解」


 「じゃあさじゃあさ、私は?」


 「40回だけど2回増やして42回にしたね」「・・・見てた?」


 ・・・勘てすごいね。


 「おい誰か、無上の反復を計ってくれ!速すぎてわからん!」「取りあえず十点以上にしとけば大丈夫だ、だからそんな責任負うな」「ありがとうございます先生、悪いな無上~~~!!」


 とりあえず泣くな、喚くな、声出すな。会話が聞こえんだろ。


 「ねえねえ男子のとこでさ、無上くんて人がすごい記録連発してるんだって!」


 「へぇーどの男子?」


 やばい、こっちを見られる。取りあえず視線をずらさなきゃ。


 「へえあの人、そんなにすごかったんだ」


 「だよねー、いつもなんか裁縫袋持ってるイメージしかなかったわ」


 「そうだよね。ザ・主夫てかんじだよね」


 「ねえいま何考えてると思う?、ときに透視のプロ怜奈先生?」


 「んーそうだね、たぶん。俺は主夫じゃねえ、裁縫袋は手芸に必須のアイテムだからだ。手芸好き男子のいが悪い!手芸は女がやるもんてか、はっ、お前ら手芸のやらない女子だっているだろうが、お前の偏見押し付けんな。つうか男どもうるせーそろそろ泣き止めよ白丸!てかおい、お前らも同情するなって。先生!あんたも泣くことないでしょう。てか女子も引くのはわかるけどゴミを見るような目で彼らを見ないで上げてほしい。てかいまさらだが、そろそろ黙ろうか城ヶ崎さん。あんたのせいで風評被害を受けそうなんだが、ねぇほんとにやめてください城ヶ崎さんて考えてると思う」


 「うわ~、なにそれちょううける!」


 「怜奈、まじおもろいわ~~」


 御覧いたただけただろうか。これが彼女の勘のすごさだ。人の思考そのものを勘で導きだすそのセンス。さらにその危機回避能力の数々、そしてほぼ絶対にあたるその勘。はっきり言って、ちょっとチートじみているがこれが彼女の普通なのだからしょうがない。今回挙げたのはこれだけだが、話を聞くに彼女の武勇伝はそうとうのものらしい。なんでも霊感がやばいほど強いのだとか、テストの問題をすべて当ててみせたとか。いや、ちょっと、いやかなり彼女はすごい。

 ん?君もそうとうすごいよって?

 いやいや彼女には絶対にかなわない。俺はあんなチートじゃないぞ。それに間違ってもあんな変人ではないはずだ。
















 「生徒会長。なにやら一年生の生徒から十数件の要望が届いています。あっ、先生からも二件届いていますね」


 「おいおい何事だ、今季初の依頼数にしては要望が多すぎないか!?」


 「・・・取りあえず一件先生からのを読みますね。えっと、これは1年1組担任の宮ノ平先生ですね。

拝啓 生徒会殿 時候の挨拶は飛ばしますね。では、本文に入ります。




 ---うちのクラスにこれまで生きてきた中で一二を争う優秀な生徒が二人入学しました。ぜひともこちらの生徒は生徒会に入部するべきです。でないと、運動部の憧憬が失墜し、多くの生徒の本音が世にばらまかれるでしょう。

                                           以上です」


 「・・・なんか最初は普通に先生からの推薦かと思ったが、なんか後半脅迫じゃなかったか?」


 「どうでしょう・・・いちよう次も読みますね。今度は野球部顧問で体育教師の秩父先生です。



 1年1組 無上 なさけ

 上記の生徒を生徒会にいれてください。でないと、野球部の尊厳を失います。

                                           以上です」


 「・・・この”でないと”って教師が使っていい言葉なのか?」


 「ちなみに秩父先生からは一緒にサッカー部、バレー部、バスケ部などなど全7部からの要請状も届いています。で、原因を調べましたところどうやら今季のスポーツテストでオール十点、うち四テストが学内トップなようで、なおかつこの無上という男子生徒、現在帰宅部なようでして」


 「なるほどそれはすごい。で、なんで生徒会に押し付けちゃうの?僕たちそんな超能力とか人間離れした肉体とかもってないよ。ただの無投票選挙で選ばれただけの人間だよ。いつも生徒会室で偉そうぶって職員室のコーヒー飲んでるだけだよ」


 「おそらくそのことを知っていての嫌がらせかと」


 「・・・・・・すみません」


 「ちなみに生徒からの要望のほうは、男子が無上さんへのもので、女子が城ヶ崎さんへのものですね。まあ正直のところ女子のはなんか怖そうなんで男子のから」


 「ねぇ羽村副会長、あなたも女子ですよね」


 「ふっ、男子にはわからない怖さがあるんですよ会長」


 「うん、聞かないでおくよ・・・」


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