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15話 マリオネット

 デデンデンデッデンッ♪ デデンデンデッデンッ♪


 カプセルを開けて出てきたのは全裸の筋肉ムキムキマッチョマン……ではなく、水色の髪が美しい女性だった。

 見た目としては十代後半から二十歳程度だろうか。顔は整っており、絶世の美人だといっても過言ではないだろう。綺麗な水色のロングヘアーはふわっと広がっており、優しそうな印象を与える。体も肉感的で、出るところは出ており引っ込むところは引っ込んでいる。

 ……そして裸だ。

 もう男の性としてどうしてもいろんなところに視線が引き寄せられる。非常に豊かな胸は垂れることなく形を維持しており、先っぽには綺麗な突起が乗っている。股間は……言及を避けるが、生で見たのは初めてだった。


 目の前の女性は立ち上がり、その金の双眸(そうぼう)をゆっくりと開いていき――


「……あなたが私のマ――あひやぁぁ~~~っ!!」


 自分の胸と股間を抑えて勢いよくしゃがみこんだ。

 自分が裸だと気付いたんですね。わかります。

 しゃがみこんだ姿も可愛い。プリッとしたお尻が丸出しですよ。

 真っ赤になった顔でこちらをにらみながら「う~~っ!!」と唸っているが、全然怖くない。


「……あ、すいません。よければどうぞ。」


 非常に惜しいがこれ以上見ていると、相手に失礼だと思い、鉄の意志で視線を外しながら、持っていたカバンの中を探り自分の替えの服を手渡す。その際、渡したのが上着だけだったのは決して意図的なものではない。


 渡された服をひったくるようにして奪った女性はこっちをにらみながら、


「あ、あちらを向いててくださいっ!」

「あっ、はい」


 言われてから、惜しみながら後ろを向く。完全に後ろを向いたのを確認したのか、後ろからは衣擦れの音が聞こえてくる。


「…………あの、下は無いんですか? ――あ、だめですっ! こちらを向かないでくださいっ!」


 ズボンも取出し、渡すために振りかえろうとするが、先に振り替えるなと言われてしまった。後ろ手にズボンを渡す。



 しばらくして、着替え終わったのかこっちを向いていいと言われたので、振り向いたら


「oh……」


 背丈は俺よりも多少小柄な程度だと思っていたのに、服の丈が短くなっているように見える。無論背丈が変わったわけではなく、大きな胸が服を押し上げているからで、丈の短くなったように見える裾からおなかの肌色がちらちら見えている。ズボンもお尻の所の形がはっきりわかるぐらいになっている。


「ゴホンッ! 改めまして、マスター? (あるじ)? ……主様(あるじさま)、MMF-27型汎用人型戦闘機(マリオネット)、個体名称〈シアン〉只今起動しました。現時刻より主様の指揮下に入ります。なんなりとご命令を」


 ジャジャーンと効果音が付きそうなきめポーズでそう名乗りを上げる……えーとシ、シアン? という女性。

 うん。取り繕ってるけど、今更感バリバリだね。顔もちょっと赤いままだし。

 とりあえず見て見ぬふりをしながら、今いる場所がどこかを聞いてみると、アトランティア王国の軍施設だという話だ。

 アトランティア王国というのがまずわからない。アーガス聖王国やその周囲にそんな国はなかったはずだ。まあ十中八九、古代魔法文明の国名なんだろうけど。


 そのあたりまで考えた時点で目の前の女性――シアンさんが周囲の状況に気付いたようで声には出さないが、「どういう事だ?」という顔をしている。


 というわけで、説明していく。君がいた国はすでに3000年以上前に滅びており、現在では古代魔法文明というくくりにされていること。その後人類は新たな文明を築いていることから始まって、今になってなぜ君が起動させられたのか。

 かなり難儀した。この世界へは魔王を倒しに来た(一応)のであって学者になりに来たわけではない。 この世界の歴史についても一度教えられはしたが、全部が全部理解できているわけではないのだ。その上、古代魔法文明についてはたまに遺跡が発掘されるぐらいでほとんど何もわかっていない。さらにその過程で、自身が異世界から来たことも一応伝えている。信じてもらえるかは不明だったが、特に疑われはしなかった。

 

 一通り説明し終えた後、


「そう……ですか」


 そうぽつりとつぶやき周囲を見やる。周囲にはシアンさんを除く47個の壊れた保管容器が今も横たわっている。

 いきなり「3000年後の未来なんだよ。」とか言われたのは、さすがにきつかっただろうか。


「えーと……それであなたはどうするんですか? できれば外への道とか教えてほしいんですけれど……」


 一応この建物は、すでにエアーズロックのようなものに覆われており、自分はワイバーンにさらわれて偶然来たことも伝えてある。そして外を目指していることも。その過程で、ここを見つけたこともだ。


「どうすると言いますと?」

「いや、情報がほしくて起動してしまったわけだけど、その後の事は何も考えてなかったので。」

「私はマリオネットです。すべては主様の決定に従いますが」


 え? 主様って俺の事? とか思っていると、私を起動する際に登録しただろうが。的なことを言われた。マリオネットは人間の主従や奴隷などと違って、完全に人に仕えるために作られた人形である。(一応シアンは戦闘用らしいが)

 なので、登録された主人の命令は絶対であると…………さっき簡単に登録できたけどこれ悪用されたらどうなるんだ? とか最初に考えてしまった。


「ですので、私は心も体も主様のために。敬語も必要ありません。……あ、で、ですが私は戦闘用ですから……え、エッチなことは、だ、ダメですよ」

「お、おう」


 マリオネットというロボットやアンドロイドみたいなものらしいが、そういう事が出来るのか……


「そう言えば主様のお名前は何というのですか?」

「え、……秋月啓太ですけど」

「アキヅキケイタ様……お名前でお呼びしたほうが良いですか?」


 呼び方か……初対面の女性に、しかもこんな美人さんに名前を呼ばれるのは少しハードルが高いな……

 そうですわたくし女性にあまり免疫がありません。


「名字の方で読んでもらえれば」

「アキヅキ様ですか? それですとご家族と区別がつきません。ケイタ様ではいけないですか?」

「……」


 やはり名前を呼ばれるのはむず痒いな。


「あー、うん、じゃあ好きに呼んだらいいよ」


 もういいや。

 そんな心情を察したのか、名前ではなく最初の通り主様と呼ぶようになった。


「ところで、主様は魔王を倒す勇者の群れから離脱されたとのことですが、今からどちらへ?」

「いや、特に当てもなかったんです。色々旅をして元の世界へ帰る方法を見つけられたらいいなと思っています。」

「そうですか。では、私もその旅に同行します。」

「え!?」

ようやく題名にあったメイドさん登場

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