第七十五話 椎名将斗の一日(その一)
やっと高校最後のテストが終わりました。執筆のスピードも戻るとええんやけど………。
「俺の一日取材やて?」
「ええ、そうなの」
士官専用の部屋に二人の男女がいた。ここは空母瑞鶴の艦内の将斗の部屋だ。
男はもちろん椎名将斗であるが女性はパツキンでロングの髪型をした女性だ。
「でも吾妻さん何で俺なん?」
吾妻と呼ばれた長身の女性は苦笑いをした。
「いや〜艦魂新聞のネタが最近面白くないしね。ここは一発逆転と思って将斗君に決めたのよ」
将斗も吾妻の言葉に苦笑してしまった。
重巡洋艦(装甲から格上げ)吾妻は連合艦隊及び海上護衛隊や商船達の艦魂が毎日読んでいる『艦魂新聞』の編集長をしている。
「まぁいいですけど、一日取材や言いますけどどんな内容ですか?」
将斗の言葉に吾妻はニヤリッと笑う。
「文字通りよ。将斗君の一日の私生活を取材するの」
―――翌朝午前7時―――
『〜♪〜♪〜♪〜』
別府湾に停泊している第二機動艦隊旗艦空母瑞鶴の艦内に総員起こしのラッパの音色が響いた。
「…スゥー…スゥー…」
だが、将斗はまだ起きない。
「…ふむ、まだ起きないわね」
左の二の腕に『編集長』と書かれたカードを付けている吾妻がメモ帳とペンを持ちながら将斗の部屋の椅子に座っている。
「将斗、朝だぞ」
そこへ、士官服に身を包んだ瑞鶴がやってきた。
「あら?瑞鶴お早う」
「おはようございます吾妻さん。もう取材ですか?」
「そうよ。何てったって一日取材だからね」
吾妻がウインクをする。
「そうですね。それより将斗。早く起きろ」
ペシペシと将斗の頭を瑞鶴が叩く。
「…ぅん…」と将斗が布団を被る。
「……えぇいッ!!さっさと起きんかァァァッ!!!」
瑞鶴はキレて将斗の布団を引っぱがした。
「ウオォッ?!」
将斗が目を覚ました。
「……瑞鶴お早う」
まだ眠たげな将斗が瑞鶴に挨拶する。
「いい加減早く起きろ」
「それは無理やな」
「……(ふむふむ)」
二人のやり取りを吾妻はメモをしている。
「将斗さ〜ん、瑞鶴さ〜ん。ご飯出来てますよ」
瑞鶴の帰りが遅いと思ったのだろう。
伊号潜水艦の伊168(イロハ)が呼びに来た。
「あ、イロハお早う。二人とも外出てや。着替えるから」
三人は外に追い出される。
「お待たせ」
士官服に身を包んだ将斗が部屋から出てくる。
「んじゃ行こうか」
―――食堂―――
「由華梨〜。今日の朝メシ何なん?」
「今日は、豆腐とねぎの味噌汁、目玉焼き、沢庵、麦飯ネ」
料理を手伝っている由華梨が答える。
「なんか片寄っていないか?」
琥珀が出された料理をまじまじと見る。
「気にするなネ。文句言う奴は青酸カリを仕込むヨ」
由華梨の目がキラリと光る。
食堂にいた女性兵士達は慌てて飯を食べて自分の持ち場に散って行った。
―――午前9時、士官搭乗員室―――
「今日の予定は第二機動艦隊で対空対艦戦闘演習をやる予定や」
将斗が集まった士官搭乗員達に説明する。
「開始は13:00や。それまで各自で機体の整備をしとくんや。分かったな」
『了解ッ!!』
「ほなら解散」
将斗の言葉に士官搭乗員達は慌ただしく部屋を出て、格納庫に向かう。
「さて、行くか」
将斗達も同じく格納庫に向かう。
―――格納庫―――
「お〜い、早くペイント弾持ってこいッ!!」
「誰が青のペンキ持ってこいと言ったッ!!緑だ緑ッ!!何で機体に青を塗るんだよッ!!」
格納庫では整備員や搭乗員達が機体整備や、ペンキが剥げてる機体を塗り直していた。
「あッ!!司令官ッ!!」
整備服がペンキだらけの整備員が将斗に近づく。
「芹沢整備隊長どないや?」
将斗に聞かれた瑞鶴整備隊隊長芹沢春香少佐は頬についた赤のペンキを擦りながら答えた。
「十六機の機体が剥げてたので全力で塗り直してます。ペイント弾の補給は後30分程で終了ですね」
「そうか。ご苦労さんやな」
「いえいえこれが仕事ですし。後、司令官の指揮官マーク塗っときましたよ」
芹沢が指先にいる蒼零は後部胴体に水色のマークが二本入っていた。
「へぇ。中々ええやんか」
「褒めても何も出ませんよ。それじゃあ私は他の仕事があるので」
芹沢が将斗に敬礼する。
「おぉ。あんがとな」
そして、なんやこんなであっという間に昼飯の時間になった。(手抜きと言わないで…OrZ)
―――12:00―――
「昼飯の配給ヨ〜」
由華梨が昼食を台車に載せて格納庫に届けに来た。
竹皮の包みの中にはおにぎり三個、沢庵数切れ、茹卵一個が入っていた。
「大和の最後の食事か?」
将斗が呟くが誰も気づかなかった。
少しの休憩の後、いよいよ第二機動艦隊は訓練を開始をするべく、風上に向かって走り始めた。
次回はその二をお送りします。御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m
翡翠「次回も」
由華梨「サービス、サービスネッ!!」
他のネタ考えろよ……。