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新大東亜戦争  作者: 零戦
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第七十四話 デストロイヤーと白百合

体育のレポート疲れる……。



―――ウラジオストク航空基地―――


ブオォォォォォォッ!!


航空戦艦尾張の歓迎会から十日後の44年十二月二十日、一機の零戦二二型がウラジオストクから飛び立った。


「誰だッ!!許可無しに零戦に乗っていった奴はッ?!」


指揮所でウラジオストクの航空司令官が喚く。


「そ、それが……今調べましたら搭乗員全員がこの基地にいることが分かりましたッ!!」


その報告に司令官は驚いた。


「んな馬鹿なッ!!そんなの間違いのはずだッ!!」


「し、しかし、現に全員居るんですッ!!」


「じゃあ誰が飛ばしたんだッ!!」


指揮所でそのようなやり取りがある中、副司令官は横ではぁと溜め息をついて電探員に飛び立った零戦の行き先を聞いた。


電探員はただ一言しか言えなかった。


「零戦は南下しています。つまり日本に向かっています」


副司令官は脱走兵かと頭を過ぎった。


「(あの司令官も予備役だな)」


副司令官は若干腹黒さを出しつつ、零戦が向かった先の日本―――呉に打電をした。




―――呉海軍航空基地―――


「脱走機……ですか?」


「まぁ、飛行機乗っていったからそうなるわな」


搭乗員待機所で菅野直少佐の言葉に一応の上官である将斗が頷く。


この日、何故将斗と菅野が呉海軍航空基地にいるのかというと、菅野の特戦(特別戦闘機)の受領のために二人は呉に来ていた。



特戦は史実での撃墜王等が使用することが海軍省で認可された。


機体も将斗達の図面を流用して生産された。その生産第一号に菅野に決まったのだ。


ちなみに二番目は坂井である。




「こっち方面に向かってるみたいやから菅野。上がってな。俺の蒼零は機嫌悪いみたいや」


将斗が後ろにある蒼零に指を指す。


整備員達が慌ててエンジンを入れるが咳込んでいる。


「菅野の機体は機嫌いいみたいやし。ここの征風(五式戦闘機)と一緒に行ってな」


「はぁ分かりました」


菅野は将斗に敬礼すると新しい愛機に駆け寄る。


左主翼から操縦席に乗り込み、計器を確認した。


計器を確認した菅野は発動機を始動させ、滑走路まで移動。


菅野はゆっくりと滑走に入り、離陸した。




『こちら電探員。脱走機と思われる零戦は真っ直ぐここ、呉航空基地に向かっています。接触まで後十分だと思います』


航空無線から電探員が報告してくる。


「了解した。全機速度を上げるぞッ!!」


『了解ッ!!』


菅野機の後方にいる三機の五式戦闘機征風(新米士官先生名前ありがとうございますm(__)m)が速度を上げる。


むろん菅野機―――特別戦闘機蒼穹(NNさんありがとうございますm(__)m。特別戦闘機は最初に蒼から付く名前にしてますのでこちらにしました)も発動機が甲高い唸りを上げ、速度を上げる。




「見えたッ!!」


十分後、菅野隊の前方に黒い点が見え、思わず菅野は叫んだ。


菅野隊は一旦零戦と交差し、旋回して零戦の後方についた。


「お前らはそのまま飛行してくれ」


『了解ッ!!』


菅野機は零戦の前方に出て、バンクした。


機体信号『ワレニ従エ』である。


零戦は素直に応じたらしく、バンクした。


五機の戦闘機はそのまま呉海軍航空基地に着陸した。




―――呉海軍航空基地―――


チャキッ!!


着陸した零戦の周りを基地を守備する陸戦隊が取り囲み、小銃を構える。


「おいおい小銃なんか構えんなや。出るに出られへんやろ」


陸戦隊員の中から将斗が零戦の前に出てくる。


むろんその後ろには菅野がいる。


ガラッ!!


零戦の搭乗員が風防を開き、左主翼に立った。


「んで、お前は脱走兵か?」


将斗が問う。


「………」


脱走兵と思われる搭乗員は無言で飛行眼鏡と飛行帽を取った。


『……えッ?!』


海に近いため、潮風が搭乗員の髪を揺らしている。


「女…性…?」


菅野は思わずその容姿に見とれていた。


「………」


女性は菅野の視線に気づいたのかニコッと笑った。


「ーーーッ!!」


菅野は顔が熱くなるのを感じた。


「…まさか…リディア・リトヴァクか?」


将斗が女性に問う。


「ハイ、ワタシハリディア・リトヴァクデス」


片言な日本語で将斗に答えた。


「……とりあえず君は俺の名で保護するから司令室まで行くで。陸戦隊の皆はまた警備を続けてくれ。悪いが整備員達は彼女の零戦を点検してくれ」


『了解ッ!!』


周りにいた整備員や陸戦隊員達が散らばる。


「ほな行こか……菅野?」


将斗とリトヴァクが司令室に向かおうとしたが菅野はぼぅっとしていた。


「アノ、ダイジョウブデスカ?」


リトヴァクに掛けられた菅野はしどろもどろになった。


「は、はいッ!!あの…その…」


「……???」


リトヴァクは不思議そうに首を傾げた。


将斗はキラリと目が光り、ニヤリッと笑っていた。


「フッフッフ……成る程な」


その光景を見ていた蒼零が後に語った。


「……将斗のあな目は翡翠がからかう目と一緒やった」




話しを戻す。


三人は司令室に入った。


そこには呉海軍航空基地司令官の小園安名大佐がいた。


「すまないが、何故君がここまで来たかを説明してくれないか?」


小園の言葉にリトヴァクを頷き、説明を始めた。


リトヴァクは連合軍と戦っていたが、スターリンが日本と戦争を始めたためにリトヴァクの部隊は満州戦線に転進した。


この時にリトヴァクはアレクセイ・サロマーティン大尉と別れたがこれが最後の大尉を見た光景だったらしい。


リトヴァクはハバロフスクで大尉が戦死したと聞き、悲しんだがそれを戦争は許さなかった。


ハバロフスクは日本軍の手に落ちた。


この時、リトヴァクはハバロフスク上空を飛行していたが、攻撃隊(第二機動艦隊)の戦闘機に落とされたが命に別状は無く、捕虜になったがすぐに解放された。


リトヴァクは残っていた金を使ってウラジオストクに行った。


ある軍人の推薦で基地の食堂で働く事にしたのだ。


「ある軍人て誰なん?」


「タシカ……クロ…ナントカトイッテマシタ」


「……黒島亀人か?」


「ソウソレデスッ!!」




黒島亀人――史実では山本五十六の首席参謀をしていたがこの世界では信一がしていた。


将斗達が史実での行いを知っているため、黒島はずっと閑職に回っていたがハバロフスク占領後、航空基地司令官に就任した。


その時にリトヴァクを見かけたらしいのだ。


黒島はリトヴァクに少しばかりだが金を渡し、ウラジオストクの食堂に働かせるよう一筆したというのだ。


「……そうか。黒島がな(まぁあんたには素直にありがとうやな)」


その後、食堂の住み込みで働いていたが、風の噂で女性ばかりが集まった航空隊に特別に外国人が編入されたと聞き、直接の直訴に出たというのだ。


「リディア・リトヴァク。お前は何のためにここに来たんや?」


「……カタキヲウツタメデス」


「……そうか。だが、敵討ちはあまりええもんちゃうで?例え敵討ちをしても後に残るんは何もないで」


「カクゴノウエデスッ!!」


リトヴァクの目は濁っていた。


「……分かった。リディア・リトヴァク、撫子新撰組航空隊にようこそ」


「エ?」


「俺が司令官の椎名将斗中佐や」


「エ?」


リトヴァクは茫然となった。


「そらそうなるでしょうね」


「菅野」


将斗が菅野を呼ぶ。


「お前、リトヴァクの小隊長な」


「へッ?!」


「だってお前んところ二人練習航空隊に行ったからおらんやろ?丁度ええやん。それにな」


将斗が菅野のに呟く。


「頑張って彼女の心の傷を取り払ったれや」


菅野は急激に顔を朱くした。


「…了解しましたッ!!」


この日、撫子新撰組航空隊に新たな仲間が加わった。(え?外国人は無理?ご都合主義でお願いしますm(__)m)






―――オマケ―――


「シイナシレイカン」


「どうした?」


「モウヒトリ、ワタシノナカマヲヨンデイイデスカ?」


「誰なん?」


「ワタシトオナジブタイニイタ、エカテリーナ・ブダノワデス」


「……三番機決定やな」


「……はい」


菅野小隊誕生。


瑞鶴「御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m」


翡翠「次回もッ!!」


肥前「サービスサービスッ!!てあたしこれだけッ?!」


それだけやろな。

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