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新大東亜戦争  作者: 零戦
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第七十二話 不審漁船ヲ捕獲セヨ




―――舞鶴港―――


「ンーーーッ!!ンーーーッ!!」


ある一隻の漁船に口を白い布で塞がれた女子中学生らしい少女が四人の男に抱えられながら運び込まれた。


「早く行くんだッ!!」


男がハングル語で指示を出す。


「分かってる」


答えた男もハングル語だった。


「こいつどうするんだ?」


「冷凍庫でもぶち込め」


「ンーーーッ!!」


少女が冷凍庫にぶち込まれた。


漁船は速度を上げて舞鶴港を出港した。


だが、舞鶴港を出港して十分後、三機の双発機の接触を受けた。


対潜哨戒機の東海である。


「機長。左十度に漁船です」


「漁船だと?んなもん報告するなよ」


副操縦士からの報告に操縦している機長はうんざりする。


ここ一週間、国籍不明の潜水艦が日本海に出没しているとの報告に連日、哨戒をしていたが何も見つからなかった。


「ですが機長。あの漁船、少し変ですよ。今、午後四時半です。今から漁に出るのはおかしくありませんか?」


「だがな、夜釣りの可能性があるぞ」


「今は戦時下ですよ。いくら日本海でも潜水艦が出るかもしれませんよ?」


「う〜ん。念のために舞鶴基地から水上機を飛ばして臨検してもらうか。一応、漁船の上空を低空で旋回するぞ」


「了解です」


三機の東海は高度五十に下げて、漁船に迫る。


その時である。


「機長ッ!!漁船に対空機銃がッ!!」


「何?」


ダダダダダダダダッ!!


ガンガンガンガンッ!!


「左主翼損傷ッ!!火災は発生していませんッ!!」


「国籍不明艦はあいつらかッ!!ということはまだ付近にいるな。舞鶴基地に急いで打電しろッ!!」


「了解ッ!!」


東海の電文は舞鶴航空基地に届き、九九式艦爆三機が六十キロ爆弾三発を搭載して出撃した。また、舞鶴海軍基地からも護衛駆逐艦三隻が出撃した。


「どうやら去ったな」


漁船の舵を握る男がニヤリッと笑う。


「そのようですね隊長」


傍にいた男も釣られて笑う。


「さぁて、さっさと潜水艦の場所まで行くとするか」


舵を握る男が呟いた時、前方の水平線が光った。


「ん?」


ヒュルルルルルル……。


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


「な、何だッ?!」


グラグラと漁船が揺れた。


「あッ!!日本の軍艦だッ!!」


甲板にいた一人の男が前方を指差す。


男が指差す先には大型の艦と小型の艦がいた。


小型は駆逐艦であり艦名は雪風である。


が、大型艦はまるで大和型を小さくした感じの艦であり、三連装の主砲が前部に二基ある。


しかし、副砲がないので大和型ではない。


では誰なのだろうか?




「見つけたぞ」


大型艦の防空指揮所にいるフランス人らしい女性が呟く。


女性は日本海軍の士官服を着ている。


女性は腰に据えているサーベルを抜き、漁船に向けて吠えた。


「日本海軍所属超甲型巡洋艦一番艦畝傍ッ!!私の初陣を飾らせてもらうッ!!」


その艦は畝傍だった。


といっても明治時代に作られた艦体ではない。


元の艦体は解体されている。


では何故畝傍がいるのか?


実は畝傍を発見した時、日本の造船所である巡洋艦が四隻建造されていた。


史実では計画だけで終わった超甲型巡洋艦である。


この世界では旗艦機能を追加して建造していたのだ。


この一番艦に解体している途中の畝傍をぎりぎりのところで一番艦の船体に転移をさせたのである。(新米士官先生から許可を貰いました)


全長:240m


全幅:28m


吃水:8.8m


基準排水量:32,000トン


兵装 三十一センチ(50口径)三連装砲3基9門、十センチ(65口径)連装高角砲8基16門、40ミリ機関砲三連装4基十二基、二十五ミリ三連装機銃十二基、六十一センチ四連装水上魚雷発射管二基。


水上機(瑞雲)三機。


速度三十四ノット。


艦橋等の形状も大和型戦艦に似ており、大和型を小さくした感じである。


また、重巡ではなく、畝傍型は超巡と表記される事になった。



話しが逸れた。



「二番砲撃ち方用意ッ!!小浜、頼むわよッ!!」


艦橋にいる九鬼副長が小浜砲雷長に応援の言葉を送る。


「任しときなさい。二番撃ち方用意ッ!!……撃ェェェーーーッ!!!」


ズドオォォーーンッ!!


前部二番砲から三発の砲弾が放たれる。




―――漁船―――


ヒュルルルルルル……。


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


「おい、やばいぞッ!!」


「分かってるよッ!!」


漁船にいるハングル語を話す男達―――朝鮮人は焦っていた。


だが、その時である。


ボカッ!!ボカッ!!


「ガッ!!」


「ぐぉッ!!」


突然、甲板にいた男二人が奇妙な声を上げて倒れた。


「おいッ!!どうしたッ!!」


舵を握る男の傍にいた男が倒れた男達に駆け寄る。


だが、


ボカッ!!


「グェッ!!」


男も先程の男達同様に倒れた。


「一体何がどうなっているんだッ?!」


舵を握る男が顔を青ざめた。


ガタッ。


後ろで音がして、振り返ると木の板が浮いていた。


「……へ?」


板は唖然とする男をほっとき、振りかぶって男を叩いた。


ボカッ!!


「ぷげらッ!!」


バタンと男は倒れ、木の板も落ちた。


だが、そこに何かいたのは確かである。




―――冷凍庫―――


ガチャと冷凍庫の扉が開いた。


中には紐で縛られた少女がいる。


少女は目の前に見かけない少女が不審に思った。


が、少女は紐を解き、口を塞いでる布を取る。


「あの…貴女は?」


「…この船の船魂よ」


「へ?」


「とりあえず、甲板に出ましょう」


女子中学生は少女に促されるまま、甲板に出た。




―――駆逐艦雪風―――


「艦長ッ!!少女がいますッ!!おそらく、行方不明の女子中学生だと思いますッ!!」


「分かった。漁船に接舷する」


雪風艦長の寺内大佐の命令の元、雪風は漁船と接舷し、気絶している四人の男達を取り押さえ、女子中学生を保護した。


「…船魂…ですか?」


女子中学生は寺内艦長から水を貰い、漁船で出会った少女の事を話していた。


「まぁ船魂や艦魂は稀な人にしか見えないからな。後でお礼でも言っといたらどうだ?」


後に、女子中学生と漁船の船魂は再び出会い、親友となるのである。






―――空母瑞鶴―――


「山口長官。拉致事件は無事に解決しましたね」


艦橋で将斗が山口に話し掛ける。


「あぁ。だがな、一つ厄介な電文が来ているんだ」


山口が将斗に電文を渡した。


電文の中身は『韓国デクーデターアリ。朝鮮半島、分裂ス。第二機動艦隊ハ北朝鮮ノ首都ト呼バレル平壌ヲ爆撃セヨ』と書かれていた。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m



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