第六十八話 超空の要塞ヲ撃破セヨ中編
やっと出来た〜。f^_^;
日本軍はコタまで進出していた。
途中、米英独の陸軍部隊が攻撃してきたが、制空権はほぼ日本が抑えているため敗走を重ねてきた。
各地の部隊も敗走又は、降伏といった形で壊滅している。
そのため、残存部隊は全てデリーに集結していた。
―――コタ航空隊飛行場―――
滑走路に第二機動艦隊から派遣されてきた特戦三機、陣風十五機が翼を休めていた。
「……そろそろやな」
戦闘機待機所で将斗が呟く。
待機所にいた翡翠、昴、笹井等は飛行眼鏡等を装備する。
その時、サイレンが鳴り響いた。
『ウウウゥゥゥゥゥ〜〜〜ッ!!!』
『空襲警報発令ーーーッ!!総員戦闘配置につけッ!!』
スピーカーから航空隊司令官の有馬正文少将の怒鳴り声が基地内に響く。
「帽振れぇぇぇーーーッ!!」
飛行長の掛け声のもと将斗機以下十八機が離陸していった。
ちなみに何故陣風がいるのかというと陣風を艦上機型にするという案が出ておりたまたま第二機動艦隊がテスト運用しているところに出撃命令がきたのだ。
むろん主翼下には対空ロケット弾を装備している。
『敵機の高度は一万です』
彩雲からの報告だ。
「了解やッ!!」
キーンと快適な排気音を奏でながら十八機は上昇する。
――B―29部隊隊長機――
部隊隊長のシャンク・ヘンリー中佐は、編隊の先頭を飛ぶB―29の機内の専用席に座り、マグカップに注がれたブラックのコーヒーを飲んでいた。
エンジンによって圧縮・過熱された空気の満ちている機内では、油断していると、すぐに眠くなる。
そのため、どうしてもコーヒーをがぶ飲みすることになってしまうのだ。
「前方上空に敵機の機影ですッ!!距離は、約五十マイルッ!!」
ふいにレーダー手の声が、耳に当てたレシーバーから流れてきた。
搭乗員間の連絡を使うインターホンを通じての声だ。レーダーを操作するレーダー手は、機銃手とともに、後部与圧室にいた。
B―29には、夜間、あるいは昼間でも、雲上から地上の目標を爆撃できる対地レーダーが備えつけられている。
そのほかに、接近してくる敵機、あるいは、味方機の位置をさぐるための対空レーダーも総員されていた。
対空レーダーは、半径百キロ内にいる航空機の位置を探知することができた。
「糞ッ!!来たかッ!!」
ヘンリー中佐は、窓ガラス越しに、周囲の空に視線を走らせた。
もちろん敵機が見えるわけではない。
敵機の位置は五十マイル(約八十キロ)も先なのだ。
だが、八十キロといっても、時速四百キロの巡航速度で飛ぶB―29なら、十二分で到達する距離だ。
しかも相手がこちらに向かっているのなら、その半分以下の時間で遭遇することになる。
「全機、戦闘配置につけッ!!」
ヘンリー中佐は、無線電話のマイクに向かって叫ぶと、マグカップのコーヒーを飲み干し、慌てて飛行服と飛行帽、そして酸素マスクを身につけた。
「行くでッ!!」
将斗は前方から迫る銀色の光の帯を見ながら、酸素マスク内の無線電話用マスクに向けて声を発した。
翡翠達十七機の列機が、かすかに主翼をバンクさせる。
あまり大きく機体を傾けると、空気が薄いため、それだけで高度を落とすことになる。
それをさけてバンクも小さなものにしていたのだ。
頭上に輝く太陽の光を受けて、九十六機のB―29の編隊は、銀色に光る帯となって迫ってくる。
「全機突撃やッ!!一機残らず撃ち落とせッ!!」
将斗は、酸素マスクの中で叫ぶと同時に、右手で操縦桿を前に倒した。
同時に左手でスロットルレバーを全開の位置まで押し出す。
エンジンが咆哮し、僅かに遅れて排気タービンの回転音が聞こえてきた。
キィィーーンッ!!
排気音が甲高い金属音に変化し、蒼零がグイと加速する。
B―29の編隊があっという間に迫ってきた。
距離が五百を切った時、九十六機のB―29が、一斉に背中の旋回機銃を発射した。
ダダダダダダダッ!!
飛び交う火箭は、漁網よりも狭い銃弾の網となり、蒼零をからめ取ろうとする。
「んなもん当たるかァァァーーーッ!!」
蒼零が吠える。
「その通りや」
将斗もニヤリッと笑いながら操縦桿を左右に振り、同時に両足でフットバーも細かく操作した。
排気タービン過給器のない戦闘機では、このような操縦はタブーであった。
機体が傾いただけで、ストンと千メートルも二千メートルも落ちてしまうからである。
だが、エンジンが全開となり、さらに排気タービン過給器の回転も最大となった蒼零は操縦桿とフットバーの動きに見事に迫随した。
機体が左に右に傾き、横滑りするが、落下することはない。
排気タービン過給器のおかげで充分な推力が得られているのだ。
その動きに、B―29の機銃手も戸惑っていた。
緩慢な動きを見せていた従来の戦闘機とはちがい、きびきびと動き、しかも、スピードも出ていたからだ。
B―29の旋回機銃から発射された機銃弾は蒼零が通り過ぎた後を薙ぎ払うばかりだ。
先頭のB―29までの距離が三百メートルまで詰まる。
「落ちろォォォーーーッ!!」
気合い一閃、将斗は操縦桿に追加されていた噴進弾の発射ボタンを押した。
バシュンッバシュンッ!!
機体が小刻みに揺れ、両翼の下から白い噴煙が飛び出す。
その数は二。
噴煙の先には黄色い炎が見える。
将斗が発射したのは噴進弾だ。
噴進弾はヘンリー中佐機に向かった。
「ウアアアァァァァァッ!!」
ヘンリー中佐はB―29の機内で声をあげた。
正面上空から迫る敵戦闘機から、噴進弾が発射されたからである。
しかも、そのロケット弾は、白い噴煙を引いて、まっしぐらにヘンリー中佐機に飛んでくる。
ドグワッ!!
ガッシャァーーンッ!!
ガラスを突き破って機内に飛び込んだロケット弾が、操縦席で炸裂した。
ドクワァァーーンッ!!
風防ガラスが吹き飛び、ジュラルミンが砕け散る。
与圧され、高い気圧になっていた機体から一気に空気が流れ出る。
「ギャアァァァーーーッ!!」
ヘンリー中佐は、他の乗員とともに、機体の外に吸い出された。
将斗の放った噴進弾二発はB―29の機首と右主翼の付け根を直撃した。
機首の風防ガラスを突き破った噴進弾は操縦室内で炸裂し、内側から風防ガラスと胴体のジュラルミンを吹き飛ばした。
猛烈な勢いで飛び出したのは炸裂による暴風のせいだけではない。
与圧され、高圧になっていた機内の空気が、一挙に飛び出したせいで何人かの搭乗員が、座席ごと吸い出されるのを将斗は見た。
右主翼の付け根に命中した噴進弾はそのまま炸裂した。
流石の生ゴムの自動漏洩防止バッグも、噴進弾の弾頭に詰まった炸薬の爆発で、一瞬にして吹き飛ばされてしまった。
ハイオクタンのガソリンが、白い霧となって空中に飛び散る。
排気タービンから排出されていた高音の排出ガスが、ガソリンの霧に火をつけた。
ドゴオォォォーーンッ!!
B―29の右主翼付け根が、オレンジ色の巨大な火球に包まれ、ベキッとへし折れた。
ガクンと右に傾いたB―29は、そのまま機首を右下に向け、横滑りするように落下する。
そこには別の機がいた。
下にいたB―29は、頭上から炎に包まれ、横滑りしてきた指揮官機に左主翼を直撃された。
激突した二機のB―29は、主翼同士を絡ませたまま、広大なインドに落ちていく。
あわてふためくB―29の部隊に翡翠達十七機が次々と噴進弾を叩き込む。
また一つ、また一つと火球が出る。
だが、それを擦り抜けていくB―29が約五十機。
将斗達は追いたかったが、噴進弾の攻撃で傷ついたB―29八機を撃墜することを優先した。
コタに侵入した約五十機は爆弾倉を開いた。
その時、地上から十二個の光りが現れた。
高角砲だろう。
「んなもの当たるかよッ!!」
B―29のあるクルーが見下すように叫ぶ。
だが、当たった。
ドゴオォォォーーンッ!!
「NOッ!!敵の花火弾だッ!!」
落ちていくB―29の中で敵の事情に詳しい者が悲鳴に近い声を出す。
彼らを襲ったのは史実では間に合わなかった十五センチ高角砲である。
たまたまボンベイに十二門を配備していたのだ。
最初の空襲時に使いたかったが、まだ揚陸中だった。
十五センチ高角砲は鬱憤ばらしにと次々と三式弾を撃つ。
初撃で九機を撃墜。
再び、また一機、また一機とB―29は落とされていく。
やむを得ず、様子を見ようとした時、傷ついた機を片付けた将斗達が残存部隊に襲い掛かる。
三十ミリ、二十五ミリ機銃弾がB―29の装甲を撃ち破って落としていく。残存のB―29の部隊は慌てて爆弾を投下して撤退した。
結局、米軍のコタ空襲は失敗した。
残存のB―29は二十八機、そのうち再度出撃できる機体は僅かの十六機だけだった。
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