表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新大東亜戦争  作者: 零戦
53/131

第四十四話 インド洋大航空戦前編



―――セイロン島航空基地―――


「………」


搭乗員達が整列している。搭乗員達の前には第一航空艦隊司令長官大西瀧治郎中将がいた。


皆、手にオチョコを持っている。中身は酒である。


「……皆の者。いよいよ皇國の一戦が始まる。……生きて帰れない者もいると思うが無理はするな。必ず帰ってこい。以上だ」


『敬礼ッ!!』


飛行長が叫ぶ。一斉に敬礼をする。むろん大西も返礼する。


搭乗員達は一斉に酒を飲む。飲み終わるとオチョコを下に投げて割った。


『総員かかれッ!!』


再び飛行長が発し、搭乗員達はバラバラと自分の乗機へと向かう。


『帽振れぇーーーッ!!』


手の開いた整備員や対空火器員達が一斉に帽を振る。


指揮所でも大西中将達が帽を振っている。


零戦隊の一番機がゆっくりと発進していく。


一機が飛び立つと、後続の零戦が発進する。


全機が上空に上がったのは一番機が飛び立ってから四十分後である。



攻撃隊の数はと。


零戦四百二十機。


九六式陸攻三百六十機。


一式陸攻三百六十機。


重爆深山九十六機。


一方、陸軍の攻撃隊は。


隼四百二十機。


九七式重爆三百機。


百式重爆撃機呑龍三百三十機。


九九式軽爆撃機三百三十機。


大攻撃隊が千二百キロ先の敵艦隊へ向かう。


その頃、セイロン島を出撃し、敵連合軍艦隊との距離が六百キロになった日本海軍連合艦隊では攻撃隊が今まさに発艦しようとしていた。




―――旗艦戦艦大和―――


「全空母、攻撃隊発艦準備完了ですッ!!」


伝令が山本五十六に知らせる。


「………」


山本は無言で頷く。


「長官……」


傍らにいた宇垣参謀長が声をかける。


「第一機動艦隊から順次発艦せよ。目標敵艦隊の殲滅だッ!!」


「了解ッ!!」


伝令が再び走り出す。


「それと……Z旗を上げろ」


「ハッ!!」


数分後、大和にZ旗が掲げられた。




―――空母赤城―――


「Z旗が上がったわね……」


防空指揮所で赤城は呟く。


飛行甲板では攻撃隊がプロペラを回して今まさに発艦しようとしていた。


発着艦指揮所で緑の旗が振られた。発艦せよの合図である。


零戦隊の一番機である板谷茂少佐機がゆっくりと動きだした。


板谷機が発艦すると二番機も発艦していく。


第一機動艦隊所属の空母から次々と攻撃隊が発艦していく。


全機上がったのは約三十分後であった。


「直ちに第二機動艦隊は攻撃隊を発艦させろ」


山本長官の命令はすぐに瑞鶴に渡る。




―――空母瑞鶴―――


「……無理はするな。無理だと判断したら急いで投棄しろ。無駄な命は散らせたくはない。いいなッ!!」


『ハッ!!』


搭乗員達は乗機へと向かう。


将斗も行こうとしたが瑞鶴に呼び止められた。


「どうした瑞鶴?」


「…その…なんだ…これを……」


瑞鶴がそっと将斗の手に渡したのは青いマフラーだった。


「少しずつ編んでいたんだ」


「……ありがとうな」


将斗が瑞鶴の頭を撫でる。


「〜〜〜ッ!!」


「んじゃ行ってくるわ」


将斗が瑞鶴に手を振り、乗機に駆け寄る。


「ぁ……」


瑞鶴はなんだか胸騒ぎがした。


やがて、発着艦指揮所から緑の旗が振られた。


グオォォーーンッ!!


将斗機が飛行甲板を蹴って大空へと飛んで行く。


続いて翡翠機、昴機、信一機が続く。


信一は自分も戦いたいと言ったため急遽参加した。


『蒼零、調子いいか?』


将斗は胴体に座っている蒼零にテレパシーで話す。


『今日も調子いいで将斗』


飛行服を着た蒼零はニカッと笑う。


「そうか」


将斗と蒼零が話しをしていると攻撃隊は全機揃った。


攻撃隊隊長は村田重治少佐である。


攻撃隊は一路、第一機動艦隊の攻撃隊を追って敵連合軍艦隊へと向かった。



さて、攻撃に向かったセイロン島の第一航空艦隊は敵連合軍艦隊の上空にきていた。




―――総隊長野中五郎少佐機―――


「親分ッ!!敵連合軍艦隊ですッ!!」


「よっしゃーーーッ!!よくやったッ!!」


偵察員の報告に芝居かかった返事をする野中少佐。


「全機突撃ッ!!敵艦のケツに魚雷叩き込めッ!!」


通信兵がすぐさまキーを叩く。むろん電文は『トトト』のト連送である。


深山等は八百キロ徹甲爆弾を搭載している。魚雷を搭載している一式陸攻隊と九六式陸攻隊は高度を下げる。


その時、大群の敵戦闘機が来た。米ワイルドキャット、伊マッキ、独メッサーシュミット、英シーファイヤーである。


野中は散らばろうとしたが、新郷英城大尉率いる零戦隊と加藤建夫中佐率いる隼隊がスっと前に出た。


「助かるぜ。全機速度を上げろッ!!」


一式陸攻隊は低空を飛行する。






―――新郷英城大尉機―――


「一機残らず叩き落とせッ!!」


新郷大尉は無線にそう叫ぶと、スロットルを絞り敵戦闘機群へと突っ込んだ。


さて、ここで遅れたが敵連合軍艦隊の陣容を説明しよう。


連合軍艦隊は四国の艦隊で編成されている。


米戦艦は真珠湾で大破着低している以外の艦が参加。


英や独の戦艦もキング・ジョージ五世やビスマルクを筆頭に多数いる。


だが、野中少佐達の役目はそれではなかった。


「目標敵護衛艦ッ!!」


野中少佐が率いる中隊は一隻の巡洋艦を狙った。


防空巡洋艦のアトランタ級である。


ズドドォォーーンッ!!


ドンドンドンドンッ!!


ドドドドドドドッ!!


連合軍艦艇からもの凄い対空砲火が繰り出された。


グワアァァーーンッ!!


グワアァァーーンッ!!


敵艦から撃ち出された対空砲弾が次々と一式陸攻隊と九六式陸攻隊に襲い掛かり、直撃を受けた機体が爆発四散した。


「十一番機、十三番機やられましたッ!!」


「くそッ!!敵艦との距離は?」


野中は偵察員に尋ねる。


「三千二百です」


「二千になったら投下する」


野中の言葉を聞き、偵察員が標的艦までの距離の測定を開始する。


「二千八百……二千四百……」


辺りは既に弾幕で、発煙筒を何千本も束にして焚いたかのようであった。


「二千二百……二千ッ!!」


「魚雷撃てーーーッ!!」


「投下ーーーッ!!」


魚雷係が復唱して魚雷を投下した。


魚雷を投下した機体はすぐさま離脱するため上昇する。


「隊長、駄目ですね。外れます」


魚雷の行方を見ていた偵察員が悔しそうな声を出す。


「いいんだ。あれでな」


偵察員はこの言葉に首を傾げるがそれはすぐに現実となった。


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


「えッ?!魚雷命中ッ!!」


「やっとか…」


「どういう事ですか?」


偵察員が野中に尋ねる。


「今のは潜水艦の攻撃だ」





―――伊一六八―――


「命中だッ!!」


艦長の田辺弥八少佐が喜びの声を上げると乗組員達も歓声を上げる。


「やったやったッ!!」


一六八は大喜びである。


そろそろ何故潜水艦がいるのか説明しよう。


先日の深山が敵連合軍艦隊を発見する前にセイロン島に集結していた伊号潜水艦六十隻は出撃していた。


深山の報告を受けた潜水艦部隊は一足先に到着し、連合軍艦隊を監視をしており攻撃の機会を伺っていたのだ。


この時、部隊は連合軍艦隊の左右に展開していた。言わば挟み撃ちである。山本五十六は第一航空艦隊を囮にして、潜水艦の奇襲攻撃をしたのだ。


本来は、一式陸攻隊や九六式陸攻隊は八百キロ徹甲弾を装備する予定だったが雷撃機がいないと怪しい思うと判断したため急遽魚雷に兵装転換したのだ。


「隊長。次々と魚雷が命中してます。あっ、また命中しました」


偵察員が野中に報告する。


野中は連合軍艦隊を見たが爆弾が命中した様子は少ししかなかった。


陸軍機も奮闘したが慣れない洋上飛行のせいで爆弾は外れたのだ。


仕方なく野中は帰還しようとした時、前方から飛行編隊が来た。


第一機動艦隊から放たれた攻撃隊である。




―――淵田中佐機―――


「全機突撃やッ!!」


淵田機からト連送が放たれ、艦爆隊は護衛艦を、艦攻隊は敵空母を狙う。ただし、水平爆撃でだが。




―――関衛少佐―――


「突撃ッ!!」


関は操縦桿を倒して急降下を開始する。


敵戦闘機は板谷茂少佐達が格闘戦を展開している。


関は一隻の重巡を狙った。


それは米重巡ミネアポリスである。


標的となったミネアポリスは対空砲弾を撃ちながら必死の回避運動をする。


ドンドンドンドンッ!!


ダダダダダダダッ!!


グワアァァーーンッ!!


グワアァァーーンッ!!


「四番機、七番機爆発四散ッ!!」


後ろにいる偵察員が報告する。


だが、関は聞いていない。ずっとミネアポリスに集中している。


高度が五百になった時、二百五十キロ爆弾を投下した。


「撃ぇーーーッ!!」


ヒュウゥゥーーンッ!!


関は素早く操縦桿を引く。


ズカアァァーーンッ!!


ズカアァァーーンッ!!


「命中ですッ!!」


偵察員が歓喜の声を上げる。


爆弾は三発命中していた。しかしそれと引き換えに五機も失った。





―――淵田中佐機―――



「目標敵レキシントン級やッ!!」


淵田が列機に指示を出す。


淵田は照準器を覗く。高度三千では空母もマッチ箱の大きさだ。


「投下用意……撃ぇーーーッ!!」


ヒュウゥゥーーンッ!!


淵田機がサラトガに向けて八百キロ徹甲爆弾を投下すると八機の列機も次々とサラトガに投下した。


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズシュウゥゥーーンッ!!


ズカアァァーーンッ!!


「やったで命中やッ!!」


「でも一発だけですね」


操縦士の松崎が淵田に言う。


「当たっただけでも儲けや。後は村田や椎名に任せようや」


淵田は攻撃隊ん纏めると帰投した。最初は四百機近い攻撃隊だったが攻撃後は二百八十機程しかいなかった。





―――キング・ジョージ五世―――


「くそッ!!ジャップの奴らめッ!!」


艦橋で総司令長官のトーベイ大将は喚いていた。


「攻撃隊は送れたのか?」


トーベイは航空参謀に尋ねる。


「約五百機程、発艦しました」


「よし、ジャップを徹底的に叩けッ!!」


トーベイが指示を出す。


一方、防空指揮所にいたキング・ジョージ五世はというと。


「被害の状況は?」


「沈没艦、駆逐艦三十二隻、軽巡五隻、防空巡一隻、護衛空母九隻です。大破重巡一隻、中破空母レキシントン以下八隻です。戦艦は全艦無傷です」


部下の駆逐艦が被害を報告する。


「ふんッ!!ジャップの奴らも案外やるわねッ!!けど、ヤマトは必ず沈めるわよッ!!」


キング・ジョージ五世は士気を高めようとしたがそれは散り去った。


『敵機来襲ッ!!数約五百程ッ!!』


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ