第四十三話 決戦前の宴会……そして発見
日本海軍連合艦隊全艦艇はセイロン島に入港していた。
山本長官は全乗組員に対して多くの酒樽を用意し、飲むように指令した。
「山本長官も気前がいいよな」
大和第三会議室で酒を飲む将斗と信一。将斗と信一の周りには多くの艦魂達がワイワイとしながら酒を飲んでいる。むろん翡翠と昴を筆頭に香恵や琥珀達もいる。
「次、二水戦司令神通、一升瓶一気飲み行きま〜す」
「行けーーーッ!!神通司令ッ!!」
神通の酒の一気飲みを応援する二水戦の艦魂達。
「お〜、行け行け神通〜。失敗したらもう一本だぞ〜」
宇垣がまだ封を開けていない酒を振り回す。
「フっ、酒の飲みあいなら負けん」
「フ、所詮は人間。人間は艦魂に負けるのが妥当なのだ」
小沢と飛鷹が酒の飲みあいを開始してる。
「う〜む、やはりな○ははいい」
「貴様は酒を飲みながら何故アニメを見てるんだ」
近藤信竹がな○はを見て、鞍馬が突っ込む。
「細萱中将。胃薬は?」
「今日ぐらい構わん」
河内は細萱の心配をしているが大丈夫のようである。
「うにゅ〜〜。旦那様〜〜」
「おい、緋龍。引っ付くな」
「むぅ〜。良いじゃないですか〜」
「こら〜、緋龍〜。信一に引っ付くな〜。信一〜私とくっついて〜」
「ゲッ!!陸奥、目茶苦茶酔ってるやん」
信一は左右に抱き着かれて身動きが出来ない状態である。
「なぁ、銀龍。緋龍のとこに行かなくていいんか?」
いつものように緋龍が信一といちゃつくのを阻止しているが今回は阻止していない。
「……いいんだ。あの男なら姉様を任せられる」
銀龍はそう言うとくびっと酒を飲む。
「そうか、銀龍も大人になったな」
よしよしと将斗が銀龍の頭を撫でる。
「っ〜!!」
カァーーっと顔を朱くする銀龍。
「将斗〜。何してんや〜」
とそこへ、酔ってる蒼零が来る。右手に一升瓶を持っている。
「将斗〜、そんな奴より俺の胸見ろや〜」
蒼零はそう言うと服を脱ごうとする。
「わっ、馬鹿止めぃやッ!!」
慌てて将斗が止める。
「むぅ〜〜o(><)o将斗は俺の胸は見たくないのか?そんなに嫌なのか?」
「いや、蒼零のはとても魅力的やで。でもな昴と翡翠に比べたら……」
将斗は後ろから波○砲並の殺気を感じた。振り返ると瑞鶴を筆頭に艦魂達が将斗を睨んでいた。
「……将斗殿」
「は、はいッ!!」
松島が将斗を呼ぶと思わず将斗は立ち上がる。
「……昴と翡翠で……その……一夜を供にしたのか?」
「………」
将斗が黙っている。
「……答えろ」
「……やりました」
沈黙が会議室に流れる。山本達は笑いを堪えてる。
「……よし。なら今からでも遅くはない」
「えっ?」
「総員、将斗殿と一夜を過ごすぞッ!!」
『オォーーーッ!!』
「止めぇぇぇいーーーッ!!」
目が逝ってる艦魂達が将斗に襲い掛かる。流石に哀れや。
「哀れやと思うんやったら助けろーーーッ!!」
チッ。仕方ないな。
艦魂達は将斗の服を取り、後もう少しとした瞬間にパタりと崩れる。寝てしまったようだ。
「………もうお婿に行けない……」
半泣きしながらポツリと呟く将斗である。
「んじゃ私の婿になる?毎日コスプレの着せ替えするよ」
「コスプレは嫌やッ!!(即答)」
「なんで即答なんやねんまーくんッ!!」
「当たり前やろ」
横からボソッと呟く昴。
「……まぁ、とりあえずお開きやな」
信一が辺りを見回す。ほぼ全員が寝てる。坂井なんか霧島を腕枕をして寝てる。二人とも幸せそうに寝てる。
「長官達はどうしますか?」
信一が山本達に尋ねる。
「俺はまだ日進といるよ」
「ふん。仕方ないだけだからね。分かった五十六?」
「はいはい」
「小沢長官は?」
「まだ飛鷹と決着がついておらん。まぁ後少しで私の勝ちだがな」
「くっ、まだだ」
二人は再び酒を飲む。
「山口長官は?」
「もう帰るよ。少し飲み過ぎたな…」
「近藤長官は?」
「う〜、飲み過ぎや。鞍馬〜水や水〜」
「全く、人が止めてるのに無茶するからだ」
鞍馬が近藤の肩を持つ。
「近藤長官は大丈夫やな。細萱長官は?」
「か、河内。すまん胃薬だ」
「無茶するからですよ。はい胃薬です」
「こっちも大丈夫やな。それではこれでお開きです」
ぞろぞろと起きてる艦魂は自艦に帰る。
「んじゃ俺は蒼零と瑞鶴送るわ」
将斗が二人を担ごうとすると昴に呼ばれた。
「待て将斗。蒼零は俺が担ぐ」
「ん、ありがとう」
将斗は蒼零を昴に渡す。
そうして各艦に帰って行った。
―――空母瑞鶴艦内―――
「うぅ〜、やばい。俺も飲み過ぎたな」
てゆーかお前は未成年やで。
「体は十八やけど、心は二十八や」
コ○ンかお前は……。っと将斗は瑞鶴を抱えて瑞鶴の部屋に入る。
「ほれ、着いたで」
将斗は瑞鶴をベッドに運ぶ。
「うぅ〜ん」
瑞鶴は気持ち良さそうに寝ている。将斗もうとうとしてきた。
「あかん…。眠たいわ」
将斗は瑞鶴のベッドにモゾモゾと入り込んだ。(笑)
そして翌日。
「……ぅん…朝か……」
窓から流れ込む太陽の光に眩しさを感じて目を覚ます瑞鶴。
「……ん?」
ふと、瑞鶴は左に暖かい物を感じた。
「何だ?」
瑞鶴が毛布をめくるとそこには将斗が寝ていた。
「―――なぁッ!!///」
瑞鶴は顔を真っ赤にすると、将斗が起きた。
「………」
「…ま、将斗///」
黙っている将斗を見て思わず瑞鶴は声をかけた。
「……まだ五時半やないか。寝るわ、ほら瑞鶴も寝るで」
そう言って将斗が瑞鶴を寝さす。
「ちょ、将斗ッ!!///」
瑞鶴は顔を真っ赤にして暴れる。
「暴れるな瑞鶴。ちゃんと毛布と布団を被れ。風邪を引くで」
どうやら将斗は寝ぼけている。(笑)
寝ぼけた将斗は瑞鶴を寝かす。
「ほら、寒いやろ。ちゃんと体くっつけろや」
グイっと将斗と瑞鶴が抱き合うような形になる。
「ぁ……///」
カアァァっと顔を朱くする瑞鶴。
「んじゃおやすみ」
そんな瑞鶴の気持ちも知らない将斗は再び寝始める。
「……………//////」
瑞鶴は起きたまま約一時間ずっと将斗と抱き合うような形でいた。
その後、瑞鶴を起こしにきた翔鶴に見つかり、この事は昴達の耳に入り、将斗がしばかれたのは別の話しだった。
―――セイロン島南々西約二千四百キロ地点辺り―――
一機の大型機が高度四千を飛行していた。
飛行していたのはセイロン島から哨戒飛行中の重爆深山偵察機型である。
この世界の深山は史実のような失敗作ではなかった。
爆撃機型は速度五百十五キロ、航続距離六千四百キロ。偵察機型は速度は同じで、航続距離は八千四百キロである。
偵察機型の深山はセイロン島に二十四機いた。その内の一機が航跡らしきものを発見した。
「操縦士。高度を下げよう」
機長の福井少尉は操縦士に高度を下げさせた。
そこには幾つもの艦艇が大艦隊を組んで航行していた。
「連合艦隊司令部に打電ッ!!敵大艦隊発見ッ!!急げッ!!」
通信士が急いでキーを叩く。
「敵戦闘機接近ッ!!」
機銃手が叫ぶと十二.七ミリ機銃を撃った。
ダダダダダダダッ!!
敵戦闘機は独メッサーシュミットであった。
「速度を上げろッ!!逃げるぞッ!!」
福井少尉が叫ぶ。深山は全速力で逃げる。
幸い、福井機は逃げ切る事に成功し、セイロンに帰還した。愛機から降りて確認すると、福井機には百発近くの弾痕が残っていた。
―――戦艦大和―――
「長官……」
「うむ、全艦に発光信号。全艦出撃せよッ!!」
連合艦隊全艦艇はセイロン島を出港し、一路敵大艦隊を目指した。
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