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新大東亜戦争  作者: 零戦
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第三十三話 セイロン及びアッズ環礁を攻略セヨ




十月下旬、セイロン島南東沖を二つの艦隊が輪形陣を組んで航行していた。第二機動艦隊と第三機動艦隊である。


第二機動艦隊と第三機動艦隊の空母の飛行甲板にはずらりと多くの飛行機がいた。飛行機の胴体下には二十五番爆弾や六番爆弾や航空魚雷が備えられている。


空母瑞鶴の飛行甲板では、将斗が部下の撫子新撰組搭乗員達に指示を与えていた。


「いいかッ!!俺の突撃命令後は各隊長の指示に従えッ!!……赫親分、ブツさん、よろしくお願いします」


将斗が高橋赫一と村田重治に頭を下げる。


「任してくれよ将斗君」


「敵艦は俺の魚雷で撃沈するさ」


二人は意気込むが村田の偵察員の星野が口を開く。


「でも隊長。艦攻隊は隊長直卒以外は魚雷ではなく爆弾ですけど」


途端に村田の顔が真っ赤になる。


「あれ?そうか。間違えたな」


はははと村田が笑う。それに釣られて周りの隊員も笑う。


「よし。では全員搭乗ッ!!」


将斗の号令で搭乗員達が各々の搭乗機に駆け足で駆け寄る。


「原田、土方。無茶はするなよ」


皆が搭乗機に駆け寄る中、将斗が琥珀と香恵に釘を刺す。


「うむ。充分分かっている」


「将斗、心配するなよ。俺と香恵はそんなすぐ簡単に落ちやしないぜ」


二人の言葉に一応将斗は納得する。


「……わかった。だが気をつけろよ」


将斗はそう言うと愛機に乗る。すかさず将斗は計器を点検しようとしたが蒼零に呼び止められた。


「点検せんでも大丈夫や。ばっちしやで」


「そうか」


蒼零はアンテナと尾翼の真ん中の胴体上に座る。蒼零いわく、空戦になるとそこで戦うというのだ。


艦隊が増速し、風上へと艦首を向けはじめた。艦載機の発艦に必要な合成風を得るためだ。


「帽振れーーーッ!!」


飛行長の号令に手の空いた整備員や、対空火器員、艦橋にいた山口多聞長官ら全員が一斉に帽振る。もちろん瑞鶴も帽を振る。


「行くか」


将斗は呟くと零戦を発進させる。軽やかに零戦が飛行甲板を蹴り、蒼い空へと飛んで行く。将斗の後を追うように、翡翠機、昴機、坂井機が次々と発艦する。


「頼むぞ……」


防空指揮所にいた瑞鶴は将斗機に向かって敬礼し、生還を祈る。艦魂である自分はこれくらいしか出来ない。


瑞鶴は編隊を組んだ攻撃隊を見えなくなるまで敬礼した。将斗達攻撃隊が発艦した後、アッズ環礁攻撃隊が飛行甲板に並べられ、江草隆繁少佐を隊長とする攻撃隊が発艦し一路、アッズ環礁を目差した。




さて、飛び立った攻撃隊はというと、見事な編隊を組んで、第二機動艦隊の攻撃隊はコロンボ、第三機動艦隊の攻撃隊はトリンコマリーへと向かう。




―――制空隊―――


隊長椎名将斗少佐。


零戦七十二機。


―――艦爆隊―――


隊長高橋赫一少佐。


九九式艦爆七十二機。


―――艦攻隊―――


隊長村田重治少佐。


九七式艦攻七十二機。



計二百十六機である。総隊長は村田重治少佐である。


今回の作戦から九九式艦爆と九七式艦攻の改良型が第二機動艦隊と第三機動艦隊の空母に配られている。




―――九九式艦爆三二型―――


最大速度 四百九十五キロ。


発動機 三菱金星エンジン千六百三十馬力。


上昇限度 九千二百メートル。


航続距離 二千二百キロ。

武装 機首七.七ミリ機銃×二、十二.七ミリ旋回機銃×一。


二百五十キロ爆弾×一。六十キロ爆弾×二。


乗員 二名。





―――九七式艦攻三二型―――


最大速度 四百八十五キロ。


発動機 三菱金星エンジン千六百十馬力。


上昇限度 八千九百メートル。


航続距離 二千四百キロ。

武装 機首七.七ミリ機銃×二、十二.七ミリ旋回機銃×一。


航空魚雷×一。八百キロ爆弾×一。二百五十キロ爆弾×三。六十キロ爆弾×六。


乗員 三名。




以上の改良型は威風堂々に進撃して行く。そこへ先行していた二式艦偵より無線が入った。


『こちら、飛龍偵察隊一号機。コロンボに敵艦隊あり。繰り返す、敵艦隊あり。飛行場にも敵戦闘機視認。その数、七十機程なり』


「いたか……。ブツさん聞きました?」


将斗が村田に話し掛ける。


「ああ、聞いたぞ。将斗、どうするんだ?」


村田の発言に将斗は思わず苦笑した。


「どうするって村田さん、貴方が総隊長なんですから」


「それもそうだな。艦攻隊は全機敵艦隊を攻撃。艦爆隊は敵飛行場攻撃だッ!!」


全機が了解の意味を示す小さなバンクをする。その直後、


「右、島影視認ッ!!セイロン島発見ッ!!」


一機の九九式艦爆が激しくバンクして進路を変える。後を追うように、攻撃隊も続く。


将斗も続こうとした時、三人の声で行くのを止めた。


『将斗ッ!!(隊長ッ!!)二時の方向に敵機発見ッ!!』


三人とは昴、蒼零、そして坂井一飛曹である。


将斗が二時の方向を見るとうっすらと二十数機いた。ちなみに蒼零はテレパシーで知らせた。


「よくやった坂井、昴、蒼零ッ!!蒼龍の零戦隊は攻撃隊の護衛だッ!!」


「了解ッ!!」


蒼龍零戦隊の菅波大尉から無線が入る。


将斗を先頭に零戦隊は敵機を目指す。


だがその時、坂井から無線が入る。


「隊長ッ!!敵機の後方にさらに敵機発見ッ!!」


「何やてッ!!」


将斗は急いで先程発見した敵機の後方を見るが全然見えない。だが将斗は坂井の言葉を信じた。理由は史実でもポートモレスビーでの攻撃の時に同じようなことがあったからだ。


「よし、坂井。案内しろ」


「了解ッ!!」


坂井機が将斗の前に出て零戦隊を誘導する。坂井によると敵機は三群に分かれており、二十数機ずつとのことだ。それに敵機もまだ気付いてないとのことだ。


ようやく将斗でも敵機が見えてきた。やはり坂井のゆうとおりで三群に分かれている。


将斗は、敵の三群への反復攻撃を決心した。しんがりの敵を食ったら素早く次の編隊き襲い掛かる。敵が混乱しているうちに先頭の一群をも襲う。史実で笹井醇一中尉がやってのけた三機三段飛び撃墜を、編隊でやってのけようというのである。軽快な運動性能を持つ零戦だから出来ることである。


坂井機も分かったらしく味方を誘導しつつ大回りして、しんがりの敵機編隊の後ろに回ると坂井機は急速に距離を詰めていった。高度は一千メートル、こちらに利がある。


距離五百の時、将斗が突撃命令を出した。


「全機突撃ッ!!片っ端から撃ち落とせッ!!蒼零行くでッ!!」


「おうッ!!」


蒼零が刀を抜く。


将斗は大きく左にバンクし、左フットバーを蹴って、切り返すと一気に急降下する。翡翠機、昴機、坂井機等の零戦隊も急降下する。


将斗が狙ったのは敵の第二小隊長機である。照準器に敵影がいっぱいに迫って来ると、同時に、十二.七ミリを浴びせた。


ダダダダダダダッ!!


敵機は火も噴かず呆気なく錐揉みとなって落ちていく。


「敵パイロット即死したで」


蒼零が将斗に伝える。


「そうか」


将斗は平然と答える。上に突き抜けた将斗が見下ろすと、敵機編隊二十四機はあっという間に落とされてしまった。



敵の第二群は後ろで起こったことに気付いていない。


零戦隊は後ろ上方に占位しながら、再び突っ込む。


将斗はまた敵第二小隊長機を狙った。


「撃ぇーーーッ!!」


ダダダダダダダッ!!


ボゥッ。


蒼零が刀で敵機を切ると敵機は火を噴いた。オレンジ色の炎に包まれながら落ちていく。


なんとか生き残ったスピットファイヤーは狼狽してまっしぐらに急降下して逃げる。残るは一群。


零戦隊は編隊を整えて上昇しつつ、三度その後ろ上方に占位しようとした。だが今度は流石に敵機も気付いたらしい。一斉に旋回すると一志報いようと立ち向かってきた。反航の形となる。


が零戦隊の一斉射撃が少し早かった。


あっという間に半数以下になり、だんだんと敵機が落ちていく。全機撃墜したの数分後であった。






―――コロンボ攻撃隊―――


「いるな……」


「いますね」


村田の呟きに星野が答える。村田機の下には、コロンボの工廠に多くの艦艇が修理をしている。修理しているのはアッズ環礁で四月に攻撃を受けた英東洋艦隊である。


大破着底していた艦艇をなんとか浮揚させて二週間前から修理しているがまだ完了していない。わずか駆逐艦二隻だけである。


村田は八百キロ爆弾を搭載している艦攻は嶋崎重和少佐を隊長にして工廠を狙わせ、魚雷を搭載している艦攻は軍巷にいた二隻の駆逐艦を狙った。といっても一個中隊しか雷装していないが…。


ダダダダダダダッ!!


村田率いる一個中隊は二隻の駆逐艦からの対空射撃を避けながら駆逐艦に突っ込む。


「撃ぇーーーッ!!」


ヒュゥゥ…チャポンッ。


九本の魚雷が二隻の駆逐艦に突き進む。駆逐艦は機銃の銃口を海面に向けて魚雷を狙う。


ズシュゥゥーーーンッ!!


ズシュゥゥーーーンッ!!


五本の魚雷が自爆したが残りの四本は、二本ずつ駆逐艦に命中した。


ズシュゥゥーーンッ!!


ズシュゥゥーーンッ!!


駆逐艦が急激に沈むが軍巷の水深が浅かったのか甲板までしか沈まなかった。






―――嶋崎重和少佐機―――


「よーく狙えよッ!!」


「了解ッ!!」


嶋崎の問いに偵察員が答える。嶋崎配下の水平爆撃隊は高度千五百メートルを飛行している。


四月に受けた爆撃で対空火器が喪失してしまい残った火器で対空射撃をするがほとんど疎らである。


「投下用意ッ!!」


「ヨーソローッ!!」


嶋崎の号令に偵察員はボイコー照準器を覗く。そこには修理中の戦艦がいる。狙われたのはリベンジである。


「投下ッ!!」


「撃ぇーーーッ!!」


嶋崎の命令に偵察員が復唱し、八百キロ爆弾を投下した。


ヒュウゥゥーーンッ。


八百キロ爆弾はくるくると回りながらリベンジの一番砲搭と二番砲搭の間に命中した。


ズカアアァーーンッ!!


嶋崎が辺りを見渡すと他の爆撃隊も爆撃に成功している。


嶋崎は村田と将斗らと合流後、第二機動艦隊に向けて帰投した。




―――第二機動艦隊空母瑞鶴艦橋―――


「山口長官。攻撃隊より入電。『我、英東洋艦隊ノ爆撃ニ成功ス』です」


艦橋に来た通信兵が電文を読む。


「分かった。角田さん、セイロン島上陸部隊は?」


「既に、所定の位置に着いています。山口長官の突撃命令を待っていますよ」


「よし。なら上陸部隊に突撃の電文を出してくれ」


「了解ッ!!」


通信兵が艦橋を出るとまた違う通信兵が入る。


「アッズ環礁に向かった攻撃隊より入電です。敵基地はほぼ壊滅したとのことです」


「よし。アッズ環礁の事は小沢さんに任しますと大鳳に発光信号を送れ」


「了解ッ!!」


瑞鶴から発光信号が送られ、大鳳以下の第三機動艦隊は速度を上げてアッズ環礁に向かっている上陸部隊を追った。


今回はセイロン島とアッズ環礁の同時占領である。第二機動艦隊はセイロン島、第三機動艦隊はアッズ環礁と振り分けられている。セイロン島の上陸部隊は十万、アッズ環礁は一個師団である。二つとも海上護衛隊の護衛駆逐艦が護衛している。


第三機動艦隊がアッズ環礁に向かったのを確認すると山口は第二機動艦隊をセイロン島へと進路を変えた。




一週間後、セイロン島とアッズ環礁が落ちたのはゆうまでもない。日本軍はセイロン島にいた英東洋艦隊を捕獲したのである。


今日は戦艦大和の竣工日です。御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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