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新大東亜戦争  作者: 零戦
36/131

第三十一話 ソ連機帝都空襲




―――九月十五日佐渡島―――


『ピコーン。ピコーン』


「ん、何だ?」


突然、対空電探が反応し始めた。電探員が首を傾げる。


「故障か?」


そこへ別の電探員が来る。


「どうした?」


「いや、突然対空電探が反応し始めたんだ」


駆け寄った電探員が電探を見る。


「本当だ。……この方角はソ連の方向だな」


「……おい、まさか……」


電探員が顔を青ざめる。


「いや、まだわからないぞ」


「一応司令官に報告だ」


「ああ」


直ぐさま伝令が走り、司令官に伝わる。


「とりあえず九六式艦戦で迎撃だ。それと、一式陸攻を索敵に出すんだ」


直ちに六個中隊の内、半数の三個中隊計二十七機が滑走路を蹴って飛び上がった。


一式陸攻一個中隊をも索敵に出したのは不審な情報もあったからだ。電探から別の未確認機が反応したからだ。さっきのより小さい小型機とのことだ。


「(まさかソ連が空母を作ったのか?)」


司令官は首を傾げる。そこへ迎撃に飛び上がった九六式艦戦より通信が入った。


『敵四発機約九十。敵戦闘機約六十余りッ!!』


さらに索敵に向かった一式陸攻一個中隊の内の一機から入電がきた。


『敵空母発見。敵ハ小型空母三。護衛艦六。敵艦隊上空ニ敵戦闘機ナシ』


司令官が大急ぎで指示を飛ばす。


「艦爆隊と艦攻隊を出撃だッ!!東京に無電を打てッ!!『ソ連機来襲』だッ!!」


そこへ伝令が指揮所に入って来る。


「司令官ッ!!迎撃隊が迎撃に失敗とのことです。未帰還機十九機です」


「くそッ!!攻撃隊の発進準備は?」


「全機発進準備完了です」


攻撃隊の様子を見ていた参謀が答える。


「よし、全機発進だッ!!」


司令官の命令により、九九式艦爆隊と九七式艦攻隊と九六式艦戦が三個中隊ずつが滑走路を蹴って大空へ飛び上がっていった。


「頼む……」


基地司令官は攻撃隊の無事と成功を祈り静かに遠ざかって行く攻撃隊に敬礼した。







―――横須賀海軍航空基地―――


「お世話になりました」


将斗が司令官の市丸利之助少将に敬礼する。その後に信一、翡翠、昴も敬礼する。


何故この四人が横須賀にいるのかというとで次回の作戦考案のため東京の海軍省まで出張していたのだ。


東京には海軍の航空基地はまだ建設中だったので横須賀基地で降りて東京行きの汽車で来たのだ。作戦考案も終わったので横須賀基地に戻り、零戦で帰ろうとした時だった。


「し、司令官ッ!!佐渡島航空隊より入電ッ!!『ソ連爆撃機及ビソ連戦闘機東京ニ進撃中ナリ』です」


「なんでソ連が?」


信一がア然としながら呟いた。


「それは知らん。何をしたいんやあの殺人狂はッ!!」


将斗が思わず零戦の機体を殴る。


「椎名君。すまんが飛んでくれないか?こちらもすぐに飛ばすが…」


市丸少将が将斗達に問い掛ける。


「むろん行きます。翡翠ッ!!昴ッ!!ついでに信一ッ!!行くぞッ!!」


「久々に暴れるか……」


「腕鈍ってるかもね〜」


「ついでってなんやねん……」


翡翠と昴は嬉しそうに愛機に向かい、信一はぶつくさいいながら同じく愛機に向かう。


将斗も愛機の零戦三二型に乗る。既に発動機は温まっている。


発着指揮所から青ランプが点灯している。


「行くでッ!!」


将斗は零戦をゆっくりと発進させる。操縦桿を倒して機体を水平にする。そして操縦桿を引くとフワリと飛んで行く。


将斗機の後に翡翠、昴、信一機が続く。さらに横須賀航空隊所属の零戦二二型も発進する。


三二型四機、二二型三十六機の計四十機の零戦隊は一路高度六千で帝都に向かった。同じ頃、厚木、木更津の海軍航空隊でも零戦隊が出撃していった。むろん陸軍航空隊もだ。隼三十六機、鍾馗も三十六機が出撃する。



「敵機発見ッ!!」


一機の零戦が激しくバンクする。同時に発見した方角に向けて零戦が進路を変えた。


「でもなんで今頃帝都空襲するん?」


翡翠が無線で将斗に話し掛ける。


「さぁな。あの殺人狂がすることはわからんわ」


将斗が首を傾げる。そこへ昴から無線が入る。


「将斗。見つけたぞ。一時の方向だ」


将斗が一時の方向に顔を向けるとそこには将斗達が探していたソ連機がいた。


「全機突撃ッ!!片っ端から撃ち落とせッ!!」


将斗はスロットルを公称最大へ押し入れている。将斗の零戦は蹴飛ばされたように加速し、敵爆撃機の群れの中へと突き進んで行く。


「最初は敵爆撃機を狙えッ!!」


将斗はそう言うと爆撃機の突っ込む。将斗達零戦隊は太陽を後方にして敵爆撃機の左斜めから急降下して行く。





―――ソ連空軍TB―4爆撃機―――


「先程の日本戦闘機の迎撃もたいしたことはなかったな」


TB―4爆撃機の操縦席で、ミハエル・マコビッチ大尉はニヤリと微笑みながら伝声管で他の搭乗員に伝える。といっても、他の搭乗員に、彼の口元が見えるわけではない。機内にいる全員が、口に酸素マスクをつけていたからだ。


さて、そろそろこのTB―4爆撃機をお知らせしよう。


これはツポレフ設計局が前型のTB―3爆撃機の後継機として開発したものだ。


速度は最大で四百五十キロ。航続距離五千四百キロである。


さらに隣を飛んでいるのは艦戦機型に改良されたYaK-1である。


航続距離二千四百キロ。速度五百八十キロである。


キランッ!!


「ん?」


ふと左斜め上空にギラギラと太陽光を反射するものが見えた。ガラスの粉を撒いたかのような数十の細かい小さな光が、点滅しているかのようにきらめいている。風防ガラスに反射さた太陽光だ。目をこらして見ると、どうやら小型の単発機らしい。


「味方の戦闘機でしょうか?」


副操縦士が、真っ青に晴れた空の彼方を見つめながら聞いた。


「あそこまで我がソビエト空軍に飛べる戦闘機はない」


敵機はあっという間にこちらに接近してくる。マコビッチ大尉は舌打ちをすると口元に寄せた無線電話のマイクに向けて叫んだ。


「諸君!前方左斜め上空に敵機が現れた!全機戦闘態勢をとれ!密集隊形を作って迎撃するのだ!霰のように機銃弾をたらふく喰わせてやれ!」


その直後、敵の先頭機から機銃弾が撃ち込まれた。むろん撃ったのは将斗機だ。


ダダダダダダダダッ!!


ドドドドドドドドッ!!


ガシャンッ!!


機首の十二.七ミリ機銃弾が操縦席に飛び込む。


「大尉ッ!!」


機銃手がマコビッチ大尉に呼び掛けるが応答はなく、操縦席を見ると首が無くなったマコビッチ大尉がいた。


「一機撃墜やな」


将斗が零戦の操縦席で微笑む。二十ミリ機銃弾は外れたが十二.七ミリ機銃弾は敵爆撃機の操縦席に吸い込まれた。操縦士がやられたのか敵爆撃機は火を噴かずに落ちていく。


将斗はそのまま降下を続けて、爆撃機の下約三百メートルにいたYaK-1

に機銃弾を撃ち込んだ。


ダダダダダダダダッ!!


グワアァァーーンッ!!


燃料タンクに当たったのか一撃で爆発四散した。


将斗は高度を取りつつ列機に指示を与えた。


「鍾馗隊と横須賀の零戦隊は敵爆撃機を狙えッ!!隼と厚木、木更津の零戦隊は敵戦闘機やッ!!」


将斗はそう叫ぶと一機の爆撃機の後方に回り込む。後ろにはもちろん翡翠達がいる。


「くらえッ!!」


ダダダダダダダダッ!!


ドドドドドドドドッ!!


将斗が放った機銃弾は敵TB-4爆撃機に吸い込まれた。将斗が敵爆撃機を追い越した時だった。


ドグワアァァーーンッ!!


機銃弾が爆弾に命中したのかいきなり爆発四散した。将斗の零戦はいきなり爆発四散したので衝撃波をもろに喰らった。


「グハァッ!!」


将斗は計器に頭をぶつけて気を失った。将斗機はそのまま降下していく。


「「「将斗ぉッ!!!」」」


翡翠達が叫ぶが将斗は意識を取り戻さない。


「まーくんッ!!」


「将斗ッ!!起きろッ!!」


翡翠と昴が呼び掛けるが起きない。


将斗の零戦はどんどん降下していく。


「将斗起きろッ!!」


「まーくん起きてーッ!!」


「はよ起きろ将斗ッ!!」


三人はなおも将斗を起こし続ける。






―――零戦機内―――


「……………」


将斗がぐったりと前のりになっている。


そこへパアァと操縦席の後ろが光出し、こないだの美少女が現れた。美少女は前のりになっている将斗をちゃんと席に座らして美少女は前に行き、将斗と向かい合う。そして美少女は将斗にビンタん食らわした。しかも往復ビンタ。


「……ぅ」


将斗がうっすらと目を開ける。


「誰や?」


「今は説明してる場合とちゃう。今機体は降下している。高度九百や。はよ機体を起こせッ!!」


将斗ははっとして操縦桿を引く。


「くっ……重い……」


「降下速度が九百か……。フラップ開いても無理やな…」


美少女が関西弁で唸る。


「…ッ!?そうやッ!!」


「どうした?」


美少女が将斗に尋ねる。


「車輪やッ!!」


「車輪?」


美少女が首を傾げるが将斗は脚上げレバーを下げる。


ガクンッ!!


「車輪が出て速度にブレーキがかかったッ!!」


美少女が驚く。


「ウオォォォーーッ!!」


将斗が思いっきり操縦桿を引いた。将斗は高度二百で態勢を立て直す。


「ふぅ。ありがとな、なんとか助かったで」


将斗が美少女を見ようとするが既に美少女はいなかった。


「あいつ……もしかして……」


そこへ翡翠達から無線が来た。


「まーくん〜。大丈夫〜?」


「将斗〜。心配させるなよ〜」


翡翠と昴は涙声で話し掛ける。


「将斗。危なかったな」


信一はホっとした感じで話し掛ける。


「あぁ、わりぃ。気絶してたわ。翡翠、昴。すまん。心配かけたな。信一、敵機は?」


「他の隊が全機撃墜したで。後、敵戦闘機を発進させた敵小型空母を撃沈した無線連絡が来たわ」


「そうか。ほなら横須賀に帰ろうか」


将斗達は横須賀の零戦隊と一緒に帰投した。


その夜、もう一泊だけ横須賀基地に泊まることになり翡翠達は寝てるなか、将斗は格納庫にいた。そしてぽんと機体に手を置くと。


「ありがとな」


将斗は微笑み、機体をそっと撫でた。







余談だが、このソ連機来襲は日本の首都を爆撃し、弱まったところで日本をこちらの仲間にしようとスターリンが考えていたが逆に爆撃機は全滅を喰らったため、あえなく中止をした。


今日は日本海軍連合艦隊所属第一航空艦隊(司令長官南雲忠一中将)が真珠湾に奇襲攻撃日です。赤眼黒龍先生どうでしたか?御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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