表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新大東亜戦争  作者: 零戦
34/131

第二十九話 ニューカレドニア攻略作戦

今回は主に空戦です。





―――ニューカレドニア沖、第二機動艦隊―――


「目標敵ヌーメア巷及び敵航空戦力撃滅ッ!!」


空母瑞鶴の作戦指揮所で女子搭乗員達が整列するなか、大声で訓示するのは中将に昇進した山口多聞である。


「無茶はするなッ!以上ッ!!」


山口長官の訓示が終わるとすかさず隣にいた将斗が女子搭乗員の前に出る。


「行ってきます」


「頼む!」


「はいッ!!」


将斗が敬礼する。将斗は振り向き女子搭乗員達と向き合う。


「生きて帰るぞッ!!撫子新撰組航空隊出撃ッ!!」


「オォーーーッ!!!」


女子搭乗員達は拳を上に上げて雄叫びをあげる。


「かかれッ!!!」


将斗から号令が発せられ、女子搭乗員達は一斉に、飛行甲板に向かって駆け出した。


先頭を行くのは九七式艦上攻撃機の女子搭乗員達である。そのあとを九九式艦上爆撃機の搭乗員達が追い、零式艦上戦闘機の搭乗員達がしんがりについていた。


将斗は左主翼の上に飛び乗ると、胴体左側から操縦席に乗り込んだ。素早く計器を確認するとエンジンを始動する。


発着艦指揮所で、青ランプが大きく弧を描いて振られた。将斗機はゆっくりと発艦していく。二番機の坂井三郎飛曹長機も将斗機のあとを追うように発艦する。


攻撃隊隊長は村田重治少佐。艦爆隊は高橋赫一少佐。制空隊隊長はもちろん椎名将斗少佐である。瑞鶴防空指揮所では第二機動艦隊所属艦艇が集結して将斗機の発艦を目をうっとりとして見ていた。


「将斗の発艦は相変わらず綺麗だな」


「そうだな姉者」


伊予、伊吹姉妹が尊敬の眼差しで発艦した将斗機を見る。


「さ、坂井飛曹長の発艦も綺麗ですぅ……」


霧島がボソッと呟く。


「はいはい、ごちそうさま」


翔鶴がうんざりした様子で答える。


「ふと気になったんだが、尾翼に書いている撫子の花と白と薄い青があるんだ?」


金剛が首を傾げる。


「それがよ姉貴。なんでも女子搭乗員の半数が幕末の新撰組の隊員の親戚とかみたいでさ。制空隊には近藤、土方、沖田、斎藤、原田といった隊長クラスの親戚。艦爆隊には永倉、武田。艦攻隊には藤堂、山南、伊東といった幹部クラスの親戚がいるから将斗が「んじゃあ撫子新撰組にするか」て言ったみたいなんだ」


金剛の問いに榛名が答える。


「撫子はどこから取ったのよ?」


「大和撫子から取ったみたいだ」


飛龍の問いに瑞鶴が答える。


「ふ―ん。そう」


飛龍はそう言うと遠ざかっていく攻撃隊を見つめる。


「そろそろ皆も自艦に戻るんだ。いつ敵潜が襲ってくるかわからんからな」


古参の三笠の提案により瑞鶴を残して全員は自艦に戻った。


「………将斗帰ってこいよ……」


瑞鶴は蒼い空を見上げて既に見えない将斗機にぽつりと呟き静かに敬礼した。








―――制空隊隊長椎名将斗少佐機―――


将斗は辺りを見回す。


「へぇ。綺麗に作れてるな」


将斗が見ているのは見事な編隊を作っている撫子新撰組航空隊だった。その左右には飛龍や蒼龍の航空隊が威風堂々と飛行している。その時、ニューカレドニアを偵察していた索敵機より無線が入る。


「…敵飛行場に爆撃機おりません。港に小型空母ニ、輸送船四しかおりません」


「あちゃ〜。敵航空隊がおらんってことは第二機動艦隊見つかったな」


実際、攻撃隊が発進後、第二機動艦隊はにカタリナ偵察機の接触を受けていた。


「まぁ、なんにせよ目の前の敵を叩く事が任務やからな」


将斗はそう意気込む。そして二十分後。


「ニューカレドニアを視認。全機突撃準備を作れ」


攻撃隊隊長の村田少佐機から無線が発せられ、全機が中隊ごとに分かれる。


「敵機発見ッ!!」


突如、坂井三郎飛曹長機が激しくバンクすると増槽を落とした。落下増槽は風に煽られてクルクル回転しながら落ちていく。


敵戦闘機は攻撃隊より二時の方向にいた。


「でかしたで。坂井ッ!!」


坂井は第二機動艦隊一の視力を持っている。


敵戦闘機は約七十機程で高度は将斗達より低い高度三千にいた。


「五航戦の零戦隊で攻撃する。三航戦ら他の零戦は攻撃隊を守れッ!!」


「了解ッ!!」


三航戦ら他の零戦全機がバンクする。その数三十六機。


今回、五航戦が初陣なので五航戦主体となっているため翔鶴、瑞鶴の常用機は全機発艦している。


「全機突撃ッ!!」


高度四千から一気に将斗は急降下した。その後を翡翠、昴、土方、原田機が追いかける。他の機も後を追う。あっという間に敵戦闘機が大きく見える。


「くたばれッ!!」


将斗が操縦桿の十二.七ミリ機銃ボタンを押した。


ダダダダダダダッ!!


ボゥッ。


放たれた機銃弾は操縦席を襲い、さらにエンジンをも襲ったため、瞬くまに火を噴いた。操縦席から敵パイロットが脱出する気配はなかった。恐らく死んでいるだろう。将斗は目もくれずに新たな敵を求めて敵戦闘機を追いかけた。




―――瑞鶴制空隊近藤真央機―――


近藤は敵ワイルドキャットを追い詰める。


「もらったッ!!」


ダダダダダダダッ!!


グワアァーーンッ!!


燃料タンクに機銃弾が当たりワイルドキャットが爆発四散する。


「よしッ!一機撃墜ッ!」


その時。


ダダダダダダダッ!!


ガンガンガンッ!!


機銃弾が機体に当たり震える。真央が後ろを見ると別のワイルドキャットがいてまさに真央機を撃とうとしていた。


「ヒイィィッ!!」


真央は思わず身体が固まってしまった。とそこへ。


ダダダダダダダッ!!


グワアァーーンッ!!


突如放たれた機銃弾がワイルドキャットのエンジンに命中し、爆発四散した。撃墜した零戦が近寄ってきた。


「大丈夫か真央?」


真央の危機を救ったのはいとこで幼なじみで将斗の部下の近藤誠である。


「ま、まごどぉ〜〜」


思わず真央は泣いていた。


「馬鹿ッ!!泣くなッ!!今は戦闘中や。泣くのは後でや」


「う、うんわかった」


誠と真央は編隊を組んで再び空戦に挑んだ。





―――土方香恵機―――


香恵は敵機と旋回戦をしていた。


「このぉッ!!」


目の前が真っ暗になりそうになるがなんとか堪える。やがて旋回が六回目に入ろうとした時、ワイルドキャットは旋回を止めた。


「今だッ!!」


速度を上げてワイルドキャットを追尾して機銃弾を放つ。


ダダダダダダダッ!!


ボゥッ!


火を噴きながらワイルドキャットが落ちていく。


「一機撃墜ッ!!」


香恵は再び速度を上げて敵を求めていく。





―――原田琥珀機―――


「ちッ!逃げられないな」


琥珀の後ろにはスピットファイヤーがいる。


ダダダダダダダッ!!


スピットファイヤーが機銃弾を放つが当たる気配はない。


「一丁あれを試すかッ!!」


そして再びスピットファイヤーが機銃弾を放った瞬間、琥珀は左足でフットバーを蹴飛ばした。


左に傾いた零戦が、ふいに尻を右に振る。一瞬にして左下に傾いた零戦は、そのまま横滑りするように急降下を開始した。一直線の降下ではなく、左に回り込みながらの降下である。


零戦は左に旋回しながらスピットファイヤーの左後方上空に突入する形になった。


スピットファイヤーのパイロットは大いにあわてふためいた。零戦の動きは重いスピットファイヤーには考えられない動きであった。


機首を落とし、急降下に入ろうとするスピットファイヤーの背後につけた琥珀は照準器を覗き込む。既にスピットファイヤーの機体が、照準器からはみ出るほどに接近していたからだ。


「くらえッ!!」


ダダダダダダダッ!!


琥珀が放った機銃弾はエンジンに命中した。


ボゥッ!!


まばゆいガソリンの発火炎に機首を包まれたスピットファイヤーが群青色の海面めがけて落ちていく。


「よしッ!!次は……」


ガンガンガンッ!!


突如、機体が弾着の衝撃で揺れた。琥珀が振り返るといつの間にか背後にスピットファイヤーが二機、食らいついていた。


「ちッ!!」


琥珀は逃げようと旋回するが中々逃げ切れない。両者の距離は五十メートルまで接近した。


「ここまでか……」


琥珀は観念したかのように目を閉じた。


ダダダダダダダッ!!


ダダダダダダダッ!!


グワアァーーンッ!!


グワアァーーンッ!!


一瞬にして二機のスピットファイヤーが爆発四散した。その後方から零戦二機が来た。


「危なかったな琥珀」


「油断は禁物よ琥珀ちゃん」


「昴大尉、翡翠大尉。ありがとうございます」


琥珀が敬語で返す。二人は琥珀の上官だから戦闘中は敬語で、話すが戦闘が終わると普段通りに話す。一応弁えている。



「さて、帰投しようか。今将斗から無線が入った村田隊長達の攻撃隊は既に全機攻撃終了している」


「分かりました」


琥珀達は集合場所に戻ると攻撃隊と合流して帰投した。






―――第二機動艦隊―――


『敵機来襲ーーッ!!敵機来襲ーーッ!!』


『ウウゥゥゥーーーッ!!』


空母から次々と零戦が発艦する。


「敵機は約百機程のようです」


角田参謀長が山口に報告する。


「全艦対空戦闘用意させろ。輸送船団に近づけさせるなッ!!」


「ハッ!!」


角田参謀長は敬礼して、直ぐさま指示を出す。この時、輸送船団は第二機動艦隊より後方五海里にいた。もちろん海上護衛隊が護衛している。






―――岡嶋清熊大尉機―――


岡嶋大尉はドーントレスを攻撃していた。


「くらえッ!!」


ダダダダダダダッ!!


グワアァーーンッ!!


機銃弾を受けたドーントレスが爆発四散する。岡嶋大尉は次の敵機を捜そうとした時、ドーントレス数機が急降下するのが見えた。





―――戦艦榛名防空指揮所―――


「叩き落としてやるッ!!」


ドーントレスが狙ったのは榛名だった。


「死にさらせッ!!」


榛名が刀でドーントレスを切ると瞬くまにドーントレスが爆発四散する。


だが爆弾は放たれていた。


「面舵いっぱあぁぁぁいッ!!急げぇぇーーッ!!」


艦長の吉村正武大佐が伝声管に向かって怒鳴る。


ズシュウゥーーーンッ!!


間一髪で回避した。


「くッ!!少し破片が当たったか」


榛名の手が赤切れのよう手になる。


「榛名大丈夫か?」


金剛が心配して来た。


「ああ、姉貴。大丈夫だ。少し破片が当たっただけだ」


すると金剛が安堵した。


「そうか、よかった」


「それより姉貴。他の奴らは?」


「大丈夫だ。全艦無事だ。もちろん輸送船団もだ」


「そうか。もうすぐ将斗達が帰ってくるぜ。瑞鶴に行こうぜ姉貴」


「ああ。行こうか」


二人は光に包まれて消えた。





ニューカレドニアの航空戦力を壊滅した第二機動艦隊は輸送船団とともにニューカレドニアに進行。


戦艦部隊が艦砲射撃する中を陸軍の二個師団が上陸した。






ニューカレドニアが占領されたのはそれから三日後だった。


御意見や感想等お待ちしてますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ