第二十二話 ミッドウェイ海戦前編
お待たせしましたm(__)m
―――第一機動艦隊旗艦赤城艦橋―――
「長官。攻撃隊の発進準備は後、十分ちょいで完了します」
「おおそうか」
赤城の艦橋から海を眺めていた塚原の後ろから草鹿が状況を報告する。
「いよいよミッドウェイですね」
「ああそうだな」
「……長官」
「ん?どうした草鹿君?」
「連合艦隊のほとんどをミッドウェイに向けていいのでしょうか?そんな事をしたら燃料がかなり少なくなりますよ」
草鹿が懸念したのは今回のミッドウェイ作戦の艦隊使用の数である。ほぼ史実のミッドウェイ作戦の艦隊数と同じであるため燃料の重油がかなり無くなる事を心配していたのである。だが塚原は驚いた様子で話す。
「草鹿君知らなかったのか?我が国の艦隊重油燃料は約十二年分あるんだぞ」
「………えっ?……本当ですか長官?」
「本当だ。ちなみに航空隊の航空燃料は約十四年分あるぞ」
「い、一体どこから集めたのですか?」
「サウジアラビアからだ」
「サウジアラビアからですかッ!?確かあの国は一九三二年にできた国ですよね?」
「ああ。それでサウジアラビアの国王イヴン・サウドが日露戦争で白人文明を破った我が日本に対し、尊敬と親近感を抱いていたらしいんだ。そこに川嶋中将達が目をつけ、サウジアラビアから石油を貰っていたんだ」
「しかし長官。サウジアラビアへ行く途中には、英仏がいたはずです。奴らが妨害をしなかったんですか?」
「草鹿君。海上護衛隊を忘れていないかね?」
「あッ!?…そうでしたね」
「艦隊を三つに分けて輸送していたんだ。途中で英艦隊の妨害があったらしいが砲身を艦隊に向けたら逃げていったとさ」
「そうだったのですか。いやぁ全く知りませんでした」
そこへ伝令が艦橋に来た。
「長官ッ!!ミッドウェイ島攻撃隊全機発進準備完了しましたッ!!」
「よしッ!!攻撃隊全機発進せよッ!!」
赤城から発光信号で伝えられ四隻の空母から攻撃隊が次々と発進する。攻撃隊の数は零戦七十二機、九九艦爆百四十四機、九七艦攻百四十四機がミッドウェイへ進撃する。
さて読者の皆さんも既にお気づきかと思いますが以前ミッドウェイは日本軍が占領したが川嶋中将達の意見によりミッドウェイ航空隊及び守備隊は完全撤退した。これは二月に行われた。そこへ米軍が占領し、航空隊や守備隊が送り込まれたのである。
「案外、作者が忘れてただけだろ?」
ぎくぅッ!!(-_-;) とまぁそれはさておきそろそろミッドウェイ島に接近する攻撃隊に行ってみよう。
「逃げたな作者」
「ええ。逃げましたね」
塚原と草鹿が苦笑する。
―――ミッドウェイ島攻撃隊総隊長村田重治少佐機―――
「もうすぐミッドウェイだな。平山、『トツレ』だ」
「了解ッ!!」
村田機からトツレが発信され攻撃隊各機が突撃準備に入る。
「敵戦闘機接近ッ!!」
制空隊隊長の板谷茂機が激しくバンクすると落下式燃料タンクを落とし速度を上げた。
敵戦闘機は十数機の編隊を組んでいる。
「二階堂ッ!!二個中隊を率いて奇襲をしろッ!!」
「任せて下さいッ!!」
奇襲を任された二階堂大尉は二個中隊を率いて上昇する。
敵編隊はまだ気付かない。
「突撃ッ!!」
二階堂が無線に向かって叫ぶと操縦桿を倒して急降下に移る。みるみる内に敵戦闘機が見えてくる。
「てぇいッ!!」
ドドドドドドッ!!
二階堂は気合いとともに二十ミリ発射レバーを引いた。敵機は主翼を撃ち抜かれ部品を撒き散らしながら落ちて行く。
初撃で十六機を落とし残った敵機は一目散に逃げて行くが板谷以下の中隊に叩き落とされた。
「総隊長ッ!敵機全機撃墜とのことです」
「よし。全機突撃ッ!!平山ト連送だッ!!」
村田機からト連送が発信され攻撃隊各機が中隊ごとに分かれて突撃する。
―――艦爆隊隊長関衛少佐機―――
「行くぞッ!!」
ヒイィィィィィィン。
フラップを使い関少佐の中隊が突撃する。狙いは敵高角砲部隊である。
ドンドンドンドンッ!!
ダダダダダダッ!!
ボワァァァンッ!!
「五番機ッ!!直撃喰らいましたッ!!」
偵察員の報告を聞きながら急降下する。
「撃ぇーーッ!!」
ヒュゥゥゥゥゥンッ。
ヒュゥゥゥゥゥンッ。
ヒュゥゥゥゥゥンッ。
胴体下の二十五番と主翼下の六番の陸用爆弾が高角砲目掛けて落ちていく。関少佐は機体を引き起こして急上昇する。激しいGが押し潰すように関に襲い掛かる。関はなんとか我慢し、下を見ると敵高角砲は跡形もなく吹っ飛び煙を上げている。
「よーしッ!。他の奴らはどうなっただろう」
関は辺りを見回すが艦爆隊の攻撃は終わったようだった。九七式艦攻隊が爆撃中だった。
「こんだけ落としたら大丈夫だろ」
関はそう言うと列機を従えて帰還していった。
―――第一機動艦隊―――
『敵機来襲〜ッ!!』
「翔鳳と瑞鳳の零戦隊で迎撃しろッ!!」
塚原が指示を飛ばす。
「どうやら敵機は爆撃機らしいです」
「だとするとミッドウェイからきた奴か」
この時飛来したのはミッドウェイ航空隊の爆撃隊である。飛来したのはアベンチャー雷撃隊六機とマローダー爆撃隊四機である。だが戦闘機の護衛が零戦隊が攻撃してくる。二隊とも逃げ回ったがどうにもならない。五分と経たずに、全機が撃墜を食らって太平洋に突っ込んだ。
次に飛来したのはロフトン・ヘンダーソン少佐に率いられた十六機のドーントレスである。だがこれまた零戦隊の餌食になった。ドーントレスは急降下爆撃機である。ところが、十六人のパイロットの内の十三人までドーントレスに配備されたのが数日前で急降下の経験がなかった。そこでヘンダーソンは、急降下ではなしに緩降下を命じた。これでは零戦隊の矛先を逃れることは全く不可能である。積んできた爆弾を至近距離に投下することすらも出来ずに壊滅した。
「壊滅しましたね」
「ああ、次は空母機だな」
赤城の艦橋で塚原と草鹿が話してる。
「そろそろ来るな」
『敵機来襲ッ!!数百機余りッ!!』
「本当に来ましたね」
「作者の都合だな。零戦を全機出せッ!!一機残らず叩き落とせッ!!」
加賀と土佐から零戦が発艦する。加賀と土佐は防空指揮所で敬礼して見送る。
「気をつけて……」
「……頑張って下さい……」
零戦隊は編隊を組み、敵機編隊を目指す。上空にいた零戦隊が敵機編隊攻撃する。
「運命の七時二十二分まで後何分だ?」
「後一時間余りですね」
そして。
―――一時間後―――
「敵機まだ来ますね」
「そろそろのはずだ」
草鹿が腕時計を見て秒読みを始める。
「……二十二分まで後十五秒……十、九、八、七、六、五、四、三、二、一……」
『………』
艦橋内が静まり変える。
「来ませんね」
赤城が塚原に言う。
「うむ…」
「長官。零戦隊を一旦補給させましょう」
「うむ…」
零戦隊が高度を下げて行く。とその時だった。
「敵ぃぃぃーッ!急降下ぁぁぁーッ!直上ぉぉぉーッ!!」
上空にドーントレスがいた。
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