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新大東亜戦争  作者: 零戦
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第十九話 珊瑚海海戦前編



―――五月七日珊瑚海第二機動部隊旗艦空母瑞鶴防空指揮所―――


「海が綺麗ね。将斗」


「そうだな、翡翠」


「将斗!」


「なんや昴?」


「なんでもない」


昴が将斗に寄り添う。翡翠もすかさず将斗に寄り添う。


「あの…二人とも苦しいねんけど、そして後ろから多くの殺気感じるから離れてほしいねんけど…」


将斗が後ろを見ると瑞鶴、金剛、榛名、飛龍、蒼龍、龍驤、三河、三笠、初瀬、青葉、雪風、がいた。一六八はラバウルにいる。


「いいじゃない。ほっときましょ」


翡翠が笑顔を将斗に向けるが目は笑ってない。


「翡翠。いい加減にしないと怒るで」


「嘘よ。そこまで私はケチじゃないよ」


「瑞鶴達もこっちにこいよ」


将斗が手招きをしているので瑞鶴達は渋々出てくる。


「お前らごめんな。翡翠がわがままで」


「うむ。全く困ったぞ」


「その通りだぜ。せっかく…将斗と一緒にいたいのに」


瑞鶴と榛名が言う。


「ほう、榛名も言うようになったもんだ」


金剛が感心する。榛名の顔が真っ赤になる。


「あ、姉上は黙ってくれ!は、恥ずかしい(//△//)」


『ははは!』


皆が笑ってると山口多聞司令長官が来た。


「将斗君。ツラギが攻撃を受けた」


「攻略部隊は?」


「全艦無事だ」


「そうですか」


将斗がホッと安心する。その時、通信兵が防空指揮所に来た。


「山口長官!敵艦隊発見とのことです!数は重巡一、空母一、です」


「よし、わかった」


通信兵が防空指揮所から出ると山口が将斗に声をかける。


「確かこいつは油槽船と護衛の駆逐艦じゃなかったか?」


「ええ。ほっといても大丈夫です。問題はMO攻略部隊です」


「敵航空機の攻撃を受けて空母祥鳳が沈没するんでしょ?」


横から飛龍が口を挟む。


「ああ。まあ今回は大丈夫だろ。なにせ祥鳳、瑞鳳の零戦三個中隊、それに香取、鹿島、そして………伊予と伊吹がいるからな」


将斗が空を見詰める。






―――MO攻略部隊旗艦戦艦伊予防空指揮所―――


「今日もいい空模様だな」


防空指揮所にいる、ツインテールの髪型をした少女が空を見ている。そこへ一人の少女が光に包まれて出てきた。


「姉者。また空を見ているのか?」


「何か用か伊吹?」


「輸送船団の護衛は暇だからな、姉者と一緒に羊羹を食べようかと思ってな」


「ほう、羊羹か。…どれどれ……ん、うまいな」


伊予が羊羹を一口食べる。

さてそろそろ、伊予と伊吹の事を話すとしよう。

伊予と伊吹は長門型戦艦に似ているが長門型は主砲が前部と後部に二基ずつの四基あるが、この伊予型戦艦は前部に四十一センチ連装砲が三基、後部に二基装備している。さらに艦橋等も長門型と似ているため、長門型とは準同型戦艦である。その長門や陸奥は義理の姉に当たる。本来伊予型戦艦は八八艦隊の紀伊型戦艦の三番艦と四番艦であったが、ワシントン海軍軍縮条約により解体される運命だったがこの時に川嶋中将達が来て、ひそかに旅順に運ばれ建造されたのだ。そのため旅順で機密にされていたが、太平洋戦争が始まる直前に呉に回航され、戦艦部隊に加わっていたが作者の都合により今まで登場がなかったのである。(いや、ただ単に忘れてただけだけど…(-.-;))

ちなみに二人は将斗が好き…グハァッ!


「貴様は一体何を話してるんだ!!」


「将斗のことが好きだと?当たり前だ!!」


「え!?姉者そこは『将斗のことは好きではない』が普通だと思うのだが…」


「逆のパターンでやってみた」


「……まあいいがこいつ、どうする?」


「す巻きにしてとくか」


『て、敵来襲!敵来襲!』


「ち!こんな時に…今回は見逃してやる。伊吹行くぞ!!」


「わかった姉者!!」


危ね。(-.-;)


さて二人が光に包まれ消える。この時、攻略部隊護衛司令官の五藤存知少将は敵来襲の一報を聞いても平然としていた。史実の珊瑚海海戦の事を将斗と信一から聞いていたのである。むろん自分がサボ島沖海戦で片足切断で戦死するのも聞いている。五藤は報告に頷く。


「空母祥鳳、瑞鳳に発光信号!『迎撃機全機発艦セヨ』とな!」


「ハッ!!」


参謀達が慌ただしく動き回る。





―――空母祥鳳―――


「零戦全機発艦だ!」


艦長の伊沢石之助大佐の大声が当たりに広がる。飛行甲板でも、零戦が次々と発艦していく。


―――飛行甲板―――


「帽振れぇー!!」


手の空いた整備員や対空火器員が『帽振れぇ』をしてる。そんな彼らの端のほうに祥鳳がいた。祥鳳は敬礼してる。


「頼みます、皆さん…」


祥鳳は零戦が見えなくなるまで敬礼した。


零戦隊の隊長は祥鳳飛行隊長納富健次郎大尉である。


「十一時の方向に敵機発見!!」


部下の声に納富大尉は十一時の方向を見る。さっと見ても敵機は百機はいる。納富大尉は知らなかったが攻撃隊は九十三機である。


「後方からやるぞ!!」


納富機と残りの五十三機の零戦は後方に回り込む。


「行くぞ!全機突撃!!」


納富大尉は無線で部下に叫ぶと操縦桿を倒し急降下に移る。みるみる内に敵機が見える。照準器を覗き込み、十二.七ミリ機銃弾発射ボタンを押す。


ダダダダダダダッ!!!


機首から機銃が火を噴く。


ボゥ…キィィィン…グワァァァン!


敵機が錐揉みに落ちて行く途中で爆発四散した。


「次!!」


納富大尉はドーントレスに照準を合わせる。


「てぇっ!!」


ダダダダダダダッ!!


ドドドドドドッ!!


ボゥワンッ!


十二.七ミリ機銃と二十ミリ機銃を放ち、ドーントレスはまたも爆発四散する。だが納富大尉ら零戦隊の活躍も虚しく、ドーントレス十四機、デバステーター十二機が攻略艦隊へ迫る。




―――第四艦隊旗艦戦艦香取―――


「対空戦闘用意!!」


香取の艦橋に井上成美中将の怒号が響く。各艦艇は主砲、高角砲、対空機銃がキリキリと空へと向けられる。


―――香取防空指揮所―――


「前回は不意を突かれたが今回はそうやすやすとやられわせん!!」


香取がシャランっと刀を抜く。


「敵機距離一万!!」


見張り員の怒鳴り声が艦橋に響く。それと同時に艦長が叫び、香取も叫びながら刀を敵機に向けた。


「「撃ぇー!!」」


ドウゥゥゥゥン!!!


ドンドンドンドン!!!


ダダダダダダダダダ!!!


主砲と高角砲は三式弾を放つ。三式弾の炎にやられた敵機は次々と落ちて行く。だがその時、雲に隠れたドーントレス二機が伊予に急降下を開始した。


「敵ぃぃーーー。急降下ぁぁーーー、直上ぉぉーーー!!!」


「ち!!」


「とーりかーじ一杯いそーげー!!」


「とーりかーじ一杯いそーげー!!」


伊予は舌打ちをし、艦長が伝声管に大声で怒鳴る。操艦手が復唱して艦が右に傾き左舷へ流れる。そして爆弾の落ちる音が聞こえる。


ヒュゥゥゥーーン


ズサシャァーーーン!!


ヒュゥゥゥーーン!


ズサシャァーーーン!!


間一髪で爆弾を回避した。爆弾を投下したドーントレスは一機は零戦に撃ち落とされたがもう一機は逃げた。恐らく、残存機は十機余りだろうと思われる。それほど酷かった。


そして本当の戦いは明日から始まる。





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