第十四話 セイロン沖海戦
―――昭和17年四月五日セイロン島沖四百キロ地点―――
―――塚原機動部隊―――
潮風が気持ちいい中、塚原機動部隊の空母、赤城、加賀、天城、土佐の格納庫では攻撃隊の準備が行われていた。
―――塚原機動部隊旗艦空母赤城艦橋―――
「長官。攻撃隊の発進準備は後五分で終了します」
塚原は後ろから草鹿参謀長に声をかけられる。
「そうか」
塚原は草鹿を見ず、見えないセイロン方面を見る。
「第二機動部隊が心配ですか?」
「一応な…。ま、山口君がいるから大丈夫だがな」
「それに椎名少佐もいますよ」
「そうだな。椎名君といえば艦魂達が椎名君の取り合いをしてるみたいだ」
「そうなんですか?塚原長官それは誰に聞いたんですか?」
「赤城からだ」
草鹿は驚きを見せる。
「長官艦魂が見えるんですか?」
「まあな」
「へえ〜。一度会ってみたいですね」
「以外と早くに見れるかもしれんよ」
「何故ですか?」
「作者の都合でだよ」
「ああ、成る程」
塚原と草鹿は苦笑する。その時、若い水兵が艦橋に入ってくる。
「長官!攻撃隊全機発進準備完了!同じく二航戦もです」
「よし、直ちに全機発進せよ!目標敵コロンボ基地及びトリンコマリー基地だ!」
『ババババババッ!』
飛行甲板に攻撃隊が列を組む。発着艦指揮所で、青ランプが大きく弧を描いて振られた。整備員達は『帽振れぇ』をしてる。
先頭を切って飛行甲板を走りだしたのは制空隊隊長の板谷茂少佐機である。一航戦の攻撃目標はコロンボ基地である。二航戦はトリンコマリー基地だ。攻撃隊は上空で編隊を組むと二手に別れて飛び去った。塚原艦隊に残ったのは、祥鳳、瑞鳳の零戦五十四機と九七艦攻十八機である。
「頼んだぞ………」
塚原はボソッとしゃべるが草鹿には聞こえなかった。
―――第二機動部隊旗艦空母瑞鶴飛行甲板―――
「いいか!我らの攻撃目標は敵アッズ環礁基地だ。叩き潰せ!」
飛行甲板で大声で叫ぶのは第二機動部隊司令長官の山口多聞少将である。第二機動部隊の任務は敵艦隊をアッズ環礁で撃破することである。搭乗員達は駆け足で自分の乗機に向かう。
「将斗!」
「どうした瑞鶴?」
将斗は瑞鶴に呼び止められた。
「帰ってきたらまたハーモニカ聞かせてくれ!」
瑞鶴が顔を真っ赤にしながらしゃべる。将斗は苦笑しながら瑞鶴の頭をなでなでする。
「あっ!……」
「分かった。次は新しい曲を吹くよ」
そう言って将斗は零戦に駆け寄る。
「帰ってこいよ…」
瑞鶴がボソッとしゃべる。
発着艦指揮所で青ランプが振られた。将斗は零戦を走りださせる。両舷からは、整備員達が『帽振れぇ』をしてる。将斗の零戦は飛行甲板を蹴り蒼い大空へと向かう。瑞鶴が防空指揮所で将斗を見守る。ふと、防空指揮所に山口多聞少将が来た。
「将斗君が心配かな?」
「別に心配ではないが無茶しそうだけど…」
「フフフ。将斗君はかなり君達に愛されてるみたいだな」
「えっ!いやあのその………」
瑞鶴が真っ赤にし下を見て指をもじもじしてる。誰もがかわいいと思う行為だ。そこへ飛龍と蒼龍が来た。
「どうした飛龍?将斗君ならもう行ったぞ」
「いや、べ、別にあいつを見ようと思ってきたんじゃないからね!」
「ほう〜。そうかそうか。じゃあなんのために来たんだ?」
「そ、それは…その…あの……」
飛龍はモゴモゴとする。蒼龍も同じだ。防空指揮所に参謀長の角田覚治少将が来た。
「山口長官。他の空母から『第二次攻撃隊を発進しましょう』と相次いで来てるんですけど…」
「時間的にもそろそろだな。角田さん、第二次攻撃隊全機発進だ!」
「了解!飛龍と蒼龍いい加減に戻っときな。いつ英軍機がくるかわからんからな」
と言って角田参謀長は艦橋に戻る。ちなみに角田参謀長も艦魂が見える。
「そうね。いつくるかわからないからね」
飛龍と蒼龍が自艦に戻る。瑞鶴が上空を見上げると攻撃隊はアッズ環礁目指して飛び去った。
―――セイロン島コロンボ基地―――
『敵機来襲!総員戦闘配置につけ!』
スピーカーから空襲を告げるサイレンがなる。
『ウウゥゥゥゥゥ〜〜〜!!!』
飛行場では戦闘機の発進準備が行われてる。
「エンジン回せ〜!」
パイロットと整備員が慌ただしく格納庫に集まりエンジンを動かす。
―――制空隊隊長板谷茂少佐機―――
「一機も飛び立たせるな!制空隊全機俺に続け!」
板谷は操縦桿を倒し、急降下に移る。あっという間に離陸中のハリケーンに狙いを定める。
「喰らえ!」
ダダダダダタッ!
「グハァッ!」
ハリケーンのパイロットは機銃弾で撃たれ飛び立つことはなくそのまま高角砲陣地に激突し炎上した。
―――艦爆隊隊長千早猛彦大尉機―――
「全機突入!」
千早は板谷と同じく急降下して行く。地上では制空隊の銃撃から逃れた戦闘機が急いで発進しようとする。千早大尉は発進しようとするハリケーンに狙いを定めた。
「喰らえ!撃ぇー!」
ヒューーーーーン!
「ああ、神よ…」
パイロットは落ちてくる爆撃を見て呟いた。次の瞬間爆弾はハリケーンに命中した。
ドカァーーーンッ!
ドカァーーーンッ!
ドカァーーーンッ!
爆風と爆弾の破片がが次々と他のハリケーンに命中し誘爆していった。
水平爆撃隊と雷撃隊は軍巷を攻撃していた。
―――水平爆撃隊隊長淵田中佐機―――
「目標ガントリークレーン!撃ぇーーー!」
ヒューーーーーン
ドカァーーーンッ!
「よっしゃあ!喜べ命中
したで!」
淵田はおおはしゃぎである。
―――雷撃隊隊長村田重治少佐機―――
「あまり艦船はないな。まあいい。全機突入せよ!」
村田は一個三機小隊を率いて敵駆逐艦を狙う。
「距離千……九百……八百……」
「よし。魚雷投下!撃ぇー!」
「魚雷投下!」
星野が復唱して魚雷を投下する。三本の魚雷は敵駆逐艦に吸い込まれていった。
ズシィィィーーーン!
ズシィィィーーーン!
ズシィィィーーーン!
「隊長!敵駆逐艦轟沈です!」
「ようし!あらかた片付けたな。帰還しよう」
村田は列機を率いて帰還していった。
―――英軍アッズ環礁基地旗艦ウォースバイト―――
「なんだと!セイロン島が空襲を受けてるだと?!」
「は、はい。コロンボとトリンコマリーが同時に攻撃を受けたと電文が来てます」
「くっ!やむをえんな。全艦の出撃準備は?」
「まだ一時間半かかります」
「くそっ!」
激怒してるのは英東洋艦隊司令長官のS・J・ソマービル大将である。日本軍の暗号を解読した英軍は艦隊をアッズ環礁に退避したのである。ソマービルが副官から紅茶をもらってとりあえず一息をついた時だった。
『敵機来襲〜!』
突如、見張り員からの報告にソマービルは愕然とした。
(ば、ばかな。奴らはセイロン島を攻撃してるんではなかったのか?)
ソマービルの考えをよそに第二機動部隊の攻撃隊は英東洋艦隊に襲いかかった。
作者「やっとセイロン沖海戦まで来ました」 将斗「長いような短いような気が…」 作者「まあまあいいやんか」 肥前「作者〜。私の出番はまだなのか?」 作者「あともうちょっとまってな。東京初空襲が終わったら書くからな」 肥前「本当か?」 作者「ほんとや。えーの考えとけらな」 肥前「頼むよ作者」 作者「任しといて下さいよ」 作将肥「「「それではまた次回。御意見や感想等お待ちしてますm(__)m」」」