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新大東亜戦争  作者: 零戦
122/131

第百七話 終焉を告げる電文





―――12:30旗艦大和―――


「敵先頭艦、速力低下ッ!!」


見張り員の絶叫が艦橋内に響く。


「……敵先頭艦に止めを刺す。全戦艦は砲撃を敵先頭艦に集中せよッ!!」


頭を討てば、どんな強い部隊も混乱するに決まっている。


しかし、敵連合軍艦隊の砲撃が戦艦朝日に集中した。


ズガアァァァァァーーンッ!!


ズガアァァァァァーーンッ!!


「戦艦朝日の艦橋に砲弾が命中ッ!!」


『何ィッ!!』


思わず艦橋にいた全員が叫んだ。


「朝日より手旗信号ッ!!『我、被弾。艦長以下艦橋ニイタ者全員戦死ナリ。我、コレヨリ敵連合軍艦隊ニ突入ス』」


「……被害担当艦になるつもりか。突入はするなと伝えよ」


しかし、返電しようとした時に朝日に向かって数発の四十六センチ砲弾が落下してきた。


ズガアァァァァァーーンッ!!


ズガアァァァァァーーンッ!!


朝日が炎に包まれた。





―――戦艦朝日―――


「………ぅ……」


朝日は強烈な激痛に閉じていた眼を開く。


痛みであまり辺りを見回せないが、どうやら二番砲搭にいるようだ。


防空指揮所にいたのだが、どうやら飛ばされたようである。


『朝日(姉さん)ッ!!』


誰かの声が聞こえる。


朝日は声が聞こえる方向に振り返ると、敷島、初瀬、三笠の敷島姉妹がいた。


「……敷…島…姉様……初…瀬……三…笠……」


「姉さん。喋っては駄目だ。傷口が開く」


三笠が朝日の傷口を止血するが、血は溢れるばかりである。


「……無駄…よ…機関……室と……弾…薬庫…に…火災…が広がっ……ているわ……」


敷島四姉妹の周りでは、乗組員達が懸命に消火活動をしているが艦魂である朝日は感じとっていた。


『己の命は消えかけている』


そこへ、再び敵連合軍艦隊が放った砲弾が落下してきた。


ズシュウゥゥゥゥーーンッ!!


ズガアァァァァァーーンッ!!


至近弾となった砲弾は水柱を上げるが、一発が朝日の後部五番砲搭に直撃。


五番砲搭は半壊して使用不能。


無論、中にいた砲員は全員戦死である。


さらに、四番砲搭が命中の衝撃で故障し、旋回不能となった。


「ッ!?ガハァッ!!」


朝日は顔を歪めて、口から血を出す。


「姉さんッ!!」


三笠が叫ぶ。


「……皆……行っ…て……総…員退…艦……が…出た……わ」


艦長が戦死したため、先任将校となった機関長は総員上甲板を決断していた。


艦内に設置されている拡声器からは『総員上甲板ッ!!繰り返す総員上甲板ッ!!』を繰り返していた。


「……姉様…これ……を……」


朝日は最後の力を振り絞り、己の命の次に大切な軍刀と帽子、そして敷島四姉妹が写っている写真を渡した。


「…初瀬……今度…は初瀬……の代わり……にな……ったね……」


「大丈夫だよ。艦が解体されたら俺達も行くよ」


初瀬は朝日を抱きしめる。


「……三笠……将…斗君…と…結婚……しなさいよ……」


「……うん……うん……」


三笠も朝日を抱きしめる。


「姉様……」


「……今はゆっくりと休め朝日。また会おう」


「…はい……また…会いまし…ょう……」


敷島達は朝日に最後の敬礼をして転移する。


朝日も敷島達に最期の敬礼をした。


「……皆……ありがとう………」


朝日はゆっくりと眼を閉じた。


その直後、弾薬庫に引火。


13:40。戦艦朝日は大爆発をしながら、日本から遠く離れたインド洋にその巨体を沈めた。


しかし、その数分もしない内に英戦艦トラファルガーとネルソンが放った砲弾が戦艦伊賀に四発命中した。





―――戦艦伊賀―――


「ガハァッ!!」


防空指揮所に伊賀は命中により口から吐血して倒れた。


さらに、一発が右舷喫水線下まで入り込んで爆発。


艦内に大量の海水がなだれ込んできた。





―――旗艦大和―――


「戦艦伊賀、速力低下ッ!!」


「伊賀ッ!!」


伊賀の被弾に将斗が叫ぶ。


しかし、連合軍艦隊も砲撃を止めない。


連合軍艦隊の戦艦は砲身を伊賀に向けて発砲した。


伊賀に多数の砲弾が落下してきた。


ズガアァァァァァーーンッ!!


ズシュウゥゥゥゥーーンッ!!


「グウゥゥッ!!」


伊賀が命中の激痛に耐える。


しかし、艦は炎上していた。


伊賀の右手は吹き飛び、左足はあらぬ方向に向いている。


「伊賀ッ!!」


視界が霞んでいくなか、自分を呼ぶ声を聞こえた。


誰かが伊賀の身体を抱きしめる。


「しっかりしろ伊賀ッ!!」


「将斗……さん」


将斗達が大和と一緒に転移してきたのだ。


「何をして……いるん…ですの……今…は……戦闘…中……ですわ……」


「馬鹿野郎。それどころとちゃうやろ」


将斗が止血するが、朝日同様に血は溢れるばかりである。


「糞ッ!!止まれよッ!!……………え?」


血が止まらないのに叱咤した将斗だが、突如砲声が止んだ。





―――旗艦大和―――


「……この電文は本当かね?」


通信兵から渡された通信紙を読んだ山本が宇垣に通信紙を渡す。


通信紙には『全軍、戦闘ヲ停止セヨ。アメリカ合衆国新大統領ハリー・S・トルーマン』と書かれていた。





―――13:50ホワイトハウス―――


ルーズベルトはいきなり大統領室に入ってきて銃を構えた乱入者に睨みつける。


「これは……これはどういう事だァァァッ!!スチムソンッ!!ノックスッ!!トルーマンッ!!」


ホワイトハウス全体にルーズベルトの怒号が響いた。





次回はルーズベルトの処罰です。御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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