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新大東亜戦争  作者: 零戦
118/131

第百三話 連合軍反撃 そして決戦





―――連合艦隊旗艦大和13:30―――


「第二機動艦隊の攻撃隊、全機着艦しました」


「うむ」


通信兵からの報告に山本が頷く。


「引き続き、第三機動艦隊からの攻撃隊を発艦させろ」


「了解」


通信兵が艦橋を降りる。


「……決戦部隊に発光信号を送れ。『コレヨリ、敵艦隊ヲ目指ス』とな」


「ハッ!!」


伝令が、即座に信号員に伝える。


チカッチカッチカッ!!


決戦部隊が大和の周りに集まりだす。


その時、大和の対空電探が反応した。


『電探に感あり。敵機ですッ!!』


「……来たか」


山本が腕組みをしながら呟く。


「……全艦対空戦闘準備ッ!!決戦部隊の進撃は1時中止だッ!!第三機動艦隊は後方に退避だッ!!」


連合艦隊の全艦艇の乗組員達が慌ただしく動き、主砲、高角砲、対空機銃が上空に向けられていく。


また、空母でも零戦、陣風、烈風を飛行甲板に出して、風上に向かって航行していた。





―――空母瑞鶴―――


「将斗乗るなッ!!」


「じゃかましいッ!!眼鏡は借りたから大丈夫やッ!!」


予備の蒼零に乗ろうと将斗を瑞鶴が止めている。(一番機の蒼零は損傷しているため。将斗達四人には二機ずつの特戦がある)


「……瑞鶴でもあかんか」


はぁと、蒼零が溜め息をはく。


「瑞鶴、無駄だ。将斗は意外と頑固だからな」


既に将斗の説得を諦めている昴が言う。


「ぬぅ……」


瑞鶴は悔しそうに将斗を見る。


「大丈夫や。無茶はせんから」


「無茶をしなかった日はあるか?」


「ウグ………」


瑞鶴に指摘されて将斗は言葉を失う。


「……まぁいいさ。行ってこい」


瑞鶴が言う。


「ありがとうな。帰ったらキスしまくったるからな」


「ッ!?………馬鹿者……//////」


瑞鶴が顔を真っ赤にして背ける。


「……リア充氏ねだな……」


「……言うな太田……」


今だに彼女がいない西沢中尉と太田中尉が慰めあう。


「……とりあえず発艦しなさいよ」


松平飛行長が頭を押さえながら言う。


パイロット達は慌てて愛機に向かう。


ブオォォォォォンッ!!


瑞鶴の飛行甲板に並べられた陣風と特戦が次々と発艦していく。


「中隊を組んだ部隊は先に行けッ!!」


将斗が無線機に怒鳴る。


第一陣八一機が、敵攻撃隊に向かう。


第二陣の百八機も艦隊上空で集合している。


「連合艦隊を護れッ!!!」





―――連合軍攻撃隊―――


「全機、見張りを怠るなよ」


ドイツ軍の急降下爆撃隊隊長でありながら攻撃隊三九〇機の総隊長であるハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐は、急降下爆撃機Ju87『シュトゥーカ』(日本語訳だとスツーカ)に乗りながら列機に伝える。


しかし、ルーデルが言ったにも関わらず、列機は制空隊の接近を許した。


……制空隊は太陽に隠れていた。


「かかれェッ!!」


進藤三郎少佐率いる烈風、陣風、零戦の八一機が襲い掛かった。


ダダダダダダダダダダッ!!


ドドドドドドドドドドッ!!


上空からの銃撃に次々と連合軍の攻撃隊機は火に包まれていく。


「糞ッ!!全機、スピードを上げて敵艦隊に向かえッ!!」


次々と落ちていく列機を悔しげに見つめながら言う。


だが、将斗が率いる第二陣の制空隊百八機が到着して、ますます混戦になる。


空戦から逃げれたのは戦闘機六十機、爆撃機九十機、雷撃機七十機である。


しかし、志賀淑雄少佐率いる第三陣の制空隊七二機が連合軍攻撃隊に立ち塞がる。


「戦闘機隊は敵戦闘機に当たれッ!!攻撃隊には近づけさせるなッ!!」


艦載機型のP―51、フォッケウルフ、シーフェリーが志賀隊に向かう。


ドンドンドンドンドンッ!!


ルーデルの下では、連合艦隊が対空砲火を撃って攻撃隊の接近を阻止しようと躍起になっている。


「全機攻撃だッ!!俺の中隊はあの空母を狙うッ!!」


後方で通信員が突撃命令をキーで叩いている。


各々の中隊が攻撃を開始する。


「行くぞッ!!」


ルーデルはダイブブレーキを開いて操縦桿を倒して急降下に入る。


狙われた空母は歴戦の加賀だった。





―――空母加賀―――


「敵ィィィッ急降下ァァァッ直上ォォォーーーッ!!!」


加賀の見張り員が叫んだ。


艦長の岡田次作少将(強く加賀艦長に留任を要請していたため)は先頭のスツーカを見て、叫んだ。


「取舵一杯ッ!!急げッ!!」


「とーりかーじッ!!」


岡田艦長の命令を操艦手が復唱して左に舵を切るが………老齢艦のため、動きが遅い。


「貰ったッ!!」


ルーデルはニヤリと笑い、投下索を引いた。


ヒュウゥゥゥーンッ!!


ルーデルが放った五百キロ爆弾は、岡田と加賀がいる艦橋に向かってきた。


「加賀ッ!!」


岡田は爆弾の弾道を見切った瞬間、加賀を護るべく押し倒した。


「次作さんッ!?」


加賀が叫んだ直後、五百キロ爆弾が艦橋に直撃した。


ズガアァァァァァァァンッ!!


しかし、加賀の悪夢は終わらなかった。


ルーデルの中隊(二機が落とされて六機)が次々と五百キロ爆弾を投下する。


ヒュウゥゥゥーンッ!!


二発は外れたが、四発が飛行甲板に命中した。


ズガアァァァァァァァンッ!!


ズガアァァァァァァァンッ!!


唯一、生き残った将校の先任となった加賀飛行長の天谷中佐は消火活動をしていたが、連合艦隊の対空砲火をかい潜ったアベンチャー雷撃機八機が加賀の左舷に向かってきた。


ドンドンドンドンドンッ!!


ドドドドドドドドドドッ!!


左舷の高角砲と対空機銃が火を噴くが、三機を撃墜しただけで、五機は距離八百で魚雷を投下した。


五本の魚雷は白い航跡を吐きながら、加賀の左舷に命中した。


ズシュウゥゥゥゥゥンッ!!


ズシュウゥゥゥゥゥンッ!!


五本の魚雷を受けた加賀は左舷に傾斜する。





―――旗艦大和―――


「空母加賀、航行不能ッ!!」


「何ィッ!!」


見張り員の報告に山本が叫ぶ。





―――空母土佐―――


「空母加賀、航行不能ッ!!」


「……お姉ちゃんッ!!」


瀕死の重傷を負った加賀を見て、妹土佐が叫びながら加賀に転移した。





―――空母加賀―――


「……お姉ちゃん……」


跡形もなく吹き飛んだ加賀の艦橋に土佐が呟く。


周りは、乗組員の怒号が響いているが土佐には聞こえていない。


「………ッ!?お姉ちゃんッ!!」


艦橋の瓦礫の中に誰かの手を見つけた土佐は瓦礫を退かすと、中には右腕はあらぬ方向に折れ曲がり、腹からは腸が飛び出した加賀と誰かの左腕がいた。


「お姉ちゃんッ!!しっかりしてッ!!」


土佐は加賀を抱き抱える。


「……ぅ……と……さ?」


「そうだよ。土佐だよ」


「ば……か…いま…は……せん……とう…ちゅ…う…なの……よ」


「お姉ちゃんが傷付いたから駆け付けたのよ?」


「……まぁ……いい…わ……ゲホッゲホッ!!」


加賀が咳込む。


「お姉ちゃんッ!!」


「……土佐……貴女…は立派……に…生きるの……よ……」


加賀が言う。


既に、天谷中佐の命令で総員退艦が出ていた。


「お姉ちゃん……」


土佐がギュッと加賀を抱きしめる。


「……さよならは言わないよ」


「……うん……またね……」


「……またね……」


土佐は加賀に対しての最後の敬礼をして転移した。


「……次作さん……今……そちらに…参ります……」


加賀は岡田の遺骸である左腕を抱きしめて眼を閉じた。





13:52。


連合艦隊を支え続けてきた加賀型航空母艦の一番艦加賀は加賀艦長岡田次作少将以下、多数の将兵の遺骸を積んだまま、故郷日本から遠く離れたインド洋でその巨体を沈めた。


また、空母祥鳳、千代田、軽巡一、駆逐艦四隻も加賀の後を追うように、インド洋にその身を沈めた。


さらに空母七、戦艦二、重巡三、軽巡二、防空巡一、駆逐艦八隻が損傷していた。





―――旗艦大和15:00―――


「敵艦隊との決戦は明日だな。第三機動艦隊に伝えろ。攻撃隊発艦せよ。もう一撃食らわす。空母部隊は後方の工作部隊と合流しよう」


山本は決断する。


それから30分後、後方に退避していた第三機動艦隊から攻撃隊が発艦していく。


目指すは敵連合軍艦隊だ。


その1時間半後の17:00、攻撃隊は大和に戦果を送った。


「空母三、巡洋艦二、駆逐艦八を撃沈か……」


山本が呟く。


「宇垣」


「はい」


「決戦艦隊に通達。輪形陣を組んで敵艦隊を目指す」


決戦艦隊は大和を中心にして敵連合軍艦隊に向かった。


ついに喪失艦が出ました。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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