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新大東亜戦争  作者: 零戦
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第九十五話 安らぎの安堵

片霧烈火の宇宙戦艦ヤマトを聞きながらの投稿。


こういう結果になりました。





―――伊五八―――


「間違いない。アイダホ型戦艦だッ!!魚雷室ッ!!魚雷の用意はッ!?」


橋本艦長は魚雷室に問う。


『もう一分待って下さい』


「出来るだけ早く頼むぞッ!!」


橋本は潜望鏡を覗く。


見えているアイダホ型戦艦は徐々に遠ざかる。


「最大戦速ッ!!」


「最大戦速ヨーソローッ!!」


伊五八は最大速度の十六ノットになる。


連合艦隊の伊号潜は全艦水中速度を十ノット以上に改装している。


『魚雷発射用意完了ッ!!』


ようやくの報告がきた。


「距離千ニ百……撃ェッ!!」


ドシュンドシュンドシュンドシュンドシュンドシュンッ!!!


六回の振動があり、魚雷が放たれる。


「第二射用意ッ!!」


橋本は命令を下す。


当たり前だ。一隻しかいないのだ。


ズシィィィーーンッ!!


ズシィィィーーンッ!!


鈍い音が響いた。


魚雷が命中した証拠だ。


橋本は潜望鏡を上げて見る。


橋本が見た時、艦尾に二本の水柱が上がっていた。





―――重巡インディアナポリス2―――


『魚雷が二本艦尾付近に命中ッ!!機関室に浸水ッ!!』


報告に、新米艦長のオスカー大佐は舌打ちをする。


いつの間に奴らがいたんだ。


「復旧を急がせろッ!!」


オスカーはそう言うしかない。後はダメコン隊の仕事だ。


しかし、重巡インディアナポリス2は十日前に竣工したばかりの新鋭艦である。


必然的に艦の錬度は悪い。


しかも、雷撃の要である魚雷発射管も予算の縮小と工期の短縮で廃止になっていた。


さらに、オスカーを襲う報告がきた。


『発電機室にも浸水中ッ!!』


オスカーは愕然とした。


これでは自衛の戦いが出来ない。


「何としてでも復旧させるんだッ!!」


その結果、見張り員、衛生兵以外の全員が復旧作業に従事する事になった。


しかし、これが後にルーズベルトにとっては最悪の結末になるとはオスカーは知らなかった。





―――伊五〇〇―――


それは全くの偶然だった。


大西洋で三隻の輸送船と一隻の駆逐艦を撃沈した伊五〇〇は喜望岬沖を航行していた。


「木梨艦長。敵艦です。距離は約七千」


聴音手の言葉に木梨が尋ねる。


「数は?」


「一隻だけです。さらに、敵艦の左舷千メートル付近に味方の伊号潜です」


「一隻だけだと?それに味方の伊号潜か……。考えても思いつかんし見るか。潜望鏡上げぇッ!!」


木梨は潜望鏡を覗く。


確か敵艦が一隻で航行していた。


「……成る程。味方の伊号潜は単独航行をしていた敵艦を発見して魚雷を発射したんだな。敵艦が少し傾いとる」


「どうしますか艦長?」


副長が尋ねる。


「無論、加勢するに決まっている。砲撃手、位置につけッ!!」


「浮上砲撃をするんですかッ!?」


木梨の命令に副長は驚く。


「何のために二十センチ砲を搭載しているんだ?魚雷室、魚雷も注水しとけ。浮上するぞ」


副長はもう何も言わない。ただ苦笑するだけだ。


「浮上ッ!!」


伊五〇〇は海面から飛び出した。





―――重巡インディアナポリス2―――


「潜水艦が浮上ッ!!」


「何ィッ!?」


見張り員からの報告にオスカーは思わず目が点になった。


しかし、すぐに立ち直ると戦闘配置を下す。


「無理です艦長。発電機が復旧していないので主砲と高角砲は使えません。使えるのは機銃のみです。しかも、大半の乗組員は復旧作業中です。今、戦闘配置に付かせると復旧作業は低下します」


副長が報告する。


「くッ!!なら、今、艦が出しうる速度で逃げるしかない」


重巡インディアナポリス2は出しうる速度、十二ノットでマダガスカル島に逃げるが、その前に伊五〇〇の二十センチ砲が火を噴いた。


ズドオォォーーンッ!!


二発の砲弾は距離も近かったため、初撃で艦橋に命中した。


ズガアァァーーンッ!!


爆発した瞬間、オスカーの最期の光景は、眩しい光だった。





―――伊五〇〇―――


「次弾装填ッ!!」


砲術員が急いで薬莢を取り替える。


「ッ!?艦長ッ!!敵艦が白旗を掲げていますッ!!」


「何ィッ!?」


木梨が双眼鏡を覗くと、確か白旗が掲げていた。


「……あっさりし過ぎる。……砲門は敵巡洋艦に向けろ。近づくぞ」


一方、伊五八でも白旗を確認していた。


「むぅ、伊五〇〇に先を越されたか……。仕方ない、我々も浮上するか。浮上ッ!!」


ザパアァァンッ!!


伊五八が海中から姿を現した。





―――重巡インディアナポリス2―――


インディアナポリス2に転移したイコ(伊五八)は艦首で倒れている少女を見つけた。


「あんた大丈夫?」


インディアナポリス2の右腕は折れておりあまり大丈夫とはいえないが……。


「……を……て……」


少女は何かを呟く。


「うん?」


イコが聞き返す。


「お願い……私を沈めて……」


少女の発言にイコは驚く。


「なッ!?あんた、何自殺志願者みたいな事を言っているのよッ!!」


イコが怒鳴ると、少女―――インディアナポリスはポロポロと涙を流す。


「私の中には……私の姉さんや仲間を……貴女達の仲間を殺せる原子爆弾があるの。私はマダガスカル島まで原子爆弾を運ぶ任務なのよ。だけど、私は姉さんや仲間を殺したくないのッ!!だから、私を沈めて……」


インディアナポリスの言葉にイコは衝撃を受ける。



『原子爆弾を運ぶ任務』


それは史実で自分自身が沈めたアメリカ軍重巡洋艦インディアナポリスが努めていた。


「……あんた名前は?」


「………インディアナポリス2よ」


インディアナポリス2は、顔を涙でボロボロにしながら言う。


イコは点と線が繋がった気がした。


何故、重巡が単独航行をしていたのか?


イコは、インディアナポリス2を抱きしめた。


「……貴女を死なせはしないわ」


イコは橋本艦長の元へ転移した。



一方、橋本以行中佐と木梨大佐は原子爆弾が保管されている部屋に来ていた。


「……こいつが原子爆弾か……」


生き残っていた副長は、何故、降伏したのかを全て話していた。


この任務はオスカー艦長と副長が聞かされていた。副長自身はかなり悩んでいたらしく、もし原子爆弾が投下されていたら自殺する予定だったと言う。


「自殺する必要はありませんよ。こいつは我々が保管しましょう。なに、ルーズベルトの奴には使わせませんよ」


しかし、この重巡をどうするか?


「捕獲はするが、マダガスカル島には敵航空戦力もあるしな……」


そこへ伊五〇〇の木梨艦長が口を開いた。


「なら、南極に一時的に避難するか?」


木梨の言葉に橋本が思い出した。


大西洋にも伊号潜が進出するために43年の12月に密かに南極のオングル島付近の補給基地を作ったのだ。


そこには簡易だが、修理施設もある。


ただし、見つかれば即座に爆破して撤収するのだが。


「その手がありましたね大佐」


「牽引は俺の伊五〇〇でしよう。伊五八ではきついだろう」


そこへイコが転移してきた。


「橋本ッ!!この艦を沈めないでッ!!」


「沈めないぞ」


「……へ?」


イコは呆気に取られる。


「南極補給基地まで伊五〇〇が牽引する」


「……よかった〜」


イコはへなへなと腰を降ろす。


そこへ伊五〇〇の艦魂の弥生が転移してきた。


「こらイコッ!!あんた何でインディに手当てしてないのよッ!!」


「でも、インディアナポリス2を死なせないために橋本のところへ……」


「ごちゃごちゃ言わずに来るッ!!後、インディよ」


「ちょ、待ってよ弥生」


二人は転移した。


「……何がしたいんだか……」


橋本は溜め息をつく。


木梨は苦笑するだけである。


事情が分からない副長はポカンとしていた。


一時間後、重巡インディアナポリス2は伊五〇〇に曳航されて南極補給基地に向かう。


二発の重要荷物を乗せて……。





―――二日後の7月28日ホワイトハウス―――



「何ィッ!?インディアナポリス2が消息を絶っただとォッ!!!」


ルーズベルトは報告の電話に衝撃を受ける。


ルーズベルトは思わず電話の受話器を落としてしまう。


ただ、ルーズベルトは一言だけを呟く。


「………終わった……」





―――同日シンガポール―――


補給のためにシンガポールに立ち寄った第二機動艦隊は、南極補給基地からの報告を受けていた。


「山口長官ッ!!『リトルボーイ』と『ファットマン』が捕獲されたのはほんまですかッ!?」


将斗が長官室に慌てて入ってきた。


「あぁ。重巡インディアナポリス2の副長の証言によれば、連合艦隊と連合軍艦隊の交戦中に落とす予定だったらしい」


「うわぁ〜。伊五八と伊五〇〇がたまたまその海域にいてよかったですね」


「軍令部の奴らも予想外だったようだな」


「では、連合軍艦隊は引き返したのですか?」


自分の真上に原子爆弾が落ちるのだ。


嫌に決まっている。


「いや、引き返していない。だか、奴らは決戦を挑んでくるのは確かだ。……それに富嶽作戦が開始されたようだ」


「ッ!?本当ですかッ!!」


山口は無言で頷いた。





その頃、元ポーランドのワルシャワ上空に大多数の爆撃機が高度一万で飛行していた。


六発機である。


ドイツはもとよりアメリカはまだ六発機を保有していない。


では何処の国か?


六発機の主翼には、赤い丸印の国際標識が塗られていた。


爆撃機の名前は超重爆撃機富嶽。


目標はベルリンだった。


御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m



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