第八十六話 自由の女神ヲ破壊セヨ
とうとう連載が百まで行きました……o(^-^)oよく頑張ったな俺……f^_^;
―――5月28日アゾレス諸島西南沖―――
「周囲に敵艦は無し…と。よーし、浮上する。メインタンクブローッ!!」
「メインタンクブローッ!!」
ザザアァァッ!!
一隻の潜水艦が浮上した。
その潜水艦は偵察機やカタパルトを搭載しておらず、代わりに前部に五十口径二十.三センチ連装砲一基を搭載していた。
「木梨大佐。もう少しで米本土です」
「うむ」
航海長の言葉に伊号五〇〇潜水艦艦長の木梨鷹一大佐はただ頷くだけである。
「しかし、本土の連中も凄い作戦を考えましたね」
「確かにな。これが成功したら米国の地位はどん底だろうな」
木梨大佐はニヤリと笑う。
伊五〇〇は再び、深い海へと潜って行った。
―――1週間後6月4日―――
リバティ島沖約十二キロの地点に伊五〇〇は潜航していた。
「時刻は?」
「午前五時五十五分です」
「よし、潜望鏡深度まで浮上ッ!!」
「潜望鏡深度まで浮上ヨーソローッ!!」
「潜望鏡上げェェェッ!!」
「潜望鏡上げますッ!!」
木梨が潜望鏡を覗く。
「周囲に敵艦は無しだな。よし、浮上ッ!!それと魚雷を注水しとけ」
「浮上ヨーソローッ!!」
ザザアァァァッ!!
伊五〇〇は浮上した。
「砲撃準備にかかれッ!!」
乗組員達が慌ただしく準備をする中、艦魂である伊五〇〇の弥生(3月に竣工したから)は艦首におり、右舷の方向を見ていた。
視線の先には自由の女神がいた。
「可愛そうね。なんせ、今から木っ端みじんになるから」
弥生はニヤリと笑う。
弥生は今までの潜水艦の艦魂達と性格を違う。(イロハとイハは別)
従来の潜水艦の艦魂は人見知りで、大型艦の艦魂とは関わろうとはせず、身内だけで集まっていた。
だが、弥生はそれを嫌い、積極的に大型艦の艦魂達と接していた。
「同じ帝國海軍の仲間なんだからウジウジしないで元気に接しよう」
それが弥生のモットーである。
話しがそれた。
「艦長ッ!!砲撃準備完了しましたッ!!」
木梨は部下からの報告を聞きつつ、自身の双眼鏡を覗く。
「奴らはまだ気付いていないな。砲雷長ッ!!撃ち方始めッ!!」
「撃ェェェーーーッ!!!」
ドドウゥゥゥーーンッ!!
二十.三センチ連装砲が紅蓮の炎を上げた。
放たれた二発の砲弾は一万二千メートルの空間を飛び抜け、自由の女神の足元に命中した。
ズガアァァァーーンッ!!
自由の女神はコンクリートの破片を撒き散らしつつ、ゆっくりと倒れた。
ズズウゥゥーーンッ!!
「命中ッ!!命中ッ!!」
双眼鏡で覗いてた見張り員が叫ぶ。
「喜ぶのはまだ早いッ!!急いで次弾装填ッ!!完膚無きまで破壊するんだッ!!」
気が緩まりかけた乗組員達を木梨が叱咤する。
「次弾装填完了ッ!!」
「撃てェェェーーーッ!!」
ドドウゥゥゥーーンッ!!
再び砲弾が放たれる。
砲弾は放物線を描きながら、自由の女神の残骸に命中した。
ズガアァァァーーンッ!!
ズガアァァァーーンッ!!
「命中ッ!!自由の女神は完全に破壊された模様ですッ!!」
「よし、長居は無用だ。潜航準備ッ!!」
「敵駆逐艦発見ッ!!正面距離約八千ッ!!数は一隻でバークレイ級ですッ!!急速に接近中ッ!!」
見張り員が叫ぶ。
すかさず木梨は命令を下した。
「魚雷一番、二番発射ッ!!」
ズシュンッ!!ズシュンッ!!
艦首部分から酸素魚雷が二発放たれる。
「潜航準備完了ッ!!」
「潜航急げッ!!」
ズドォォォンッ!!
主砲を撃ってきた。
ヒュルルル……ズシュウゥゥンッ!!ズシュウゥゥンッ!!
初弾は遠弾だった。
その間にも伊五〇〇は潜航する。
「深度百八十まで潜航ッ!!」
「ヨーソローッ!!」
その時、何かが命中した音が響いた。
ズシイィィーーンッ!!
ズシイィィーーンッ!!
「艦長ッ!!先程放った魚雷が駆逐艦に命中ッ!!」
聴手からの報告に木梨はホッと一息を吐いた。
「何とかいけたな」
バークレイ級駆逐艦は酸素魚雷に気づかず、そのまま直進をしたために魚雷を喰らってしまった。
「では、これよりハワイに帰還する。全乗組員につぐッ!!よくやったッ!!」
『オオォォォッ!!』
乗組員達が歓喜の雄叫びを上げた。
「よしッ!!」
無論、弥生も小さくだがガッツポーズをした。
その後、伊五〇〇は輸送船を二隻血祭りに上げる成績をして三週間後にハワイ諸島オアフ島に帰還した。
次回はかなり真剣な話しになると思います。
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