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テーマ「机」 制限時間50分

作者: わふ太郎

書いたものをまとめるスペースが欲しくて、こういった場所を借りて書かせてもらいます。

きっかけがバカバカしいですが、よろしくお願いします。

「机上の戦争」


それはいつも机の上で繰り広げられる。

机の上での空想戦争。主役はいつだって強そうなフォークだ。たまにフォークが洗ってなくて、仕方なく爪楊枝を使うことがある。でも爪楊枝が主役だと、敵のスプーンが強すぎてかわいそうだから、いつも何か別の敵を用意しなくちゃいけない。前は爪楊枝の入った箱と戦ったんだけど、勝負にならなかった。爪楊枝の入った箱って強いんだなあ。そう思った。


今日のお昼ご飯は、スパゲッティ。主役のフォークはまだ洗ってなかった。


「今日の主役は爪楊枝だね」


しぶしぶ僕は箱から爪楊枝を救い出し、今日の敵役を考えることにした。爪楊枝が勝てそうな相手を探したら、ジャガイモが目に写った。

まさか今日は食卓にあれが並ぶ、悪魔の日ではないか。


食卓に夕飯が並べられ始めると同時に、僕の空想が始まった。



人類の中には、ごくまれに特殊な体質を持って生まれる者がいる。それらは種族分けされ、いつもは世間に溶け込んでいる。その中の一人、爪楊人(つまようじん)と呼ばれる人は、極度に体が細く、寿命が短いことで知られている。爪楊人は温厚な性格の者が多く、世間からも受け入れられている種族だった。

しかし、世間には爪楊人と相対する種族がいた。種族名を邪害者(じゃがいもん)といい、まるでジャガイモのように肥大化した体と、とてつもないパワーを持って生まれる種族だった。性格は傲慢、奔放、自分勝手。もちろん世間から嫌われている種族だった。


事件は起こった。料理下手な母親が、ジャガイモを生で食卓に並べた。種族分けされた平穏な世界の均衡が崩れる。傲慢な邪害者は、世界(食卓)を侵略しようと攻めてきた。


まず邪害者が攻めたのは、シーフードサラダ国。シーフードサラダの中に、一つの違和感が混じる。不味い。食卓にジャガイモを混ぜる母も大概だが、僕のとった行動もまずかった。このジャガイモ……洗ってない! 口に運んだシーフードサラダに泥の味が混ざる。空想の世界からの、唐突なダイレクトアタック。爪楊枝は宙に舞い、机の上に落下する。


それが、合図となった。しまった。空想に気を取られて油断していた。

視界の隅に、姉の暴挙が映る。奴は今まさに洗っていないジャガイモ(無味無臭)をこちらの皿に移そうとしていた。おい、領空侵犯だぞ! しかし邪害者からのダイレクトアタックに口の中がどうしようもなかったので、仕方なく姉の暴挙を受け入れた。これが我が家のルール、机上の戦争のルールだった。


空想の中に登場してきた邪害者の援軍。いよいよを以て万事休すかと思ったその時だった。


「爪楊枝が…立ってる……!」


それは軌跡の奇跡とも言える状況だった。宙を舞った爪楊枝が机の上に突き刺さり、その悠然たる後ろ姿を僕に示していた。導かれるように爪楊枝を手に取る。


今こそ…主役が輝く時だ!


爪楊人が世間から虐げられることなく、そのか細く儚い命の尊厳をいかにして保ってきたか教えてやるときがきたようだ。


爪楊人「爪楊人の一生はその死に様で決まる……! 

ここで散るは、爪楊人としての本望よォ!! 」


爪楊人の体が光を放つ……ように見える。サっという音が僕の口から発せられたと同時に、邪害者に向かって一筋の希望の爪楊枝が放たれた。


僕&爪楊人「これで終わりだ……!」


一閃。鋭い光が邪害者を貫く。

そうして無理やりに姉の口に突っ込んで、世界(食卓)に再び平和が訪れた……。


ダイレクトアタックで大ダメージを食らった姉からの罵詈雑言も、僕の空想の中では、勝者を讃えるファンファーレにしか聞こえなかった。


Fin.


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