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プロローグ

 近付いている


 足音を忍ばせて


 着実に、近付いている


 激しく燃える復讐の怨念


 その後ろで、企みの笑みを浮かべながら


 そしてそれは、始まりを告げた

 それは繰り返し行われて来た。何十年も前から、その星は地球を見詰めている。だが、それも終わりのときを迎えた。


 何故なら、その星の生命が終わりを告げたからである。その星の住人は僅かで、星と運命を共にすると決めた。しかし、星が消える直前に、やらねばならないことが出来る。


 その星から、放たれてはならないモノが放たれてしまった。それは、長年見守って来た地球危機意味している。


 星が消える寸前に、宇宙船が一隻放たれた。それは、地球に向かって飛び立っていく。一瞬の凝縮の後に、星は宇宙のチリと消えた。


 放たれた宇宙船は、順調に地球に向かうと思われる。だが、放たれてはならないモノは、それを予期していた。待ち伏せして、宇宙船攻撃を仕掛ける。


 攻撃を受けた宇宙船は、その機能を停止した。それを見届けると、放たれてはならないモノは地球へと向かう。しかし、消えた星の住人は、それを予期していた。


 機能を停止した宇宙船より、何かが発射される。それは、星の欠片に突き刺さった。そして、大いなる責任と大いなる使命背負って地球に向かう。


 新たなるヒーローを生み出す為に……。


 星の消滅より、十数年の月日が流れた。まだ、星の欠片は、地球に到着してはいない。だが、危機は足音を忍ばせて、確実に近付いていた。ある復讐の怨念を利用して。


 白衣を着た痩せた中年の男は、エレベータに乗り込むと地下へと向かう。ニヤリと、薄気味悪い笑みを浮かべた。


「やっとこの日が来た。豚どもへの復讐が始まる……」


 どう見ても、悪いことを考えている表情。異様なまでに怪しく、その目には怨念のようなモノを感じる。


 エレベータを降りて、長い廊下の先にあるドアの前に立った。セキュリティを解除して、ドアを開ける。一人の老人が、男に背を向けて何かを作っているようだった。


「準備は万端か?」


「大丈夫です。欲に溺れた豚どもを騙すことなど、造作もないことです」


「そうかもしれないが、油断するなよ! 資金を集めて、増産体制を作らなくてはどうにもならない!」


「分かっています。お任せ下さい。そろそろ時間ですので、私はこれで」


「上手くやってくれ」


 男は、老人に一礼すると廊下を戻っていく。ドアが完全に閉まると


「欲に溺れた豚と復讐に溺れたネズミ、大差無いわ!」


と、言うと、ドアに向かって(さげす)むような視線を送ったのである。


 白衣の男、地下室の老人、一体、何が始まるのだろうか……。


 刻一刻と近付く危機、大いなる使命と大いなる責任を背負って、地球に急ぐ星の欠片、今まさにヒーローの誕生が近付いていた。


 中年の男と老人の企み、地球に向かう星の欠片


 次回「再会とプレゼンテーション」

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