表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

プロローグ

初めての小説です。故に最初の方はとことん文章力がないので、つまらないかと思いますが、物語が進むにつれ文章力があがっていきますので、それに期待して読み進んでいただけるとありがたいです。

 気付けばそこにいたということを誰かに話して誰がそのことを説明してくれよう。


 記憶はないが記録ならある。

 猿が画鋲を踏んで痛がってるような顔の生まれたての写真、初めて立って歩き出したときの写真、初めて父親に向かいなぜかママと言ったときの四角い記録媒体に録画された映像。


 どれもこれも単なる親バカとしか言いようがなく、いくら親がそのことをいつまで経っても思い出しては幸せそうにしたって、肝心な記録された本人が覚えてないんじゃ仕方がなかろうという疑問は親のただの自己満足ということにしておけばいいのだが、そのころ親も知らない何かが自分たちが気付かない間に自分の子供におきたところで、その子供を含め誰が覚えていられようというのか。


 俺の記憶があるのは最も古いところで幼稚園の年中のときに行った遠足であり、友達とぶつかった衝撃によりチャックが半開きになっていた背中に背負っていたリュックから弁当が落ち、せっかく作ってくれた母親の苦労も虚しく、直射日光により熱されたアスファルトの上にカラスにつつかれてさらにゴミ荒らしをくらったかのごとく散乱した自分の元昼食を見て、その友達に言い知れぬ憤りを感じたくらいのことしか思い出せず、それより以前の記憶はもう頭を雑巾のようにこれでもかとしぼったところで一滴も垂れてきやしないだろう。いやはや、人間の脳みそとは所詮こんなものかと思わされる。


 先程〈最も古いところで〉と俺は言ったが、その言葉の通りその部分を断片的に覚えているだけであってそれ以降のことを完全に覚えているわけではない。よってあまり大事に思わなかったことなどは部屋の目立たないところに追いやられたエアコンのコードなみにそのころのおれにはどうでもいいことであって、記憶から抹消こそしないもののよほどのことがないかぎり思い出せない脳みそのタンスと壁の隙間的場所に保管されるのであった。



 このころはまだ気付かなかったんだ、あれがあんなに大事なことだったなんて。



 だから…

 だから俺はその未来的重大事件に関する記憶を、脳みそのわずか2センチ程の隙間に押し込んでそのままにしてしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ