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Ep.7 俺たち入れ替わってる!?


 言いたいことはたくさんあります。


 異世界って聞いたから定番の中世ヨーロッパ風世界かと思いきや、予想外に近未来SF風味が部屋のあちこちにただよって、びっくりしてるよ、とか。


 天井のシャンデリアに取り付けられた光を放つ不思議鉱物はなんぞや、とか。

 宙に浮く家電っぽい謎の文明の利器はどういう原理で浮いてんの、とか。

 SFとファンタジーが融合した、やたらお金がかかっていそうな調度品や装飾品満載のこの部屋の主は愛されてんだな、とか。


 だが、今そんなもんはどうでもいい。

 この緊急な事態にそんなもん些事さじだ。些事。


 緊急事態――ただいま俺、八神 八満は超絶美少女(オクトーさん)()()います。


 見た目は十八歳の知的でクールな女の子。

 髪は光沢を放つ、ゲーミングカラーのカラフルな髪色。めっちゃ綺麗。

 複雑な色に彩られた星のように輝く瞳。めっちゃキラキラしてる。

 良く似合ってるファンタジーなメイド服。めっちゃかわいい。

 国宝級といっても過言ではない、奇跡が具現したような容姿。すんげえ美人。


 本人いわく、人形らしいけど言われなきゃ分からないほど精巧で、素人目には見分けがつきません。異世界人形の造形すごすぎ&かわいすぎ。


 現世うつしよ離れした美貌は人外といえば人外だけども。

 まだ会ったのがオクト―さんだけだから、この世界の平均容姿がわかんないや。


 それと首下にきらめく宝石と、(無限)を模した異様な気配を放つ蛇の紋様――――本能が告げる。()()やばいもんだ。


 まあ、それは置いておいて。


 たとえハウス・オートマタ?とかいうお人形さんとはいえ、こんなかわいい子に取り憑いて現在進行形で迷惑をかけるやからがいるらしいです。

 許せませんね。ゴミクズですね。――――はい。俺のことです。


 背徳感がハンパないです。まじごめんなさい。


 ただ言い訳させてください。

 こんなことになったのはクソ神モドキどものせいなんです。

 やつらに無理やり連れてこられたんです。俺の意志じゃないんです……。


 ほんと、マジなにしてくれてんだ。あのド畜生ども……ッ。



「理解不能。推定:A級脅威侵食生命【ハチ】はなにを言っているのですか?」



 うん。オクトーさん。なに言ってるのか分かんないよね。

 だけど、俺もなにがなんだか分かんないの。

 あと、A級脅威なんちゃらってのやめて。



「名称訂正。かしこまりました。では――――

意味不明アンノウン】悪性悪禍蝕心寄生体【ハチ】で」



 悪化した!? ちがうよ!?

 俺が求めたのはそんな大仰な厨二くさい名前じゃないよ!?

 ふつうにハチって呼んでください!



「……不承不承(しぶしぶ)。…………わかりました。ハチ……ッ」



 なんでそんな嫌そうな声なの!?

 顔色一つ変わってないけど、不機嫌な感情伝わってくるんだけど!


 もしかして、さっきの大仰なかっこ悪い名前気に入ってたの!?



「事実無根。当機に感情というものは実装されておりません」



 え、いや……。だって…………。



「訂正要求。それと、さきほどの名前はかっこ悪くありません。かっこいいです。すぐに発言を撤回してください。もしくは――――謝れ」



 オコじゃん! めっちゃオコじゃん! 声がガチトーンじゃん!

 感情あるじゃん! ありありのありじゃん!



閑話休題それはさておき。ところでハチは取り憑くと言ってましたが、あなたの正体はウィルスではなく、霊魂アストラル・ボディ――――ゴーストのたぐいなのですか?」



 そうなんです……。これには深ーーーい事情があって。

 罪なき俺を襲った災難。聞くも涙。語るも涙。とても悲しい出来事が――。



「完全理解。これより対処法を変更します。いまからゴーストをバスターする職の者たちを呼びます。ハチはそのままおとなしくして下さい」



 ちょーーーい、オクトーさーーーん!

 それもしかしなくても俺をバスターする気だよね!?



「事実無根。なんのことやら?」



 とぼけた!?

 この機械人形オートマタとぼけやがった!?


 異世界の人形ってそんなこともできんの――――って、そんなこと言ってる場合じゃない!


 ねえ、オクトーさん! そのポケットから取り出した連絡端末っぽいのおろして!

 ゴーストバスターたち呼ばないで! 俺まだ消えたくないから!



「勧善懲悪。悪霊滅ぶべし、慈悲はありません」



 ふるふる、ボクわるい霊じゃないよ。いじめないで。



「……不快。なんのマネか知りませんが、バスターする意志が固くなりました」



 逆効果だった!?

 やっぱり某青色液体生物が言わないと効果ないかッ。



「意味不。とりあえずゴーストをバスターする者たちに連絡します」



 ()()()()()()()()()()()()!!!



「ッ!? 危機感知。ハチの存在力増大ッ。一体なにが――――ッ」



 ◑【(オクト―) → (ハチ)



「マジ勘弁してください! なんでもしますから――――って、え?」



 理解不能……。ありえない…………。



「え、この透き通った声。このキレイな手。この美しい顔。もしかして――」



 …………接触禁止。勝手に()()()()()に触れないでください、ハチ。



「俺たち…………意識が()()()()()()?」




 この物語は八満とオクト―。

 二人の地文語りが交互に変わっていく、変則一人称視点?でお送りします。


 次回更新は12/9の7:30です。

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