Ep.6 はじめまして【オクトー】 さん
「――――%’”#”TW%&◆I”T?''>P+@.@」
んぅ、なんかうるさいなぁ……。だれだよ。人さまの眠りを妨げるのは……。
――って、あれ? 俺なにやってたんだっけ?(本日、二度目)
「緊急事態。言語域侵食=;@p危機◆&$。■*@排除――失敗」
はッ、そうだ!?
なんか神モドキどもの悪だくみで異世界に飛ばされるって話だった!
――ってことは、ここは異世界!?
やべ、どうしよ。異世界の人たちに会った時のアイサツ決めてないぞ。
本当にマズい。初対面の印象は三秒で決まるって聞いたことがある。
このままじゃあ、確実にゴニョゴニョ話す自信があるぞ。
異世界の人たちに変な子だって思われちゃうじゃん。
「危険。思考領域の汚染拡大中。隔離処置――失敗」
ここは王道の「はじめまして」でいくか? いや、少数言語の日本語が通じるとは限らない。それなら最もポピュラーな英語で「ハロー」
――これだ! これに決定だ!
ん? というか言葉って通じんの?
あの悪逆非道な神モドキどもが『異世界語理解』なんて気の利いたもん寄こすはずないし――って、さっきから俺、頭に響く声の内容理解してきてない?
「――――万事休す。他の対抗手段もすべて効果を確認されませんでした。――これより最終手段に移行します」
へ? 最終手段?
「警報発令。これより当機は汚染拡大を防ぐため、自壊プログラム【タナトス】を起動します。五秒カウント後、当機を含む半径十メートルの生命・非生命は灰燼に帰します。速やかに避難を開始してください。――これまで家政魔導機械人形のご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。それでは、カウントダウン開始――5・4・3・2・1・ゼ――――」
待ってーーーーーーい!!!
「ッ!? 機体硬直。カウントダウン停止。身体操作に干渉を確認。未知のウィルスの危険度を上方修正します」
あんた、なにやってんの!?
こっちからなにも見えないんだけど、真っ暗なんだけど! 本当なにやってんの!? なに初手、自爆しようとしてんの!? 命をもっと大事にしなよ!
「幻聴確認。当機はもうダメのようです。未知のウィルスに完全汚染されました」
ちょっと待って。さっきから言ってる未知のウィルスって俺のこと!?
バイ菌呼ばわりは、病床時代のトラウマ刺激するからやめてくんない!?
「…………名称確認。ではなんと呼べばいいでしょう?」
はじめまして・ハロー。
友だち、親友、恋人、家族、大募集中の男の子。
別世界からやってきた異世界人、八神 八満だ。
気軽にハチって呼んでくれ。よろしくな。
「異世界人? …………承知。推定:A級脅威侵食生命【ハチ】を【ライブラリ】に登録しました」
異世界人はスルーなの……? しかも危険人物扱いされてるし……。
まあ、いいよ。それで君の名は?――お、なんかが繋がっていく感覚があるぞ。視界が晴れていく……………………え?
「自己紹介。当機は最古の家政魔導機械人形のワンオフモデル。【究極の芸術】シリーズの八号機。作品名はNo.8【∞の地平線】」
…………いま俺、化粧台の前に座ってるのか?
ちょうど、目の前に姿見の鏡があるけど…………。
誰だ。この仏頂面超絶美少女メイドさんは?
桜色した唇の動きからして、オートマタさんみたいだけど…………。
だけど、なんで――俺が映ってるはずの鏡にオートマタさんが映ってんだ……。
まさか――――。
「通称【No.8】。当機は、そう呼ばれています」
……………………へぇ! あなたも8って言うんだね!
八満は現実から逃避した。
もう一人の主人公。オクトーさん登場。
8の名を持つ二人の出会いです。




