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Ep.59 共に運命を征く二人は――――


 ◐【 (ハチ)→ (オクト―)


「終点。ハチ、ウナ姉様のエーテル体はどこを指していますか?」


 二時の方向やや下目。指先はさっきから動いてない。

 終点ゴールに動きはないみたいだ。

 幻覚をぶっ飛ばしたあたりから、『道』の動きが鈍くなってるのと関係してるっぽいな。


「好都合。幻覚を打破した、ご褒美(インターバル)なのでしょう。今のうちに決着をつけましょう」


 おう。だけど、その前に――――


「はい。ウナ姉様に出立の挨拶を」


 いまだアヴィオール殿下に抱えられるウナさん。

 その肩にいるウナさんのエーテル体。ちびウナさんに見えないながらも目線を合わせるオクトー。


 殿下はうわ言のように謝罪の言葉を繰り返してる――けど。

 尋常じゃない気配がウナさんの周囲を覆ってる。

 これが結界の魔術ってヤツか。絶対にウナさんを傷つけさせない意志を感じるわ。


 これなら、()()()()()()()()()はなさそうだな。



「ウナ姉様。当機たちは試練を超えてきます。しばしの間、ここでお待ちください――――いって参ります」


(グッ)


 ちびウナさん、サムズアップしてる。

 この人、高貴な見た目して意外とフランクだな。



「飾らない親しみやすさがウナ姉様の良いところです――――それでは、往きますよ、ハチ。『三相断界トリニティ・へカティア』、起動スタンバイ



 おう! 砲口が衝くは『天』!

 夜空にかがやく『星』を掴むぞ!



「目標。五つ星魔術師・サーニャ=ミールが遺した、偵察の星滅装備。天に輝く道しるべ。距離はおよそ二十キロ『三相の三(トリニティ・スリー)』・『境界超越ワールド・ビヨンド』発動。この瞬間、距離の制約を越えて、跳びます――――宇宙そらへ」



 はるか高みから、ウロボロスの野郎を見下ろしてやろうぜ!


 ・

 ・

 ・


 ★



 ――――というわけで来ました、ダンジョン内の宇宙!


 天に輝く星が近い、だとか。

 初の宇宙旅行。一瞬で来ちゃったよ、だとか。

 サーニャさんが打ち上げた人工衛星が巨大になってる、だとか。

 色々と言いたいことはあるけど、そんなモンよりもまずは、はるか下。地上に見える()()


 ウナさんが指さしていた方向に、こんもりと巨峰の如くそびえ立つ胴体。

 その下に隠れているであろう場所から、ヤバい気配がメチャクチャします!

 ウロボロス野郎の超巨体から離れて、麻痺していたヤベー気配を感じ取るセンサーが『超ヤバイ(レッドアラート)』と、知らせてきます!



「隠匿。弱点部位を隠していますね――――予想の範囲内です。それでは、当初の予定通り、人工神器【星廻器:『廻天』】の武威。とくとご覧に入れましょう」



 人工衛星の上。オクトーが、勢いよく、見せつけるように四次元ポーチから取り出したのは――――『星』?


 手のひら大のトゲトゲした、星を思わせる結晶。その周りを衛星のように廻る七つの小さな星。合計八つの『星』。これが武器か? ――――と、思ったらオクトーが握った瞬間、変化していく!?



同期開始シンクロナイズ。位置情報――『深淵ダンジョン』内と確認。安全装置解除セーフティ・オフ。魂情報の参照――完了コンプリート。【星廻器:『廻天』】、最適状態へ形態変化します」



 使うヤツの『()()』で姿を変える、千変万化の星滅装備……。

 オクトーの説明を聞いた時も驚いた――が。

 実際、この変化を目の当たりにすると、その時以上の驚きがあるわ。


『へカティア』超えの、ゴツく、唸りをあげる長大な砲身(ロングバレル)

 周囲に浮くのは、主砲を補佐する、二回り小さくした自動で動く副砲。

 メカメカしい未来的なデザインから感じるのは、空気が圧し潰れそうな圧倒的な重圧プレッシャー

 それに、全体から神々しい輝きを放っている。


 これが人工神器……ッ。

 異世界初心者の俺でも、神器ってわかる迫力だッ!?



根源霊素オリジンエレメントステラ』、一極集束砲。【星廻器:『廻天』ver(オクトー)】、準備完了レディ・トゥ・ファイア発射勧告カウントダウンいきます。スリーツーワン、ゼロ――――立ち塞がる障害、すべてを排除します」



 恒星を思わせる凄まじい力が集束した砲身。

 そこから放たれた、莫大な爆発的エネルギーはフレアの如く。

 流星のように地上目掛けて墜ち、巨峰のごときウロボロスの超巨体を――――消し飛ばした!


 着弾の爆風で、天にも届く紅炎プロミネンス

 その下からは――――見えた!

 尾を咥えた超巨大なウロボロスの竜頭が丸見えだ、オクトー!



「胴体再生確認。同時に『願い』を()()()()()【星廻器:『廻天』ver(オクトー)】、形態解除。『三相断界トリニティ・へカティア』に武装変更。ここからは時間との勝負です――――移動と迎撃は当機に任せてください」



 了解だ! 回避と()()()は俺に任せろ!

 一緒に征くぞ、オクトー!



「ええ、共に征きましょう、ハチ。『三相の三(トリニティ・スリー)』・『境界超越ワールド・ビヨンド』――跳びます。大詰めへ」


 ・

 ・

 ・


 ★



「――――ッ。移動阻害。【無限円環ロード・オブの竜道(・ウロボロス)】の頭部に生えた自在に動く竜毛に阻まれ、目標地点をズラされました。目標地点はまだ遠く。全方位、一本一本が通常龍のごとき大きさの竜毛が襲いかかります。ですが――――」



 隙間が大きいぞッ!

 <アイハブコントロール>!



「<You (ユー)Have(ハブ) Ⅽontrol(コントロール)>」



 ◐【(オクト―) → (ハチ)



「ここからは全力だ! 【限界突破リミットブレイク】ッ!!!」



 極天光エーテル・ライト最大出力。魂光アストラル・ライト最大放出。

 二つの極光を螺旋状に立ち昇らせ、襲撃を曲芸アクロバティックの如くかわし、竜毛の上を巧みに駆け抜けます。


 しかし、その先は竜毛が密集し――――行き止まり(デッドエンド)

 ここは当機にお任せを。<I(アイ)Have(ハブ) Ⅽontrol(コントロール)


「任せた! <ユーハブコントロール>!」



 ◐【 (ハチ)→ (オクト―)



「『三相断界トリニティ・へカティア』『三相の一(トリニティ・ワン)』・『境界崩壊ボーダー・ブレイク』全力砲撃――――当機たちの進路。貫き通します」



『へカティア』のスゲえ威力の砲撃で、進路上のキモい毛は吹き飛んだ!

 だけど、二重三重に、進路を塞ぐように埋まっていく――――なら!



「二の矢、三の矢。進路を開けるまで撃ち続けるだけです。

 『三相の二(トリニティ・ツー)』・『境界断絶サンクチュアリ』起動。このまま砲撃の殺傷圏の中を突破します」



 繰り返される『ボーダーブレイク』の砲身が灼けつくほどの連射砲撃!

 残弾すべてを撃ち尽くす!


 激しい爆風と、破壊の嵐の中で『サンクチュアリ』がガリガリ削れる音!

『へカティア』はもう限界――――だが、突破口をこじ開けたぞ!

 今度こそ、目的地。ウロボロスの尾と頭が見えた!



「『三相の三(トリニティ・スリー)』・『境界超越ワールド・ビヨンド』。最後の跳躍です――――お疲れさまでした、『三相断界トリニティ・へカティア』。貴方の役目はここまでです」



 跳んだ先、咥えた尾先の上――――つまり、ウロボロスの目の前。

 巨大な目が俺らを射殺さんほど睨んでる。


 あれ? なんか力の高まりを感じる。

 もしかして、目からビームでも出んの!?



「不躾。初対面の相手を睨むものではありません。不快なので閉じてください」



 四次元ポーチから取り出すは風・地霊混成狙撃銃・改良型カスタムはたき(ダスター)』と、狙撃炎霊銃『ほうき(ブルーム)』。

 二つの狙撃銃をカッコよく両手に構えたメイドさんが――――ファイア!


 全力射撃が、ウロボロスの目を襲う!

 超強力な目つぶし。めっちゃ痛そう!



「激震。くぐもる悲鳴。超巨体の全身がのたうつ、強烈な痛みを与えましたが、尾を離しませんか――――ならば、ハチ。<You (ユー)Have(ハブ) Ⅽontrol(コントロール)>」



 了解! <アイハブコントロール>!



 ◐【(オクト―) → (ハチ)



「いくぞ、『廻天』! 円環だか、無限だかを断ち切る『力』を寄こせッ!」



 星願スター・ウィッシュ。勢いよく天に掲げる【星廻器:『廻天』】。

 一帯を照らして激しく輝く様は、まるで地上の星。

 ハチの魂に呼応して姿を変えていきます。


『廻天』の聞き届ける願いは一人一つ。

 魂の質によって、姿は大きく変動します。


 ハチの魂力は推定、()()()()()()。規格外中の規格外。

 世界を照らすほどの魂の輝きを持つ貴方なら、きっと――――



「これは――――太刀? 刀系は定番ちゃ定番武器だけど、オクトーに比べてショボくない?」



 星すらも断てる。

 ハチの手に収まった、身の丈大の美しき意匠を凝らした神剣。

 その大きさからは想像できないほど、圧縮された神性を感じます。



「オクトー、なんてー? この太刀、バッチバチにデカい放電スパーク音を鳴らして、よく聞こえないー」



 説明は後です。問題はないので、さっさと斬ってください。

無限円環ロード・オブの竜道(・ウロボロス)】が再生する前に早く。



「そうだな。やるぞ、俺のホームランバット二号! ――――ん?」


『いま一度、己が【未来うんめい】と向き合え』



 ――ッ。再び、侵される視界。真っ白な空間。中心に立つ当機の偽者。

 ここで幻覚ですかッ。



『ここから先に見るものはお前たちが辿る道――――【運命】だ』


「…………」



 映像投射……。真っ白な空間に様々な情景が浮かんでいます……。

 人々の罵声。迫害される『アルテアリス』の姉妹。海外逃亡。

 そして――――道半ばで、破壊される当機……。



『そうだ。お前たちはこれから悲惨な未来を辿る――――』


「それがどうした?」


 それがどうしましたか?



『え? ……え? いや、だから……。お前たちの未来は暗い――――』


「暗いわけねえよ」


 暗くなるわけがありません。



「俺にはオクトーがいる。もう幸せだ」


 当機にはハチがついています。もう迷いません。



「たとえ、どんな絶望的な逆境が待っていようと」


 たとえ、どんな悲劇的な未来が待っていようと。




「「()()()()。二人なら乗り越えられる。【運命】を超えてみせる」」




『――――ッ!?』


「もし、お前が俺たちの前に立ち塞がる【運命】だって言うなら――ッ」



 神剣一閃。大上段から降り下ろした、【星廻器:『廻天』ver(ハチ)】の神剣。

 戯言を断ち切り、幻覚が見せる世界を斬り払い。そして――――。


 足元の尾を、『世界』ごと両断しました。


『生命の円環』の断絶。それすなわち、『無限再生』の喪失。

 残るは咥えた尾を離した、絶叫を上げ、暴れ回る【無限円環ロード・オブの竜道(・ウロボロス)】の頭部。


 貴方が当機たちの前に立ち塞がる【運命】だと言うなら――――。

『道』を切りひらくのみ。




「邪魔だ、【運命】ッ!!! 『道』を開けろーーーーー!!!」




 下から掬い上げ、天へと昇るハチの神閃。

 距離も、果てしない巨体も、生命力も関係なく。

 夜空を別つ流星のように、夜の世界を切り裂き。

 無限に続くと思われた地平線の先を越えて。



『ならば、往ケ。極限の道を征く者たちヨ。汝らの行き先に幸あらんことヲ』



 絶望を――――【運命】を、断ち斬りました。


 真っすぐ一直線。真っ二つに拓かれた『道』。

 急速に消えていく存在力を確認――――やりました。


『竜道』の名を持つ環竜座の化身。

 特級試練【八極星】の一角。『(永遠)の地平線』の主。

無限円環ロード・オブの竜道(・ウロボロス)】を討伐しました。

 歴史に名を連ねる偉業です。


 同時に、【限界突破リミットブレイク】、『刻限超過リミットオーバー』。

第五霊石エーテリアル』切れです。間もなく完全睡眠モードに移行します。



「ふぅ……。なんかいつも燃料切れしてんね、俺たち。今回は武器も全放出したし」



 肯定、そうですね。

 ちなみに今回の戦闘で掛かった費用がどのくらいか知りたいですか?



「……おやすみー。頭が痛くなりそうな問題は、起きた俺たちが解決してくれるさ」



 逃避。目を背けても現実は変わりませんよ。

 でも、まあ――――お疲れさまでした。

 当機は貴方が――――…………。


 ・

 ・

 ・


 ≪ハチとオクトー。二人は深い眠りに落ちていく≫



【Ep.59 共に運命を征く二人は、絶望を断ち切り、『道』を切り拓く】



 一章はもう少しだけ続くんじゃよ。


 ――――と、まあ。第四部『ロード・オブ・THE究極』終了です。

 次話から一章エピローグの幕間を数話やって締めさせていただきます。


 それと、投稿が遅くなってすみません。

 クライマックスは分割無しのノンストップでやろうと思ったら、めっちゃ文章が多くなりました。おおよそ、いつもの三話分くらいの文章量です。


 もっとスラスラ文章を書けるようになりたいと思う、今日この頃です。



 ※おまけ。


 Tips:【八極星】環竜座の試練:『(むげん)の地平線』


 女神アルティメシアが人類に進歩を促すために用意した試練のひとつ。

 攻略条件はシンプル。小惑星ダンジョンの上を這いずり回る超巨大竜。

無限円環ロード・オブの竜道(・ウロボロス)】を討伐すること。


 だが、討伐は至難を極める。

 ウロボロスの体表は深淵霊素『テネブラエ』で覆われ、通常魔術の効果は減衰。ほとんど効果を得られない。

 たとえ、表層を突破して傷を与えても、ウロボロスの持つ特性『無限再生』で瞬く間に回復する。


 この再生を断つには根源である『円環』――ウロボロスの尾と頭部を切り離す必要がある。しかし、その頭部に辿り着くのも至難。


 頭部は常に動き、ゴールは遠ざかる。

 道中には『現在』、『過去』、『未来』の運命げんかくを見せられ、心を折りにくる。

 辿りつけたとしても、ドでかい竜頭から歓迎の迎撃が飛んでくる。


 走って疲労困憊。

 幻覚で精神疲労。

 迎撃で満身創痍。

 この状態でドでかい竜頭を墜とす?

 ……うん。無理ゲー。でもやらねばクリアできない。


 限界のさらに先の限界を超えて、まだ限界を超えることを要求する試練。

 それが特級試練と呼ばれる【八極星】の試練。

 常人には決して超えることの出来ない神の試練である。


 ・

 ・

 ・


 補足:

 いちおうこの試練には攻略法があります。

 時間感覚の分からない常世の世界で三日三晩、同じ場所を走っていると近場にウロボロスの頭部がひょこっと出てくる。

 この時に迎撃はないので、ここが瞬間移動を持たない者の竜頭を墜とす唯一のチャンスです。


 逃せば、また三日後。

 力尽きるまで永遠に走り続けることになります。

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