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Ep.50 納得いきません


(――――経験値換算中。『ギガンティック・ヒュドラー』の魂力レベルを表すなら、おおよそ100です。魂力が大きく劣る者。たとえば魂力10以下の者が、これを単独ソロ討伐すれば、討伐対象魂力の一割。魂力10相当の経験値が入手できます。同行者の殿下に配分されたとしても、戦闘に参加してませんから獲得経験値には大した影響は出ないはずです)


 あのドでかい池ヘビでレベル100なのか……。

 もっとあると思ってた。


(固定観念。器が大きいから相応に中身が伴うとは限りませんよ。見た目は脅威の判断材料になりえませんから)


 なるほどなー。――――ん?

 そういえば、前に倒したゴブ王はなんレべなんだ?


(検索――――でました。二日前に倒したF級の『深淵ダンジョンの王』エースゴブリンは、『ライブラリ』の情報だとおおよそ500ですね)


 池ヘビの五倍マジか……。

 よく俺たち勝てたな。


(同感。当時に感じた当機の絶望を共感出来てなによりです)


 ……待って。

 気づいたんだけど……サンシーロちゃんのレベルっていくつだっけ?


(回答。1123です。つけ加えるなら、お嬢様がその気になれば、装備と魔術なし。素手でエースゴブリンを一方的にボコせます)


 マジですか……。

 あのニートお嬢様って、そんなに凄いのか……。


(当然。お嬢様は七大名家の始祖。異世界人・勇者サンシーロの再来と言われるお方ですから)


 勇者サンシーロ? サンシーロちゃんと同じ名前なんだ。


(肯定。その通り、お嬢様は生まれた時から凄まじい魂をお持ちでした。その期待から始祖であるサンシーロ=ヤマモトゥの名をいただいて、サンシーロと名付けられたのです)


 サンシーロ=ヤマモトゥ……。なんか語感が日本人っぽい。

 ねえ、それって山本 三四郎じゃない?


(不明。それについての記録はありませんが、勇者サンシーロは『ヒノモト』という異世界から来たと伝わっています)


 日本ひのもとじゃん。

 じゃあ、山本 三四郎だ。日本人異世界にお邪魔しすぎ問題。


 ってことは、サンシーロちゃんも三四郎お嬢様?――ぶふっ。

 ~~~ッ。語感からドレスに巻き毛のおっさんを想像しちゃったよ。


 やべえ、もうサンシーロちゃんが三四郎さんにしか思えない。

 今度、サンシーロちゃんに会った時に笑わずにいられるかな。


(無礼。当機たちに自分の収納袋を託してくれたお嬢様に対して失礼ですよ、ハチ)


 ごめんごめん。あまりにも想像がおかしくて――――ん?

 収納袋を託して? あれって配信機材以外なんか入ってんのか?


(肯定。あの中には勇者サンシーロ由来の()()()()。上級星滅装備――――)


「ねえ、オクトーお姉ちゃん。さっきから黙ってどうしたの? 第五霊石エーテリアル切れ?」


「(――――と、話が逸れました)。大丈夫。心配には及びません、殿下。少し思索にふけっておりました。」


「それは良かった!――――ところで、手に持ってる魂力を計る鑑定機スキャナーを使うんじゃないの?」


「肯定。そうですね。それでは申し訳ありません。いまから当機の魂力鑑定を計るので測定範囲外まで離れてください」


「わかった」


「感謝。では、当機の測定を開始します」



 緊張の瞬間。ドキドキが伝わってくる。

 オクトーが言った通りなら10レベル上がるはず。

 スキャナーを胸に当てて、気になる結果は――――ッ!


 0.21!

 え、0.21? 元々が0.2レべだったよね。

 0.01しか上がってない……このスキャナー、欠陥品じゃね?



「……失礼。殿下を計らせて頂いてもよろしいでしょうか」


「え? いいけど。ちなみにここにくる前の魂力は9だったよ」



 ピッ。結果は――――12。

 3上がってますね。キリアくんに経験値が全部いったわけでもなさそう。

 てことは、正常作動してるのか。



「わあ、三つも上がった! オクトーお姉ちゃんの後ろにいただけなのに――――て、オクトーお姉ちゃん。なんか、そこはかとなく渋い顔してない?」


「無問題。お気になさらず」



 オクトーさん。

「納得いきません」って感情がありありと伝わってきます。


 まあ、メインで戦闘した自分よりも、なにもしてないキリアくんの方がレベル上がったら不満も出るか。


「もしかして、思うように魂力が上がらなかったの? でも、仕方ないくない? あれだけ凄い魂を持っていたら、そうそう魂力は上がらないって」


「……肯定」


 ごめん、キリアくん。それ、俺。

 オクトーさんのレベルはほとんど上がってないの。


 ――――ん? そういえば、まだ俺のレベルは計ったことないな。

 いくらくらいあんだろ?


「もっと自信を持てばいいのに。オクトーお姉ちゃんは世界で初めて魂をもつ魔導人形なんでしょ」


「肯定と否定。ですが当機はまだ……」


「納得してなさそうだね。まだ高みを目指したいって顔だ。だったらさ――」



 おや? キリアくん、なんか得意気な顔してる。



「この後、王家ぼくたちが貸し切りにしてA級ダンジョンに行かない? 招待するよ」



 次回、一章の最後を飾る舞台。『A級』ダンジョンに突入。


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