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Ep.5 運命に抗い叫べ 【それでも】!!!



『え? なにいまの声?』


『どこから聞こえた?』


『たしか、こちらから…………』



 ようやくこっちを見たな外道ども。

 もう一度言ってやるから耳をかっぽじってよく聞きやがれ。



「どう生きて、どう死ぬかなんて俺が決めることなんだよ! お前らが俺の運命を勝手に語ってんじゃねえ! 決めてんじゃねえ!」



 言ってやった――――言ってやったぞ!

 ふぅ~……。言いたいこと言えて少しスッキリ――――あれ?

 いま、俺どうやってしゃべった? さっきまで話せなかったよね?



『しゃべ、った……? 今この魂から声がしたわ!?』


『うそぉ……うつわもないのにどうやって……』


『ありえない………………キモ』



 おいコラ、ロン毛。キモはやめろキモは。

 そのチクチク言葉は先生に言うなって教わらなかったのか。



「キメェのはてめえだクソロン毛」


『は? いまなんて言った?』



 あ、本音でちゃった。

 チクチク言葉つかっちゃったよ。

 ロン毛、めっちゃにらんでんじゃん。


 …………ま。出たもんは仕方ない。このまま言いたいこと言おうか。



「なんだ耳が遠くなるお年頃か? 聞こえなかったんなら、もう一度言ってやるよ。どこかのありえねえミスをするマヌケとちがって、俺は優しいからな。いいか、よく聞けよ――――キモい・クソロン毛・くたばりやがれ!」


『最後のは言ってなかったでしょ』



 サービスだよ、ロリ。

 ただいま暴言の三十パーセント増量キャンペーン中だ。



『たかが世界を廻す潤滑油たましいの分際で私を虚仮こけにしますか――――滅ぼしてやろうか』



 Y A B E☆ 怒らせちゃった。

 クソロン毛のロン毛が怒りのオーラ出してんじゃん。怒髪天をいてんじゃん。

 だけどな――――脅しが安いぞ?


 こちとら、さっきまでの会話を聞いてんだよ。



「ハッ、やれるもんならやってみろ」


『なに?』


「それができるなら転生ソウル・ロンダリングなんて面倒な手段選ばねえよなぁ?」


『ぐっ、この……ッ!』



 お、くやしそうな顔いただきました。

 お前が下っぱなのはさっきの会話でわかってんだ。

 そんなお前が先輩っぽい二人に見られながら勝手な真似できねえだろ。


 ていうか、こちとら病気で何度も生と死の境界線を反復横跳びして死の気配に敏感なんだ。そんな死を感じさせない中身スカスカの恫喝なんかで怯えるもんか。



「ほらほら~。やれるもんならやってみろ~。できるもんならな、ぷぷっ!」



 今のうちに煽れるだけ煽ってやろ。



「お前って、なにができんの? 俺を蘇らせることは?」


『…………できない』


「うわ、無能すぎ」


『調子に乗って……ッ。貴様だって、なにもできないくせに……ッ』


「なんですかー? 声が小さいよー? もっと大きな声でお願いー」


『貴様だって手も足も出ないだろうが!』


「そうだな。手も足もないもん」


『フっ。だろう? なら――――』



「でもな――――()()()()()



 八神 八幡のモットーその①。

【相手(やまい)の嫌がることを見極め、徹底的にやれ】


 すこしお騒がせしますよ。

 すぅーーー………………。



「だれかーーーーー!!! 助けてくださーーーーーい!!!」


『ッ!?』


『うるさっ!?』


『ちょ、これまずいよ!?』



 てめえらミスがバレるの嫌がってたよなあ!

 他の誰かに気づかれるまで叫んでやる。


 天よ。地よ。よくわかんない場所よ。俺の声で震えやがれ!



「ロン毛・ガキ・ロリの三名が悪いことをしていまーーーす!!!

 罪なきおれをいじめてまーーーーーす!!!」


『おい、黙れ!』


「いやでーーーーーす!!!」


『これは本格的にヤバい――――カンディーネ! はやく()()()!』


『…………ッ。わかった!』



 カンディーネ? ロリの名かな?

 あれ? なんか俺の周り光ってね?

 というか送る? どこに――――まさか!?



『生命の担当するカンディーネが宣告します。

 これから貴方を【星廻魔導世界:アルティメシア】に送り、そこで古い人形に宿らせます。そして、ひと月の命を過ごしたのち【必ず滅びる】でしょう』


「却下! 代わりにチートでイケメンのモテモテ異世界生活を提案する!」


『代案が厚かましすぎるよ……。――おほん。すでに決定は下されました。これを覆すことはできません。貴方にできることは、すみやかに輪廻に還ることだけです』



 ぐっ、このロリめ……ッ。

 なんか神さまっぽい雰囲気出しやがって……ッ。

 それに、いま俺に降り注いだ光はなんだ?――――って、どんどん下に吸い込まれる!?



『たしかに早いほうがいいね。じゃあ僕も。

 ――続けて栄光を担当するディアドラゴが告げる。

 君に決して栄華は訪れない。常に貧し、金銭は身につかない。

 【極貧】の生活が日常になる――それが嫌ならさっさと死んでね♪』



 またピカッっと光った?

 こいつらさっきから一体なにを――ッ。というか、もう体(?)が半分も下に消えたぞ!



『では私も――最後に運命を担当するディスティアが通告する。

 貴様が生存する間、常に【不幸】が襲い続ける。この運命は不可避である。――せいぜい短い生を苦しみ抜け』



 さっきからゴチャゴチャ、ピカピカ――――うっとうしい!



「たとえお前らが俺の不幸を望もうがなぁッ!」



 一度はくそったれなやまいにも打ち勝った。理不尽な運命をねじ伏せてきた。

 だったら今度も同じことをするだけだ。


 だから、世界に、運命に、すべてにッ! あらがう言葉を――叫び吠えろッ!



()()()()ッ!!!

 幸せな人生をこの手で掴み取ってやる! 絶対にだ!!!」



 あ……、意識が暗い海に落ちていく――――




 異分子の魂力増加中…………脅威度測定――――エラー。測定失敗。


 許容限界以上の脅威に変貌する可能性あり。

 異分子の排除を強く要請します。


 ■


 本日はここまで。

 次回更新は12/7の7:30です。


 カクヨムで先行公開してますので、先が気になる方はそちらにお越しください!


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