Ep.47 王子攻略ルートが発生しました
すげぇ、かっこよ……。
四次元ポーチから取り出した手のひらサイズの『結晶』。それをオクトーが掴んだと思ったら、SFファンタジー的な大砲に変化した。
エンジンのように唸りをあげる稼働音。
周囲一帯に危険な音を撒き散らす放電音。
オクトーを中心に高速回転するいくつもの幾何学模様。
鉄のような結晶のような、星のように煌めく不思議な素材で覆われ、身の丈をゆうに超える長い砲身。
砲身の周りを回転しながら浮かぶ、二つの円筒。
三つの砲身が連なる大迫力の存在感。
緻密かつ洗練された兵器のデザインは、異世界技術の集大成を思わせる。
その超重量物体を細腕二本で構えるオクトー。
巨大武器とメイドさんの組み合わせ。すげえ映える。
「男ってこういうのが好きなんでしょ?」要素がマシマシに盛り込まれてら。
ところでオクトーさん。その星滅装備ってやつ、重くないの?
(無問題。無重量の『魔法』が起動してるので重さは感じません)
ほーん。異世界の魔法は便利なのがある――って。
オクトー、ヤバい。口を閉じてなにかを溜めてる風な池ヘビから危険な気配を感じる。
「危険予測。『ギガンティック・ヒュドラー』の頭部から毒性反応検出。お得意の攻撃手段、神殺毒の散布をするものと予想しますが、無駄です――――殿下、十二号を連れて当機の後ろに。離れずしっかりくっついてください」
「う、うん」
「大丈夫。心配なさらずとも、必ず当機がお護りいたします」
「――――ッ」
あ、ニコポ。
自然に出たオクトーの微笑みにキリアくんやられたっぽい。
――――と、そんなこと気にしてる場合じゃない。
オクトーを中心にした円状の光があふれだした。
同時に池ヘビがドス黒い霧を吐き出したーーー!?
<SYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!>
「『三相断界』、三相の二【境界断絶】起動――――許可なき者の立ち入りを禁止します」
これバリア!?
俺たちの周りに張られた光の膜に黒い霧が弾かれてる!
うわぁ……。霧が触れた木や地面がドロドロに溶けてるよ。
あんなもん人間がくらったらひとたまりもねえ……。
「迷惑千万。有害物質を撒き散らす公害生物にはご退場を願いましょう――――原初にして至高。根源霊素『星』を励起。安定起動作業。星唱を開始します」
せいしょう?
「≪『地』は黙してすべてを抱き≫
≪『水』は記憶を映して巡り≫
≪『火』は情熱を灯として解き放ち≫
≪『風』は名もなき願いを『夜』へ運び≫
≪『天』はそれらを『星』として受け取る≫」
綺麗な歌……いや、呪文か?
朗々と美声で謳われるオクトーの歌。
歌に反応するように大砲から色とりどりの光が立ち昇ってる……。
「≪やがて、すべては一つに辿り着く≫――――『魔法』【全なる一】起動。第一から第五の霊石。相反する属性を繋げた『星』。すべてを砲身内の『夜』、【虚弾】に装填。次元アンカー固定。耐衝撃・防眩術式展開。――――準備完了」
なんかヤバそうな気配……ッ。キリアくんも息を呑んでる。
これがどのくらい凄いモンかは知らねえが、オクトー――――やっちまえ!
「了解。『三相断界』、三相の一。霊素の境界を壊す砲撃。【境界崩壊】――――やっちまいます」
発光する三つの砲身から危険な音がぐんぐん高まって、臨界に達し――撃った。
色とりどりに光る砲身から出たとは思えない漆黒の球弾が、凄まじい速さで目を見開く池ヘビに迫って――――圧縮解放!?
着弾と同時に大爆発して、色彩豊かな光が池ヘビを呑み込んだ。すんげぇ威力。
天を貫く光の柱が、池ヘビの巨体と一帯を消し飛ばして――こっちに来てない?
ねえ、オクトーさん。アレ、こっちに来てない?
触れる物すべてを消滅させる光の津波が押し寄せて来てるんですけど!?
「イクシーヴァの人形、あぶない!」
「心配無用。ギリギリ効果圏外です」
あ、オクトーに迫る直前で霧散した。
混ざり合った色が紐解かれて、花ビラのように散って消えていく。
ボスを倒し、汚染されたダンジョンの中に咲いた、黄・青・赤・緑・紫・白・黒。極彩色の光。
地上は毒霧の影響で悲惨なことになってるけど、空を見上げれば広がる幻想的な光景――――ファンタジーだぁ……。
この圧巻の景色に、あのクソ生意気だったキリアくんすらも目を奪われて――――うん?
キリアくん……。景色じゃなくて、オクトー見てない?
「殲滅確認。戦闘終了。殿下、お怪我はありませんか?(にこ)」
んんん? キリアくん、目を見開いて固まった?
★(ピコン)第二王子攻略ルートが発生しました。
Tips:八十八星座の化身
星廻魔導世界アルティメシアに存在する、と《《言われる》》88カ所のダンジョン。
その最奥で待ち構えるボス。それが『八十八星座の化身』です。
通称で『星の化身』とも言われています。
その名が示す通り、星廻の夜空に輝く星座が具現化した姿で――――
女神アルティメシアの《《眷属》》です。
今回現れた、高層ビルのごとく巨大な『九頭竜』はダンジョン発生当初――大昔にはそこまで大きくはありませんでした。
時代を経るごとに、人類が進歩していくごとに。ダンジョンも、星の化身も変化していったのです。凶悪に、強大に。
ダンジョンの存在理由。
アルティメシアの試練。
88が示す意味。
語りたいことは沢山ありますが割愛。
今後の展開で明かせればな、と思います。
これからも『エイティエイト』をよろしくお願いします。




