Ep.46 星滅装備『三相断界』
固体名識別開始。【ライブラリ】からの回答きました。
対象は『八十八星座の化身の一つ:神殺毒九頭竜』
巨人のごとき体躯と、九つに分かれた頭部を持つドラゴン。
この『クリスタル・レイク』の主にして、母なる星から別たれた星の化身と呼ばれる星霊。女神アルティメシア様が人類に与えた試練の一つ。
通称を『ギガンティック・ヒュドラー』と呼ばれています。
「なにこの大怪獣……。デカすぎんだろ……」
肯定。湖面から突き出た九つの頭部の一つ一つが高層ビルのごとく。
そして、開いた口腔は同ビル丸呑みできるほど大きいです。
「あ、これヤバ」
危険予測。『ギガンティック・ヒュドラー』の巨大な九頭すべての口腔に膨大な無色魂光の集束を確認。『竜の一撃』が来ます――――ハチ!
「わかってる! ――――いくぞ、クソ殿下!」
「え? ――――ぐふ!?」
殿下確保。同時に【限界突破】を発動。
急加速の確保により、殿下から変な声が漏れます。
乱暴になりますがご容赦ください。
追随する十二号と共に全力退避を開始。
護衛の皆様が後方で全霊の結界を張っています。
ですが、これは――――
「オクトー殿、殿下を頼みます! 安全な場所へ!!!」
「――――ッ!」
暴威咆哮。普く全てを破壊する奔流――『竜の一撃』放たれました。
九頭から発射された高圧縮魂光の光線は――――
護衛の皆様を結界ごと消し飛ばし。
わずかに逸らした光線がダンジョン内を蹂躙し。
自然を破壊して、大地をめくり上げ、そして――――
出口に続く道。退路を断ちました。
前方。大地に刻まれた深い傷跡。
『竜の一撃』は当機たちの前に断崖を作り上げました。
跳躍するには向こう岸が遠く、落下は必至。
回り込むにしても崖の果ては遠く、追いつかれると予想。
リスポーンした護衛の皆様からの救援は、諸々に事情により不可能。
ならば。
「戦うしかないか」
「なッ!?」
【限界突破】『刻限超過』。第五霊石節約のため解除しました。
当機はハチに賛成します。それ以外に道はありません。
幸いにも当機たちには――――
「なに言ってんだよ! 無理に決まってるじゃないか!」
「あん?」
「僕の護衛――精鋭五つ星魔導士がなにも出来ずにやられちゃったんだぞ! 旧式のお前がどうにかできる訳ない!」
「…………」
「それより逃げよう! あっちの崖の端までいけばなんとかなるって! 遠いけどあんな怪物を相手にするより、よっぽど――――」
「いいか。よく聞け、クソ殿下」
前屈。目線を殿下に合わせました。
「人生にはな、困難と戦わなきゃいけない時がある――今がその時だ」
「…………ッ」
「無理でも、怖くても、逃げたくても、自分を奮い立たせて戦う。それができない奴に待ってるのは『死』だ」
「死……ッ。――で、でも。戦うって言ってもあんな怪物に勝てるわけがないッ」
「でも、じゃねえ。それでもだ」
「それでも……?」
「よく覚えとけ。逆境を否定して勇気をくれる言葉だ。
無理、怖い、逃げたい――――それでも。
あの大怪獣に立ち向かい勝つ。自分なら絶対できる。
そう信じさせてくれる魔法の言葉だ!」
存在力急上昇。拳を握り、熱く語り、眩いほど輝くハチの魂。
殿下の目に反射で映るその輝きは、希望の光が灯ったように見えます。
――――警戒。『ギガンティック・ヒュドラー』、『竜の一撃』を放った反動から復帰。行動を開始しました。
湖面から陸に上がります。
「池ヘビもヤル気のようだ。じゃあ、クソ殿下よく見とけよ」
「う、うん……」
「困難に打ち勝つ。俺たちの生き様を!
――――<ユーハブコントロール>!」
了解。<I Have Ⅽontrol>
◐【8 → ∞】
トリアさんから借りた『切り札』のお披露目だ!
盛大に、派手にいこうぜ!
「収納引出。魔法展開。三相の一。『境界崩壊』起動。内蔵全霊石活性開始・最大強化―――星滅装備『三相断界』展開完了」
うわぁ……でっけえ大砲……ッ。
「トリア姉様の名を刻んだ星の化身を滅する星砲――――とくとご覧ください」




