Ep4 そりゃあ、キレる
女神さま、お前もなのか!!!
この世に救いの神はいないのか!
ってゆーか、こいつら本当に神さまか?
悪魔って言われたほうがしっくりくるんですけど!
『非生命体に転生? そんなこと出来るのですか?』
はっ!? そうだ、そうだ! ロン毛の言う通りだ。
命がないから非生命なわけで、そんなことが出来る訳が――――
『出来るわ!』
出来るんだ!?
このロリ女神(疑)、自信満々に断言した!?
『大事にされた道具には魂が宿るの。それは私たちが見向きもしない程の微量、意思をもたない、【世界】に影響を与えないもの。自然と消えていくものだけど、確かに存在するのよ』
『ん~? つまり、魂が宿りそうな道具にコレをつめ込んで、器の道具が壊れたと同時に回収すればいいってことかな?』
こっち指さしてんじゃねぇよ、ガキ。
その白魚のような指へし折るぞ。
『そう! これなら現地の生命に迷惑はかけない。魂を回収する時も器の【色】に染まってるはずだから前歴も消える。回収リストにはないけど非生命体の異常個体として処理されるからバレない。今回のミスも帳消しに出来ちゃう。誰も損をしないパーフェクトプランだわ!』
おいロリ、コラ。その完全犯罪は俺が損してんだよ。
『(こそっ)先輩、ちなみにそれをする為に必要な作業は?』
『(こそっ)めちゃくちゃめんどくさいよ。だから、こいつが絡んでくるの嫌なんだよねー』
『(こそっ)うわ。ありがた迷惑の権化みたいな方ですね。いますよね。誰も望んでないのに、はりきる方って。仕事なんて適当でいいのに』
そこ聞こえてんぞ。
適当にやんなよ。そのせいでおれがこんな目に遭ってんだぞ。
『そこ聞こえてるわよ! 私たちの命を回収する仕事は尊いものなの! 世界を正しく廻すための大事な作業なの! 労を惜しんでる場合じゃないでしょ!』
なんか世界の核心に触れる情報を聞いてる気がする……。
ていうか、労を惜しまないなら俺の待遇を良くする工程も入れて欲しいんですが。
『はぁ~。仕方がありません。めんどくさい事この上ないですが、この方に見つかった以上、他に選択肢はありませんか……』
おい、反省なしロン毛。めんどくさそうに作業に移ろうとしてんじゃねぇ。
テメェは自分のやらかした罪の重さを自覚しろ。
『そうだね~。ちゃっちゃと済ませちゃおう――――それでどこ【世界】にする? できれば管理が緩くて、荒廃しきった地獄のような世界だと作業がしやすいんだけど』
おい、ド畜生ガキ。テメェの都合で俺を地獄に送ろうとしてんじゃねぇ。
なに爽やかな笑顔で外道発言してんだ。
『そういうとこは駄目ね。魂が宿るほど道具が大事にされる事が少ないもの。あったとしても後生大事に保存されてることが多いから、器が壊れるのに時間が掛かっちゃう。逆に文明が発展して安定した世界の方は、大量生産・大量廃棄で物の流動が激しいの。魂を早く回収するならこっちがベストね!』
おい、なにが「ベストね!」だ。バカロリ。全然よくねぇよ。
俺の命で魂回収RTAはじめようとしてんじゃねえ。
『それで何処にしますか? 規律にうるさい人が管理する世界は勘弁ですよ』
『うーん。やっぱり魔法系の世界かなー。そこなら楽しさ優先で管理するヤツが多いから、うるさく言わないはずだよ』
『だったら私の友達が管理する世界でちょうどいいとこがあるよ!』
俺の行く末を気楽に語るこいつらになにを言っても無駄かもしれない。
『なになに【星廻魔導世界:アルティメシア】?』
『うわ。高度文明と野蛮思考が共生する世界じゃん』
『モノを大事にする感性と、それを享楽のために破壊できる感性が同居している人達の世界だよ! ここなら条件ぴったりだよね!』
魂《手足も出ない》状態で俺がこいつらになにかを伝えても無意味かもしれない。
『はじめはミスに焦りましたが、なんとかなりそうで良かったです。』
『この魂の持ち主には悪いことをしたけど、旧リストでは回収対象だったんだ。別にいいよね』
『うんうん。残念だけど、過ぎたことは仕方ないし、これも運命ってことだよ!』
どんな言葉も、この外道どもの心には届かない。
こいつらにとって俺なんて無価値な存在なんだろう。
だがな、そんな好き勝手言われて――――
「人の運命を勝手に語ってんじゃねーーーーーーーー!!!」
叫ばずにいられるかッ!!!
異分子の魂力増加中…………脅威度測定――――エラー。測定失敗。
許容限界以上の脅威に変貌する可能性あり。
異分子の排除を強く要請します。




