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Ep.31 炎は黄金を証明する

新年あけましておめでとうございます。

今年も『エイティエイト』をよろしくお願いします。


(いまさらだけど、この世界の人たちって髪色のバリエーションが豊かだよね。神様似のオクトーの虹色髪はともかく。サンシーロちゃんからしてアニメみたいな薄ピンクだし。道行く人みんな、カラフル髪だし。()()()()ヒナミちゃんの緋色髪も)


 回答。それは『魂』の色が関係しています。


(『魂』の色? 魂に色なんてついてんの?)


 肯定。正確には成長の過程。魔術を行使するするにつれて()()()()いきます。


(ほうほう)


 説明。本来の『魂』色は無色透明。生まれたばかりの赤子の髪色は黒や茶色など。これらは血統・固有・得意とする魔術を行使することで身体と魂に魔術の『色』が現れて変化し、二十歳を越えた段階でこの『色』は固定されます。


アクア』の魔術を行使すれば藍青系統。

エーテル』の魔術を行使すれば薄紅系統。

 そして、『イグニス』の魔術を行使すれば深緋系統の髪色になります。


 別名を『フレイムレッド』。燃え盛る火のような赤色を意味し、この髪色を持つ者は猛る炎のように気性が荒いものが多いです。


(なるほど。だから――――()()か)


 肯定。だから、()()です。



「てめぇらよく見ておけ! オレの喧嘩、生き様! ブッこんでいくぞ、オラァ!」


「「「「「おおおおおおおおお!」」」」」


「声が小せぇ! もっと気合入れろや!」


「「「「「おおおおおおおおおおおお!!!」」」」」



 当機たちを囲む族の集会――――改め、『炎は黄金を証明する(イグニス&オーラム)』社員一同。それをを号令一つで会社敷地内の一角にまとめる総長――――ではなく、代表取締役社長のご令嬢。ヒナミ=イグニス=ヴァンブレイク様。皆さま髪色が真っ赤ですね。とても血気盛んでらっしゃる


(ねえ。令嬢って、この世界じゃあ族のヘッドを表す隠語じゃないよね?)


 否定。心境は理解できますが、違います。

 いちおうヒナミ様は由緒ある七大名家のお嬢様です。


(俺、お嬢様ってもっとおしとやかだと思ってたよ)


 その考えは合ってます。

 七大名家以外のご令嬢はだいたい淑女ですね。


 補足。七大名家は戦いで名を上げた勇者の末裔で、高い戦闘能力を受け継いでます。ゆえに()()()()()()深淵ダンジョンの調査。未知の怪物との戦闘。国難への対処を「力を持つ者の義務」と己に課しており、日々を戦闘技術向上に費やしています。


 その過程で行動や言動が荒々しくなりますが――――『イグニス』の一族は別格です。

 育成環境に加え、情動を司る第二霊素『イグニス』の影響を一般人より受けやすいので激情家が多いのです。


(え? じゃあ、俺たちを取り囲んでる赤髪の社員たちもイグニスの一族ってやつなの?)


 否定。この方たちはヒナミ様のカリスマに惹かれる信者ファン――――舎弟です。

 この大部分はヒナミ様に憧れて髪を染めています。


 彼・彼女たちにとって、ヒナミ様は『イグニス&オーラム』のアイドル。

 染めた髪は『ヒナミ様推し』のトレードマーク。

 この集まりの熱狂は推しアイドルを間近で見れる喜びですね。


(族の集会じゃなくて、アイドルのゲリライベントだったか――――いまからでも、謝れば許してくれないかな?)


 非推奨。ヒナミ様は、敵意を向けておいて途中で許しを請う半端な覚悟の者。半端モンを嫌います。

 謝罪の言葉を口にした途端、当機たちが得られるのは赦しではなくヒナミ様の拳です。


(こわっ。予想以上に怖い子だな。謝るのをオクトーが止めてくれなかったら危なかった)


 手遅れ。殴りかかるのを止めるのがベストでした。

 ですが、こうなったら仕方ありません。ヒナミ様のルールに従い、()()が終わった後に話を聞いてもらいましょう。


(本当、余計なことしてごめん――――あ、準備が終わったみたい。)



「おい、オクトー。ウチ謹製の最新表面強化装甲ボディシールドの調子はどうだ」


 確認――――三重構造の表面強化装甲ボディシールド。問題ありません。


「大丈夫です」


「それは良かった――――これで遠慮なく殴れる」


「わー……凶悪な笑顔ー……」



 喜色満面。久々の大暴れできる機会にはしゃいでいますね。



「こっちの表面強化装甲ボディシールドも展開オッケーだ。だから、遠慮なくかかってこい。むしろ遠慮したらブン殴る」


「遠慮しなかったら?」


「その意気に応えてブン殴ってやるよ」


「殴られる未来しかないじゃん……」


「あん? オクトー、お前。いつもと感じがちがくないか?」


「ソ、ソンナコトナイデスヨー」


 虚偽反応検出。目を逸らさないでください。怪しさが増します。


「…………まっ、いいや。殴って確かめればいい」


「あのー……本当に殴り合うんですか?」


「おう。武器なし、魔術なし、おのが体一本で戦う素手喧嘩ステゴロのタイマン。三重構造の表面強化装甲ボディシールドを全部割った方の勝ちだ。シンプルだろ?」


「せめて話を聞いてくれません?」


「そんなもん。これが終わった後で聞いてやるよ」


「でもなー……」


「やる気が出ねえか? なら出させてやるよ――――オクトーが勝てば、今日売りにきたもんを通常の倍の金額で買い取ってやるよ」


「マジッ!?」



 周囲騒然。『イグニス&オーラム』の社員がヒナミ様の豪気な提案にざわめいています。ですが、これは――――


「ただし、オクトーが負ければゼロ。タダで貰う」


「なっ!?」


おれは有言実行。吐いた言葉をなかったことにはしねぇ。必ず履行する。必ずお前の宝は奪う。これが気に入らなかったら、やる気を出せ。己に勝ってみろ」


「無茶苦茶な……ッ」


「なにを持ってきたのか知らねぇが、価値があるものなら己から死ぬ気で守れよ」



 臨戦態勢。

 ヒナミ様から『魂』の輝き――炎のごとき『魂』の光が身体からあふれ出しました。



「『炎は黄金を証明する(イグニス&オーラム)』――――己の炎が、お前の宝の価値を鑑定してやるよ」



次回の更新は1/1の7:00予定です

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