Ep3 神は死んだ
もう一度言おう。なんでやねん。
失敗を隠すのは良くないと思うよ。
人間、自分の過ちを認めて反省することで成長するからね。常識だよ。
特に、迷惑をかけた相手には誠心誠意に謝って、『誠意』を見せるのが筋だからね。たとえば、被害者とかね。具体的に言えば、詫び転生はよ。
――てゆうか、こいつら人間じゃ無いか~。
超常存在さまに人さまの道理を説いても無駄か~。
はっはっはっはっはっ。
じゃあ仕方ない――って、ならないからなッ!?
いや、マジでなんでだよ!?
ごめんなさい。で許されるレベルじゃないぞ!?
前途有望な若者の未来を閉ざして、そのうえ詫びもなしに処分?
もしかしなくてもゴミ箱にポイか?
だれかー! だれか超常存在の警察呼んでくださーい!
俺を不法投棄しようとしてる人がいまーす! ヘーールプ!
『こっそり処分? それはダメだよー』
ナイス! 当たり前だもっと言ってやってくれ、美少年くん!
『最近は魂の管理は厳しくなってるから、やるなら来歴を洗浄してから処分しないとミスがバレちゃうよ。百年前なら、そのへん緩くてよかったんだけどねー』
『そうですね……すみません。減俸を避けたくて焦ってました』
ちがーーーう!
言ってくれ、と頼んだのは適切な処分方法じゃなくて、俺を助ける方法ですよー!
あと、人ひとりヤっておいて減俸で済むの!? もっと厳罰でいいと思うよ!?
『じゃあ、監査が雑な世界、過酷な地域の死にそうな赤ん坊の身体を奪って転生させよう。そして、死んだらすぐ回収だ。それと二人分の魂が同じ来歴になるから、それが気にならないくらい大量回収してるところがいいよ』
『わかりました。では【滅死滅殺終焉世界:暗黒大魔境ウル・インフェルノ】なんてどうでしょう。いい具合に荒廃してますよ。あそこなら管理も検査も甘いですし』
『いいねー。そこにしよう』
いいねー。そこにしよう――じゃねえ! なんだその殺意が高い名前の世界は!?
殺す気か!? ――――殺す気だった!
そこはやめろ。絶対やめろ。絶対だからな。絶対だぞ。フリじゃないからな!
しかも、赤ん坊の身体を奪うってなんだ。胸糞すぎるぞ!
――だれか助けて下さーーーい。
美男子と美少年が、俺に乱暴なこと(ガチ)しまーーーす。
だれか……だれか……救いを…………救いの神を呼んでください……マジで。
『そこの君たち。なにやってるの』
!?
『あ~……めんどくさいのに見つかちゃったよ』
『なにも……他所を担当するあなたに関係ないことです』
あの邪知暴虐な二人が慄いてる。
もしかして――――ッ。
『なにも、じゃないでしょう。聞いてたわよ。君たちがひどいことをしようとしていたのを!』
キターーーーーー!!!
女神さまだ! 救いの女神さまがキターーーーーー!!!
やたらとキンキラに光る金髪のロリ女神さまが救済にきてくれたーーーー!!!
『そんなことしてひどいと思わないの? 心が痛まないの? 悪いと思わないの?』
『う~ん。まあ……ちょっとは?』
『…………すみません』
うんうん。そうだ、そうだ。どんどん言ってやってください、女神さま。
できれば、詫び転生も良い条件でお願いします。
ハ、ハーレムは興味ないけどねっ!
あと美男子テメエ。なに不服そうにしてんだ。お前はマジで反省しろ。
『みんな生きてるんだよ。一生懸命生きてるんだよ。それを自分のミスを隠すためだけに利用するなんて……ッ。ひどすぎるよ!』
ああ、まあ……ひどいよな……本来いたはずの人の身体を奪うんだから。
俺は死にたくないけど、誰かの人生を奪いたいとは思わないぞ。
『たとえひどい世界の住人でも、新たに生まれる命には変わりないの。未来の可能性なんだよ。身勝手に強奪なんてしちゃいけないの。命に対する冒涜なんだよ』
うんうん。たしかに、ひどいよな――――うん?
それじゃあ俺はどうするの?
『そうだね……ごめん。僕たちが悪かったよ。命は大切にしないとね』
どの口がほざいてんだ、クソガキ。お前がしようとしたこと絶対忘れないからな。
『…………だったら、どうするというのです? 告発しますか?』
お前は安定の不服顔だな、クズロン毛。開きなおってんじゃねーよ。
『そこはちゃんと考えてるよ』
おー。さすが女神さま。
さ、さ。このふたりとは違うとこを見せてやって下さい!
『ようは命あるものに転生させるからいけないんだよ。やるなら非生命体に転生させなさい!』
神は死んだ!!!
以下の情報は本編に関係ない情報!
読み飛ばしても、問題ないよ。
【ル-ト分岐】
未来変更。女神の介入で新たな分岐が現れました。
・本来のルート。
【滅死滅殺終焉世界:暗黒大魔境ウル・インフェルノ】
魔王の八番目の息子として転生した八満は『エイト』と名付けられ、あれこれあって追放される。
その後、なんやかんやあって、父の魔王を涙ながらに打倒し、新たな魔王となる。
沢山の友人と、たった一人の親友。妻《《たち》》と沢山の子どもたち。
愛する家族や仲間と共に、終焉世界を救う物語になる――予定だった。
→・それ以外。
・アナザールート【???】
未来編纂中……エラー。
異分子による不確定要素が深刻なエラーを発生させました。
予測不能。異分子の排除を強く推奨します。




