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Ep.22 我こそアルティメシアである!


 邪知暴虐な神モドキの悪だくみで異世界に流された俺、八神 八満。

 ドキドキワクワクの異世界生活は初日から波乱に満ちていた。


 美少女メイドのオクトーと出会い(憑りつき)、ニートお嬢様の手引きでダンジョンに潜り、そこからなんやかんやあってダンジョンの王とか呼ばれるゴブ王を倒した。


 そこで生まれた俺とオクトーのドラマは映像化して公衆に流せば感涙必至、拍手喝采必至の一大スペクタクル巨編だ。


 美少女の危機を救う俺。

 まるで物語の主人公のような活躍に、我ながらよく頑張ったと褒めたいね。

 ノリと勢いで喋ってたから、なに言ったかよく覚えてないけどね。

 相手は人形? うっせえ、かわいいは正義だ。細かいことは気にすんな。


 このボーイミーツガール。

 俺が目指す青春に近づいてんじゃないの!と、心躍って、俺は思ったね――。



 あれ? これマッチポンプじゃね?



 Q:危険なダンジョンにいくきっかけは誰がつくりましたか?

 A:俺です。


 Q:ダンジョンの王が現れたのはなぜですか?

 A:俺にかけられた呪いのせいです。


 Q:では、誰がオクトーを危険な状況に陥れましたか。

 A:………………俺、かな?



 結論:ギルティ。

 おまえは安全圏にいた美少女メイド(人形)を危険な場所に連れ込み、危ない目に合わせました。

 ………………

 …………

 ……


 やべえええええええええええぇぇ!!!


 なにが、美少女を救う俺だよ!

 なにが、よく頑張ったと褒めたいね、だよ!!

 なにが、ボーイミーツガールなんだよ!!!


 全部、俺のせいじゃん!? 俺がきっかけ作ってんじゃん!?

 なにオクトー巻き込んでんだよ!

 

 しかも色々カッコつけて――――恥ずッ! 俺、恥ずかしッ!

 羞恥で火だるまになる!


 次、オクトーと話す時、どんな顔して話しかければいいんだよ!



『笑えばいいと思うぞ?』



 サイコパスか!

 被害者に笑って話しかけるなんて良心が無いにもほどが――あれ?


 あんた――――誰だ?

 そういえばこの場所もおかしい。一面の、星空?

 俺いま星空に浮かんでる?


 俺はゴブ王に勝って、それから――――どうなった?



『ようやっと意識が明瞭になったか。我を待たす不敬、特別にゆるそう』



 虹色の髪……星のように輝く目……奇跡が具現したような容姿……。

 オクトー…………?



『かかっ。我と人形を見間違えるか。それも特別に赦そう。我はいま機嫌がいい――――』



 ――――にしては、ちっこいな。

 オクトーに比べて出るとこ出てないし。全体的にロリ体型だ。



『ブッコロスぞ』



 あ、ヤベ。これ怒らしたらいけない系の存在だわ。

 プレッシャーやばい。危険信号バリバリだ。



『――――まあよい。我を直視して心が砕けぬ胆力。心を奪われぬ強き自我に免じて、その失言を赦そう』



 なんか聞き逃せない不穏なこと言ってんだけど……。

 あの~、質問いいですか?



『我の名か? よかろう、答えてやる。心して聞くがよい』



 いや、聞いてない――――いえ、どうぞどうぞ。

 あなたの名前知りたいです。知りたいから、にらまないで。

 めっちゃ怖いから。



『かっ。我こそは星廻魔導世界の主、アルティメシアである!』



 この世界の主!? ってことはまさか――――!



おそれを抱いたか? 良い、赦す。それは当然の反応――――』



「てめえ、あの神モドキどもの仲間かーーー!!!」



『おおう?』



 金髪ロリが言ってたお友達はお前のことか!



「てめえの仲間のせいで俺やオクトーが大変な目に遭ったんだぞ!」


『いや、その……』


「百歩譲って俺はいい。よくないけど、いい。だけど、オクトーに迷惑かけたのは許さん!」


『いや、だから……うぇ……』


「オクトーは自分の運命に絶望してる子だったんだぞ。そんな子になんて仕打ちしてんだよ! 上司がいるなら呼べ! ありったけのクレームを入れてやる――あれ?」


『うぇえええ……うわあああああああぁぁん!!!』



 泣いちゃった!?



『ひっく、そんなの知らないもん! 我はカンディーネから魂の受け入れを頼まれただけだもん! なにが起こったなんて知らなかったもん! うわあああぁん!』


「あの~……アルティメシア、さま?」


『なのに怒るなんてひどい……ひっく。そんなに()()上げて威圧するなんてひどすぎる……うぇえええええん!』


「ごめん、ごめんなさい! 俺が悪かったです! 非をすべて認めます! だから、オクトーに似た顔で泣くの勘弁してください! 罪悪感が半端ないです!」



 この幼女、メンタル弱すぎ!

 さっきまでの尊大な態度どこに行ったんだよ!



『ひっく。我、悪くない?』


「悪くないです!」


『悪いのはなんじ?』


「はい、そうです!」


「…………よかろう。赦す。我は寛大だからな……ズズ」



 ほっ、よかった。泣き止んでくれた。

 あ、アルティメシアさま鼻水垂れてます。

 ああ、なんか神聖そうな服でゴシゴシ拭かないで。汚れるから



『…………汝といい()()()()()といい。なぜ我を敬わん。なぜそこまで不敬を働ける? 我とても偉いのだぞ』


「さっき大泣きしてるから説得力がない――――って、泣かないで泣かないで! ところで、アマデウスって誰です!(秘技:話題逸らし)」


『ぐすっ。アマデウスか? 奴は一言で言えば狂人だ』


「狂人?」


『人形作りに執念を燃やす狂人だ。

 人に会えば、人をかたどる人形を創り

 動物に会えば、動物を象る人形を創り

 そして――――神に会えば、神を象る人形を創る』


「神に会えば……?」


『そうだ。汝がオクトーと呼ぶ人形もアマデウスの作品だ』



 え?



『汝は言ったな。我が人形に似ていると――――逆だ』


「…………逆?」



『我が人形に似ているのではない――――()()()に似ているのだ』







 徐々に明かされる『究極の芸術(アルテアリス)』の謎。


 ・

 ・

 ・

 それはともかく。

 尊大系メンタルよわよわ幼女の女神…………なんでこうなった?


次の更新は12/24の7:00です

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