Ep2 詫び転生はよ
はっ、ここはどこだ!? 俺はダレ!?
俺は八神 八満。十八歳。
友だち、親友、恋人、家族、大募集中。クソ親だけはノーサンキュー。
よし。場所はわかんないが、自己の確認は良し。
あれ? マジでなにやってたんだっけ? それに体が動かないぞ?
いや、動かないっていうか――――無くない?
……………………
………………
…………
……
はぁ!? なんで!?
足は? ――――なし!
手は? ――――なし!
胴体は? ――――なし!
顔は? ――――鏡がないからわかんない!
というか手足ない状態で顔だけあったらキモイよね。
――――って、なんでだよ!!!
ようやくクソ病を乗りこえた健康ボディだぞ!?
苦難困難に打ち勝つために鍛えあげたマッスルボディだぞ!?
いつか運命の人に出会っても恥ずかしくない純潔ボディなんだぞ!?
生まれてこのかた財産と呼べるのはそれだけなんだよッ。
どこいったのマイ・ボディ!? 帰っておいでマイ・ボディ!!
ていうか、なにこの事務所みたい空間?
というか、よく見たら閉じ込められてね?
なんなんだよ、この状況……。この透明な箱からだせーーーッ。
『困りましたね…………』
お。第一村人発見。村人というより公務員?
ビックリするほど美男子なのにスーツが似合ってないっすね。
あと、金髪なげー。
『どうしたのー? なにか失敗したのー?』
『ああ、先輩……実はアレなんですが…………』
今度はキラキラした栗毛パーマの美少年だ。
でも、背伸びした感じのスーツは似合わないっす。
ん? こっちを指さしてる? もしかして俺?
『あらら。もしかして、やっちゃったの』
『はい……確認不足で申し訳ありません』
『ちょっと、君の回収リスト見せて――――ふむふむ、あー。これはひどいね』
『ひどい、ですか?』
ほうほう。なにがひどいんだ。
『うん。これ千年前に予知されたリストで、百年前に更新された最新版にアップデートされてないよ。だから、回収する魂を間違えたんだよ』
千年とか百年とかスケールがでかいっすね――――って、ん?
『そうだったんですか……リストに載ってるのに回収したとたんエラーが出たから、おかしいと思ったんですよ』
おい、ちょっと待て。
話の流れ的にもしかして俺の話か。
ちがうと、ちがうと言ってくれッ。
なんでも――――は出来ないから、出来る限りのことはするよッ。
なんでもって言っちゃうとエッな展開になっちゃうからね。
『そこの間違えた魂どうしようかー』
『ええ。それを悩んでまして』
はい、俺でしたー。
はいはい。わかってたよ。わかってましたよ――コンチクショーがッ。
ふざけんなよッ。間違えたですむと思ってんのかッ。元に戻せーー!
――――ハッ! まてよ……。この展開、知ってるぞ……!?
入院中に隣室の山田くんに貸してもらったラノベに書いてあった……。
たしかこの後は――――
『こちらの手違いで、あの魂の持ち主には悪いことをしました』
そうそう。神様的なアレが自分のミスをソレするために――――
『そうだねー。これは非を認めるしかないねー。この後は決めてるんでしょ』
『はい』
やっぱり! これは詫び転生だ!
チートなスキルを貰って、ステータスがオープンする世界に送られるんだ。
それでなんやかんや追放されたあと、ざまぁしたり尊敬されたりするアレだ。
もしくは現代知識無双系か? 領地経営も捨てがたい。
でも、知識系は自信がないぞ。
それとも――――ま、まさかハーレムものか!?!?
お、お、お、俺は運命の人に一途になるって決めてるんだ。
べ、別に興味なんかないんだからね。
『あの魂は――――』
わくわく。わくわく。
『こっそり処分します』
なんでやねん。
Tips:
生前の八神 八満の趣味は、病魔に打ち勝つために始めた筋トレ――もとい肉体改造。
最終的に全盛期の某ターミネーター並みの筋肉を手に入れていた。




