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Ep.19 当機に任せてください『I Have Ⅽontrol』


 八式狙撃炎霊銃『ほうき(ブルーム)銃身冷却開始クールダウン

 これより五分間。『ブルーム』による射撃は不可。

 さきほど拝借したサブウェポンに切り替えてください。



「オッケー。射出アンカー、伸縮ブレード、青い手榴弾。準備万端だ」



 標的『深淵ダンジョンの王』の反応。第三層の横穴から急速接近中。

 視覚的接触までのカウント。3・2・1――――いま。


 赤い巨影捕捉。同時に標的から第三霊石イグナリウム反応増大を確認。

炎霊魔銃マギアバクルス』による連続射撃きます。



「ずいぶんとせっかちな王様だ――――なぁッ!」



 第四霊素フォースエレメントウェントゥス』の結晶。第四霊石ヴェントリウムを内蔵したブレードから風の刃を展開。

炎霊魔銃マギアバクルス』の熱線を――――切り払いました。


 …………切り払いました?

 いや、ハチはなんで当然のごとく音速で飛んでくる熱線を切れるのですか。

 見てからでは反応が間に合わないでしょうに。



「こんなもん、危なそうな気配を狙ってスイングする簡単な作業だ! うなれ、俺のホームランバット(剣)! 今日も俺のフルスイングは冴え渡ってるぅ! いつかできる友だちとの話題作りのために、せっせとバッティングセンターに通った甲斐があったわ!」



 疑問。いつかできる友人ですか?

 つまり、現在ハチの友人はゼロ。ボッチということに――――。



「ぼ、ぼ、ぼ、ボッチちゃうし! これからたくさんできる予定だったし! ――――って、あぶなぁ!?」



 紙一重。切り損ねた熱線が顔の横を通過。余波でシールドを一割損傷。

 戦闘中に余計なことを考えてる暇はありませんよ。

 集中してください。



「動揺させたのオクトーさんだよねぇ!?」



 反論。当機は事実を指摘したまでです。

 結論。当機は悪くない。悪いのはボッチのハチです。



「ボッチって言うのやめて。泣いちゃうよ?」



 そんなことより、れた『深淵ダンジョンの王』エースゴブリン【炎鬼レッドデーモン】の機体に変化あり。


 射撃しながら、ブースターの出力を上げ接近中。

 片手に『炎霊熱剣イグニスグラディウス』を展開して――――突撃きます。



「改めてみるとデケえな! 迫力やばい!」



 第三者視点。はたから見れば機動兵器VSメイド人形ですからね。

 体格差が大人と赤子くらいありますから、先方の大人げなさがわかりますね。



「そうだ、そうだ。こっちはかわいいメイドさんだぞ。手加減くらいしろ――――はっ!」


 <GAッ(チッ)>



 すれ違いざまの斬撃回避成功。

 足場の破壊された人形たちは削れましたが、当機の身体は無傷です。

炎鬼レッドデーモン】の頭部スピーカーから舌打ちが聞こえましたね。


 対象のブースター出力上昇を確認。

 さらにスピードを上げ、こちらの反応速度を超える算段のようです。



「お前は()()()()よなぁ! 真正面からの攻撃は俺が全部避けてたもんなぁ!」



 即時離脱ヒットアンドアウェイ。対象は攻撃後すぐに手の届く範囲から離脱し、こちらの反撃の機会を奪い、戦闘の主導権を握るつもりでしょうが――――甘い。


 当機たちはその行動を()()してました。つまり()()()()です。

 ハチ、そのまま回避を続けてください。【炎鬼レッドデーモン】が最高速度トップスピードに達するまで。



「了解だ! そのあとは()()()()!」



 了解。()()()()()()()


 対象の射撃からの斬撃。次第に間隔は短く、鋭さは増し、激しさを増していきます。そのまま、切り払い、回避し。そして――――。


 対象、最高速度トップスピードに到達しました。



「ここだああああああああぁぁ!!!」



 此方こちら彼方あちら。交差する刹那。一対のアンカー射出。

 標的――――()()()()()を絡めとることに成功しました。



「いけッ、オクトー!!! <ユーハブコントロール>!!!」



 ◐【(ハチ) → (オクト―)



「かしこまりました。<I(アイ) Have(ハブ) Ⅽontrol(コントロール)>」


 <GAAなにッ!?――――GAAAまさかッ!?!?>



 ようやくこっちの狙いに気づいたか。でも――――もう、遅えッ!



「【限界突破リミットブレイク】。推進機ブースター拘束。進行方向調整。上昇します――――抵抗したところで無駄です。今の当機は竜すら葬れる力を解放してます。それに、I&(イグニス・アンド)A(・オーラム)社製新型射出アンカーのワイヤーは容易く千切れるものではありません」



 オクトーの身体から虹色の光があふれて――――。



第五霊素フィフス・エレメント極天エーテル光最大出力。さあ、当機がご案内いたしましょう。――――貴方の死地へ」



 こんな暗い穴倉とはおさらばだ。

 いくぞ――――地上へ!



「第三層上階通過。第二層下階から上階を通過。そして、第一層下階も通過して――――」



 脱出だーーー!!!

 一・二時間ぶりくらいの空だーーー!!!

 ダンジョン内の小汚い空がまぶしいぞーーー!!!



「感謝。第一層までの足役ご苦労様でした。では、もうこの騒音発生器ブースターは不要ですね――――壊します。感謝はいりませんよ」


<GAッ。GAAAAAA(くッ。推進機がッ)>



 わーお。すげえメキメキいってる。絡めたワイヤーでブースター引っこ抜いたよ。

 オクトーさん、力持ちー……。



「【限界突破リミットブレイク】『刻限超過リミットオーバー』。自動解除されます。役目を終えたアンカー切り離し(パージ)――――着地成功」


 <GAAAAAA(ふざけた真似をッ)……!>


駆動系安全装置解除セーフティ オフ。さて、ここからが本番です」



 脱出したらこっちのもんだ。

 もう加減はいらねえ。やっちまえ、オクトー!



「了解。舞台ステージ変更。最終ラウンドです。

『ブルーム』冷却終了、再装備。弾倉交換リロード――――準備(レディトゥ)完了(ファイア)

 それでは、戦闘おそうじを開始します」




 次回、『ダンジョンおそうじ編』が終わります。

 更新は12/21の7:00です

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