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偏在教授Sheet1:ホームページ

火曜日。

月曜が定休のスナック『エンター』にとっては一週間のはじまりだ。


「アキラ、ちょっとこれ見てくれる?」

自称異世界から転移したエルフ、通称エルである。

常連客の川口からもらったタブレット端末(魔道具)で作っていた店のホームページがほぼほぼ形になった様だ。

「ん、どれどれ〜」

声を掛けられた店主のアキラ。口調は男っぽいが性別不詳で通している。

企業秘密として常連客でも真相を知るものはいない。

共同生活しているエルは当然知っているが口は堅い。


「トップのイメージイラスト。どう…かな?」

挿絵(By みてみん)

「あぁ…何というか、すごくゴージャスだなw あ、いや、悪くないよ。全然大丈夫。エルが元いた世界の雰囲気がちょっとあるのかな。」

本音をいえばいわゆる"思ってたんとは違う"なのだがそれはそれ。ホームページに関してはエルのITスキル向上における習作的な意味合いでやらせているので口は挟まない。

だからイラストの出来不出来というより、エルがホームシックなんじゃないかとそっちが気掛かりだった。


イラストの下に大きめなテキストで"スナックエンター"とあり、続いて各ページへのリンクバナーが付けられていた。

「で、ここが簡単なお店の紹介。文章は商店街のやつそのままだから変えるなら言ってね」

「ここがアクセスと地図、営業日とか営業時間」

「それからスタッフ紹介」

そこには様々なアキラの写真が貼られてあった。半ば盗撮といってもいいだろう。

「ちょっ、これ、いつの間に!」

「えへへ、育美師匠と協力して撮りました♡」

常連客の育美、最近では漫画やアニメなど割とディープな作品まで推してくる"サブカル師匠"となっていた。

エルを沼にハメる気満々だ。


「もーハズいって!こんなん一枚で十分だろ」

口は挟まないつもりのアキラだったが前言撤回、ここだけは変えてくださいお願いします。

「そお?ここがイチ推しなんだけどなぁ」

そんな話をしていると、川口と育美がやってきた。

本当に"同伴"を疑いたくなるレベルで一緒に来店する頻度が高い。


「ホームページ出来たの?見せて」

サブカル師匠こと育美だ。

「育美さん、俺の写真多くないですか」

「アキラさん独りの写真撮るの大変だったんですよ。大抵エルさんと一緒だから」

そっちの写真は育美個人の推しカプフォルダに秘蔵されていた。カプ厨の育美にとって眼福であり癒しなのだ。


一方エルの紹介の方は…

写真はなく謎めいたシルエットのみ。

紹介文も簡素で、

−−−−−−−−−−

エル。異世界出身。

最近、漫画やアニメにハマってます。

特技はエクセル。

IT全般お困り事がありましたら相談ください。

−−−−−−−−−−

とある。


「なんだエルちゃんは写真載せないのか。集客の柱になるのに残念だなぁ」

川口が言う。事情を察して掲載を要望する言い方はしない。

「しかし"相談ください"なんて書いてあったら、俺や育美さんみたいに本当に相談しにくる客が増えるぞw」


「エルは出来る子だから大丈夫、どんと来い!でしょ?なぁ、エル」

何故かドヤ顔のアキラ。


ホームページは川口の口利きで…というか彼の会社のサイトの別ページの様な扱いで公開された。


公開から一週間も経たないある日。

早速相談客を連れた川口がやって来た。

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