その愛、受けて立とうではないか
「あなたを愛する事はないだろう」
この国の王の弟にして大公である、ランスロット・ドミニクと、海を渡った大国の第5王女であった、ガーベラとの結婚式の控えの間で、式を挙げる直前にランスロットはガーベラにそう告げた。
花嫁衣装のガーベラは、唖然とする。
なんと……わたくしの夫は阿呆で迂闊な男のようだ。
ガーベラは唖然としながら、まじまじと隣の大柄な金髪の男を見上げた。
夫となるランスロットは、金髪に淡い水色の瞳の、苦み走った美形で、苦労してきた感じのするその顔は嫌いではない。
しかし、どうやら阿呆のようだ。
「愛する事はないだろう」と、わざわざ花嫁に言うとは、阿呆、ここに極まれりではないか。
こいつ、本当に元王族か?
花嫁を愛さないつもりであっても、相手に表面上は愛されていると錯覚させて、自分に溺れさせ、手駒にするのが、王族という青き血の流れる者の頂点に立つ一族が取る手段であろう?
なんと、迂闊な男。
こんな男が、自分の夫とは片腹痛い。
これなら、やはり、祖国の父王の目論見通り、国王の側室に上がる方が良かったのではないか?
とガーベラは考える。
ランスロットの兄である国王は、祖国から輿入れし、面通りしたガーベラを見るなり、「子供はいらん」と言い、ガーベラを弟である大公に下げ渡したのだ。
ガーベラの母を知っているなら、数年後には、ガーベラも充分に成熟した女になる事は予想出来たであろうに。
母譲りの艶やかな黒髪に、深く青い瞳、目付きはきついが美人の部類の筈だ。体はまだ未熟だが、これから十分に熟れるであろうに、それを“子供”とは、あの国王も馬鹿だ。
だが、国王のガーベラへの目付きは冷たく、敵意に満ちていて、そこは中々良かった。
大方、祖国の父王の言いなりだと思われているガーベラに、内情を探られると考えていたのだろう。そんな自分に益のない事をするつもりはないが。
ああいう男の、側室に納まって、駆け引きしてやるのも一興ではあったな、こんな阿呆で迂闊な男の正式な妻となるくらいなら、そちらの方が楽しめたのではないか?
ガーベラは、ギリギリとランスロットを睨んだ。
と、ここでガーベラは、ランスロットがここまで迂闊なのであれば、自分は聞き分けの良い姫の仮面を被らなくても良いではないか、と気付く。
この男の前では、しおらしくする必要はもうない。素の自分をさらけ出しても、充分に手駒として操れるであろう。
ふむ、これは僥倖であるな。しおらしい姫の振りというのは、疲れるからな。
ガーベラは、すう、と息を吸って口を開いた。
「お前は阿呆か?愛とは、計画してするものではないぞ?」
昨日まで作っていた、高く弱々しい声を止める。低い凄みのあるガーベラの地声だ。
ランスロットは静かに目を見開いた。
ガーベラは、構わず続ける。
「しかし、その心構えは中々賢明だぞ、お前のような痴れ者に、わたくしが愛を与えるとは思えぬからな。お前が手に入らぬ愛で悩む事も減るだろう」
ベール越しに、ガーベラはニヤリと笑う。
真っ赤な口紅を塗っているので、ベール越しであっても、ランスロットはガーベラの口角が上がったのが見えただろう。
ランスロットは無表情で黙り込む。
なんだ、何の反応もなしか?
阿呆な上につまらないとは……これは、わたくしの結婚生活は、さぞ退屈なものになるだろう、とガーベラが考えていると、ランスロットが言った。
「……あなたの理論でいくと、愛の予想は出来ないのでは?あなたが俺を愛さない保証はない」
ガーベラは、きょとんとする。
そして、一気に笑いだした。
「ははは!お前、思ったより面白い男ではないか」
ガーベラは、花嫁とは思えない仕草で腹を抱えて笑い出す。
「ふはははは、ふふ、わたくしが、お前を?はははは、面白い、実に、面白いな、あはは」
そしてこの後、何とか、笑いを納めたガーベラはランスロット・ドミニク大公と結婚した。
***
豪華な事は、とにかく豪華であった式を終え、ガーベラは大公家の馬車で、本日よりガーベラの家となる大公の屋敷へと向かう。
「あなたは、15才と聞いているが、間違いないか?」
「そうだ、数年後には、良い女になる。心しておけ。お前は幾つだ?30才くらいか?」
「………21才だ」
「お前、老けているな。しかし、若造であったか。あの国王は間違いなく30は越えているであろう?年が離れているのか?」
「陛下は33才、12年違う」
「ほほう、そうか」
「話を戻そう、15才のあなたに無理をさせるつもりはない。初夜は行わないからそのつもりでいるように」
「それは、助かるな。わたくしは初潮を迎えてはいるが、体はまだ未熟なのでありがたい申し入れだ。しかし、数年後には充分に熟れる予定であるから心配するな」
ガーベラが堂々と宣言すると、ランスロットは、呆れた顔になった。
馬車は粛々と進み、大公家へと着く。
という流れで2人は結婚し、初夜はしなかった。
***
ガーベラとランスロットが結婚してから、3ヶ月経った。
大公家の使用人達は、最初こそ、この独特な若奥様に面食らったが、慣れると「独特だけど、悪い方ではない」という事で、当主の言い付け通り丁寧に仕えている。
執事と侍女長はいかにも古株という様子で、使用人達をきっちり教育していて、王女であったガーベラから見ても、大公家の使用人達の質はかなりいい。
ガーベラは本日もご満悦で、夕食を1人で食べている。
そう、ご満悦だが1人だ。
結婚してからこのかた、ランスロットと顔を合わせてはいない。
部屋は離れた位置にあるし、食事を摂るダイニングは別々だ。見送りや出迎えにガーベラが呼ばれる事もない。
使用人達はガーベラを大公夫人として、きちんと扱ってくれているし、ガーベラも夫人としてお茶会等にはせっせと顔を出しているが、夫婦の会話や触れあいは一切無しだ。
ランスロットは、ガーベラに予算と屋敷の采配権を与え、後は放置している。
放置と言っても、不自由はないように配慮されており不満はない。ガーベラにも成すべき事はあるので、それなりに忙しく充実した日々だ。だから本日も、ご満悦で夕食を楽しんでいる。
ランスロットは今日は帰りが少し遅いようで、ガーベラが食後の紅茶を飲んでいる段階になっても、まだ帰宅しなかった。
遅いな、通常業務以外の何かがあったな。
そう思いながら、ガーベラは優雅に紅茶を飲み終え、侍女に本日の食事の素晴らしかった点を伝えると、自室へと戻った。
日中、ランスロットは国の魔法塔の魔法使いとして城で働いている。それに加えて、国王の補佐や、9才の王太子の指導係としても働き、忙しくしているらしい。
王太子の事は、甥として普通に愛情を注いでいるようで、王太子絡みで何かあった時は、まあまあ明るい様子で帰ってくる。
だが、兄である国王と絡んだであろう日は、元々翳りがある表情は更に暗く、疲れた様子だ。
そしてこの日、帰ってきたランスロットは暗かった。
暗いな、国王と何かあったな。
帰宅したランスロットを見て、ガーベラはそう判断する。
見て、と言ったが、出迎えているのではない。ガーベラは、玄関ホールに飾られている鎧に設置した遠見の魔道具で、毎日こっそりと夫の帰宅時を観察しているのだ。
毎日見ているので、今ではランスロットの纏う雰囲気で、国王が絡んだ日は予想が付くようになった。
「普通にお声掛けされてはいかがです?」
ガーベラの背後に控える、祖国より連れてきた美しい侍従が言う。銀髪に金色の瞳の女かと見紛うばかりの、目の潰れそうな美しい侍従だ。
「サイラス、あの男と馴れ合うつもりはない」
「はあ、、しかし、愛さないと言われているにしろ、お嬢の旦那でしょう?」
この、憎たらしい程に美しい侍従は、ガーベラの事を“お嬢”と呼ぶ。なぜ、“お嬢”と呼ぶのかはガーベラにも分からない。
せめて、“姫”ではないか?
そして、今は、“夫人”や“奥様”だと思うのだが。
「サイラス、お前も気付いているであろう?あの男は、わたくしを愛さないのではない、愛するようになるのが怖いのだ」
「気付いてはなかったですね……そしてちょっと、その違いが分かりませんが」
「お前は本当に、美しい事と、言われた仕事が出来る事しか能がないな」
「お褒めいただきありがとうございます。違いは分かりませんが、どちらにしろ、お嬢を愛さない夫をなぜ、毎日観察するんです?」
「夫の人と成りを把握して、事が起こった時に対処出来るようにしておくのだ」
「事?」
「一番分かりやすいのは、あの男がわたくしを害そうとしてきた時だろうか?今は同盟関係とはいえ、わたくしの祖国とこの国は良い関係ではない」
「お嬢、そのような事、俺が許しません」
サイラスの目付きが変わる。金色の瞳は一気に狂気じみた輝きを帯びた。
「サイラス、ただの分かりやすい事例だ。熱くなるな、今はわたくしの祖国の方が立場が強い。わたくしが害される事はない」
「そうですが、気をつけて下さいよ。大公は先王に匹敵する魔力を持ち、魔法の才能もあるんでしょう?俺に魔力はありませんからね。魔法で来られると、勝てるか分かりませんよ」
「心配ない。わたくしとて、魔力は多い。それにあの男とわたくしの魔力の相性は最悪だ、あの男の魔法はわたくしには効きにくいだろう。
そしてだな、あの阿呆で愚かなほどにわたくしに優しい男が、わたくしを害するなどせぬよ」
「……………優しい?えーと、お嬢、俺が覚えている限り、大公がお嬢に優しい場面なんてなかったと…」
サイラスの言葉にガーベラは、はんっと鼻で笑う。
「愛さないつもりの妻に、わざわざ愛さないと告げるなんて、愚かな程に優しい男よ」
「………」
サイラスは、変な顔で黙る。
「愚かで阿呆ではあるが、あれでもわたくしの夫だ。わたくしは妻としてあの男を支えるべく、日々、あいつを観察しているのだ、サイラス」
「うーん、ちょっと、よく分からないです。まあ、とにかく、俺はお嬢に付いて行くんでそれでいいです」
「ふはっ、本当にお前は美しい事と言われた仕事が出来る事しか能がないな」
「お褒めいただき、」
「はっ、あの男め」
ここで、遠見の鏡に写ったランスロットを眺めていたガーベラが、サイラスの言葉を待たずに怒りの声を発した。
怒りの声は、サイラスに向けられたものではない、鏡の中のランスロットに向けられている。
「どうされました?」
「あの男、やはり魔道具に気付いているな、昨日も目が合ったが今日もだ。無表情でこちらを見てくる」
「えっ、怒られますかね」
「それなら、昨日に怒っているだろうよ。しかし、変な奴だ、見られていると分かってて、魔道具を放置するか?見られる趣味でもあるのであろうか………サイラス?何を気持ち悪く笑っている?」
「いやあ、俺もお嬢に覗き見されたら、と想像して、どうしようもなく興奮しました」
「気持ち悪い奴だな」
「大公もそうなのでは?」
「……なんと、あの無表情は興奮を隠しているのか」
なんという事であるか、ガーベラの夫は阿保で迂闊なほど優しく、変態でもあるらしい。
せっかく、疲れた感じの、くたびれたいい男であるのに、惜しい奴だ。
ガーベラは呆れながら、遠見の鏡をきちんと拭いて、元に戻した。
***
数日後、ガーベラは朝からサイラスと執事、侍女長を呼んで、紙に書かれたリストを渡す。
「わたくしは、いい加減、わたくしを全く省みない夫に堪忍袋の緒が切れた。これらを1週間後に揃えなさい。そして名だたる貴族に招待状を送る用意をしなさい」
「奥様……これは、何に使われるので?金額がかなり大きいかと。まずは旦那様にご相談を」
リストを見た執事が少々慌てる。
「黙りなさい。大公は昨日より国境の砦の視察であろう?10日は帰って来ぬのだ、心配ない」
「いや、そういう心配ではなく…」
「わたくしは、堪忍袋の緒が切れたのだ。妻を放置するとは何事か、放置したあの男が悪い。憂さ晴らしをしてやるのだ。責任は、わたくしとサイラスが取るから準備しなさい」
ガーベラは強い口調で告げ、諸々の準備に取り掛かった。
そうして、1週間後、首都から小一時間程の距離にある大公の別荘の人工池で、大公夫人による大規模な舟遊びが開催された。
夕暮れ時より行われた舟遊びでは、様々な色の美しい小舟が池にいくつも浮かべられ、それを遥かに凌ぐ数の紙灯籠が、池や畔に配置されて辺りを明るく照らし、芝生の上のテーブルには数々の料理と酒が並べられた。
招待客達は、ガーベラの用意した仮面を付けるか、宝石を砕いて混ぜて作った光る顔料で顔にペイントをしてから、料理や酒、舟を楽しむ。
この日のために楽団も呼ばれていて、優雅な音楽が鳴り、時折花火も上がっていた。
「…お嬢、なんですか、これ?」
会場に着いたサイラスが、怪訝な顔をする。
「舟遊びだ」
「舟遊び……スケール大きくないですか?」
「わたくしは、大公夫人であるぞ、大公夫人の舟遊びともなれば、こんなものであろう、そんな事より、サイラス。ここではまず顔を隠さなくてはならない」
「なぜです?」
「面白いからだ、さ、早く、わたくしの顔に、鼻と髭を描け、魅惑の黒猫姫にするのだぞ」
「!、お、俺が、お嬢の顔に?………神様、俺は明日、死ぬんでしょうか?」
天に向かってサイラスが祈りだす。
「サイラス、祈ってないで、早く描け、お前の事は、私が絶世の美女銀狐にしてやろう」
「ああっ、しかも、お嬢が俺の顔に………神様、俺が明日行くのは地獄でしょうか?」
しばしの時が経ち……
「さあ、サイラス、豪遊するぞ」
魅惑の黒猫姫になったガーベラはそう宣言すると、舟遊びに繰り出した。
ガーベラは大いに食べて、飲み(成人は16才からなので、15才のガーベラは酒ではなく、ジュースである)、歌って踊り、すっかり気分よく、岸近くの舟でユラユラ揺れている。
気分良く揺れていたその時、舳先のサイラスが、ぴりっとして仄暗い目になった。
「お嬢、お嬢に殺気を向けてる奴がいます。どうします?始末しときましょうか?」
「殺気?どこだ?」
「楽団の横、デザートのテーブルの近くの奴です。茶髪の若い男。今見たら目が合うと思います」
ガーベラは、ゆるりとそちらへ顔を向ける。
少し遠かったが、茶髪の男とばちっと目が合ったのが分かった。男は慌てて目を逸らす。
「サイラス、あれは殺気ではない、恋情だ」
「ただならぬ視線でしたが」
「サイラス、恋とはただならぬものであるぞ、今宵、このように幻想的な場所で、夢のように美しいわたくしを見れば、ひと目で恋に落ちても不思議ではない」
「それは、もちろん、そうですけどね」
「何もしてこぬなら、放っておけ。……む、サイラス、あの男だ」
「あの男?」
「大公だ、執事め、知らせたな」
「本当だ、お嬢、見つけるの早いですね」
会場にはランスロットが現れていた。
ランスロットはガーベラを探しているようだが、無視してそのまま舟を楽しむ。
やがてガーベラを見つけたランスロットは、ゆっくりと疲れた足取りでガーベラの乗る舟へとやって来た。
「ガーベラ」
岸辺まで来たランスロットが、その名を呼ぶ。
「何だ?わたくしは今、魅惑の黒猫の姫、ガーベランダー姫であるぞ。ミャーオ」
ガーベラの顔には今宵、ルビーの欠片の入った光る顔料で猫の鼻と髭が描かれている(サイラス画)。黒猫の姫となったガーベラは、小舟に座ったまま岸辺のランスロットを見上げて不敵に笑った。
「なぜ偽名を?しかもほぼ本名じゃないか」
呆れた声だ。
「偽名の方が盛り上がるであろう?何の用だ?」
「何の用だじゃない。この狂態はなんだ、3ヶ月分のあなたの予算が一晩で飛んだ」
「話があるなら、わたくしの舟に乗れ、ミャーオ」
ランスロットはため息をつきながら、ガーベラの小舟へと乗り込む。
ガーベラは舳先のサイラスに合図をして、小舟はゆっくりと岸から離れた。
岸と他の舟から離れてからガーベラは口を開く。
「さて、わたくしの予算をしっかり飛ばしてやったんだ、ありがたく思え」
「は?一晩で3ヶ月分だぞ?どこがありがたいんだ」
「そのような妻の方が、良いであろう?お前の兄も喜ぶ。お前へのやっかみが減る。最近、特に酷かったようではないか」
ガーベラの言葉にランスロットが、ぽかんとする。
本当に迂闊な男であることよ。
知らないとでも思っていたのだろうか。
「お前、兄である国王から疎まれ、虐げられているであろう。こちらに来る前にそれくらいは調べてある。疎まれているのは、兄を凌ぐ大きな魔力のせいか?よくある話だな。どうりで、老け顔なわけだ」
うむうむ、とガーベラは頷く。
「わざと、金を使ったのか?」
「大公家を傾ける、海の向こうから来た王女。まさに傾国の美女であるぞ。しまった、傾国の黒猫美女であるぞ、ミャオ」
「傾くのは国ではない。大公家だ」
「ふん、これくらいで傾くなら、潰れれば良い。わたくしはこの為に3ヶ月、節制もしたのだ」
「……この3ヶ月、それなりの額は使用されていたが」
何と、こいつ、妻のわたくしに一切興味無かった様子だったくせに、金の使い途は把握していたのか。
「まあ、当初予想していたよりも、少なくはあったし、使い途は侍女達の制服をあなた好みにしたり、庭の珍しい植物への投資で、あなたの予算というより、屋敷全体の予算から出してもいい内容だった」
「……お前、もう、わたくしに惚れているのか?」
ガーベラはびっくりしながらランスロットを見る。
結婚式以降、ほとんど顔を合わせていないのに、自分に惚れたなんて正気かこいつ。
「は?惚れる?」
「わたくしの金の使い途を、そんなに詳細に把握するなんて、惚れているのであろう。大丈夫か?結婚式の時の決意はどうした?」
ガーベラが夫の正気を疑って心配そうに告げると、ランスロットは、堪えきれずに、ふはっと笑った。
そのまま、体をくの字にして、くくく、と笑う。
「何と呆けたか、可哀想な奴。愛されない愛なぞ、地獄でしかないぞ………おい、いつまで笑っている」
ランスロットはしばらく、くの字のまま笑ってから顔を上げた。
「これが地獄なら悪くない」
ニヤリとするランスロットは年相応の青年らしい顔付きをしていた。
その顔に、ちょっとドキッとしてしまい、ガーベラは母性本能がくすぐられたのだと思う。おんとし15才だが。
「それで、ガーベラは、兄に、俺が厄介な嫁をもらって苦労していると思わせる為にこんな事をしたのか?」
「これだけの貴族を呼んでやったのだ、明日にはわたくしの浪費は噂になり、国王はご機嫌で、良き妻を娶ったとお前を労うであろう。お前は俯いて笑いを噛み殺して労われるがいい」
「いや、実際に金は飛んでいるので、あまり笑えはしないのだが」
「ふっ、しかし、この舟は無駄にはならぬぞ、半年後の秋のボートレースで使うが良い」
ガーベラの言葉に、ランスロットは真顔になって舟を観察した。
「……」
よく見ると、舟は遊覧用の華美なものでなく競技用の武骨な物だ。それを、薄布や、リボン、紙灯籠で飾り立てているのだ。
「ボートレースの開催を任されたものの、兄の嫌がらせで予算がつかぬ上に予算内でやれ、と厳命されているのであろう?貴族達の観覧席に手を抜く訳にはいかぬが、ボートを疎かにして事故でも起これば最悪だからな、わたくしの狂態で余った舟を仕方なく使えば良い」
「そんな事まで、知っているのか」
「貴族のマダム達のお茶会は情報の宝庫だ。わたくしは、お前と親しい家門とは仲良くしてやってないしな。敵対する家門へ出向き、お前の悪口を言い回ってやった。すっかり仲良くなったぞ、国王のお前への冷遇をマダム達と嘲笑ってやっているのだ、“ほんと、お可哀想ですわねー”だ」
“ほんとお可哀想ですわねー”の部分は、甲高い声でガーベラは言う。
「何だ、今のアホみたいな声は」
「煩いな、“立場は弱いが性格が悪い王女”の時の声だ」
ガーベラは少し耳を赤くした。
「そして、わたくしの侍従は優秀だからな」
くいっと顎で舳先を指し示す。
ランスロットが振り返ると、舟を操っているサイラスが妖艶に微笑んだ。
女と見紛うばかりの、目が潰れそうな美しい男は、顔に青い顔料でどうやら狐らしいペイントをしている(ガーベラ画)。
「サイラスと申します。大公閣下。俺の忠誠はお嬢にあります、ご承知おき下さい」
「わたくしより美しい、という所以外は、優秀な侍従だ」
「お嬢!お嬢が、手放しで俺を……褒めてる!」
サイラスがぶるぶると感動に打ち震える。
ガーベラはそんなサイラスは無視だ。
「話が通じない事が多いが、優秀な侍従だ。マダム達から手に入りにくい情報はサイラスが取ってくる」
「祖国の暗部の人間か?」
「使い捨てられそうな所を拾った。良ければ貸してやるぞ」
「お嬢!俺は、お嬢が言うなら、誰にでも尻尾を振りますよ!」
「このような感じで、話は通じにくいがな。さて、せっかく国境からこちらまで駆け付けたのだ、今宵は、お前も存分に楽しめ、ミャーオ」
ガーベラはそう言うと、葡萄ジュースを注いでランスロットに渡してやった。
***
舟遊び以降、ランスロットはガーベラと食事を共にするようになった。
「一体、どういううもりだ?」
ダイニングにランスロットが姿を現した初日にガーベラは聞いた。
「ガーベラの事を、もっと知るべきだと思った」
ランスロットはガーベラの向かいに着席する。
「お前、それは通常、惚れる前にするべき行為だぞ」
「仮に惚れていたとして、惚れた後でしても良いだろう」
「!、やはり、わたくしに惚れているのだな。なんと憐れな奴」
ガーベラが憐れみの表情を浮かべると、ランスロットが、くっと笑う。
「とにかく、今日から一緒に食事を摂ろう、ガーベラ」
ランスロットがガーベラに優しく微笑む。
ガーベラは、その笑顔にドキッとする。
そして、また母性本能がくすぐられたのだ、と思った。
一緒に食事を摂るようになり、その内に、大公と大公夫人は一緒に庭の散歩くらいならするようになる。
ガーベラは花言葉にも詳しく、
「嫌味を込めて、花を贈る時に便利であろう」
と、庭の花一つ一つの花言葉をランスロットに教えて回った。
2人の散歩が日常的になった頃、大公家の使用人達は、主人の笑顔が増えている事に気付く。彼らは以前にも増してガーベラに細やかに接するようになった。
舟遊びの3ヶ月後には、ガーベラは16才になり、誕生日の祝いのパーティーでは、途方もない高さのシャンパンタワーを作らせて盛大に浪費し、しっかりと酔っ払った。
さらに数ヶ月後のボートレースの観覧の際は、やはり酔っぱらって川に落ちたガーベラを、ランスロットが自ら飛び込んで助けたり、歌劇が好きなガーベラを劇場に伴うランスロットの姿が都で見られるようになって、どうやら、大公は大公夫人を深く愛しているようだと噂されるようになる。
そんな噂が流れたしばらく後。
屋敷でのランスロットの表情が目に見えて柔らかくなってきた頃、王室主宰の狩猟大会で事故は起きた。
その狩猟大会は、貴族の当主や令息達がこぞって参加する大会で、その見物にマダムやレディ達も押し掛ける大会だった。
ランスロットも、王太子の守役として参加し、ガーベラも見物に訪れていた。
そして、狩場の入り口付近を散策していたガーベラの栗毛の馬に、ボーガンの矢が放たれたのだ。
矢はサイラスによって弾かれたが、驚いた馬が暴れ、ガーベラは落馬して肩を負傷した。
救護テントで手当てを受けていたガーベラの元に駆け付けたランスロットの顔は蒼白で、表情は一切なく、「兄上の警告だ」とぽつりと呟く。
呟いたランスロットは、ガーベラが今まで見た中で一番ひどい顔をしていた。
ガーベラの馬に矢を放ったらしい男は、鹿と誤って射ってしまったと主張していたが、その日の夕方に拘束から抜け出して逃げ、狩場の崖から転落して死亡し、後味の悪い事故となった。
***
狩猟大会から1ヶ月が過ぎ、ガーベラの痛めた肩が完治すると、ランスロットはガーベラを大公家の敷地内にある小さな塔に監禁した。
3階建ての塔の1番上の部屋にガーベラは押し込められる。部屋には外から鍵が付き、塔の入り口にも鍵が掛けられ、監視が2人付いていた。
ガーベラは室内では自由だったが、部屋からの出入りは禁じられた。
食事と風呂の時は侍女達が上がってきてくれ、侍女達は、「奥様の安全の為だと、お聞きしてるんですけれど……」と、非常に申し訳なさそうに言った。
監禁されて3日目、ガーベラはこの状況に怒る訳でもなく、嘆く訳でもなく、ただ、暇していた。
「暇だな、サイラス」
部屋にやって来ている美しい侍従に話しかける。
「いや、暇って。そんな事よりお嬢、どうします?」
「何をだ?」
「何をって、監禁ですよ、これ。監禁、か・ん・き・ん、逃げます?」
「逃げるのは、あの男の思うツボだぞ、サイラス。あの男は、わたくしに逃げて欲しいのだ」
「あー、まあ、それは、分かります」
「………お前、本当にサイラスか?」
美しい侍従から返ってきた、思わぬ合意にガーベラは怪訝な表情になる。
「本当のお嬢のサイラスです。逃げて欲しいかはともかく、俺の出入りが自由な時点で逃げられてもいいと思ってるのは確かです」
「その通りだ。わたくしは土魔法が使えるのに、わたくしの魔力を封じてもいない、塗り壁の塔なぞ、土魔法の使い手であれば、脱出は容易い。そして、サイラス、お前ならその窓からわたくしを逃がすのは簡単であろう」
ガーベラが部屋の窓を指差す。そこには格子も何もはまっていない。
「簡単です」
「要するにあの男は、監禁までして、わたくしが逃げるように仕向けているのだ。大方、狩猟大会の事故は国王が仕組んだ事で、これ以上国王がわたくしに危害を加える前に国外へでも逃げて欲しいのであろうよ」
「なるほど、さすがお嬢、しかし逃げて欲しいなら率先して祖国へでも逃がしてくれればいいのでは」
「サイラス、お前は男心という物が分かってないな、あの男はわたくしにこの国から逃げて欲しいが、逃げて欲しくないのだ」
「うーん、ちょっと、今のは分からなかったですね」
「あの男の愛は、きっと重たく陰湿な上に複雑だぞ、サイラス」
「はあ、ま、何でもいいです。逃げないんですね」
「逃げてなぞ、やらん」
「はーい、仰せのままに」
そんなやり取りをサイラスとした3日後、やっとランスロットが塔の最上階へとやって来た。
「このような事をして、すまない」
何日も寝ていないような、酷い顔のランスロットはまず詫びてきた。
「言い訳を聞いてやろう」
隙をもて余して、ついにレース編みまでしていたガーベラは手を止めて、悠然と座り直す。
「ガーベラ、君を愛さないと結婚式の日に言ったのは、俺が好意を寄せる者は兄によって害される恐れがあったからだ。だから、俺は例え情のようなものであっても、君に好意を寄せないように気を付けていた」
ランスロットの言い訳の出だしに、ガーベラは椅子からずり落ちそうになる。
この男、やはり、救いようのない阿呆だ。
愛するのを怖がっていたのは、結婚初日に気付いていたし、その決意も虚しく、早い段階でランスロットがガーベラに惚れていたのも知っていたというのに、今さら何を言っているのだ。
まさかこの男、ここから延々と当初から惚れてしまっていた事を伝え、舟遊びの一件で惚れ直したと言い(もちろん、そうであろう)、花にも詳しい、わたくしの可憐さに想いを募らせ(本当に何とチョロい男か)、ボートレースで、わたくしが川に落ちた時は、一生守ろうと誓い…………
というような馴れ初めを話すのであろうか?
今から?延々と?
冗談ではないな、全部知っておるわ。
「御託はいい、経緯もいらん。わたくしは全てお見通しだ。つまり、お前はわたくしを愛しているのだな?」
ガーベラの言葉にランスロットは絶句する。
「……気持ちの告白くらい、こちらの主導でさせてくれないか?」
「お前の、うじうじと女々しい告白は要らぬ。それで?愛しているとして、この、ややこしい監禁は何だ?」
「兄があなたに目を付け、怖かったんだ。あなたを失うくらいなら、と、閉じ込めた」
「どうだった?」
「……え?」
「わたくしの自由を奪い、閉じ込め、お前の手の内にだけ抱えこんでみて、どうであったか?と聞いているのだ」
「………」
「暗い喜びに悶えたか?」
「………」
「それとも、心配から解放され、健やかな日々であったか?」
「いや、ガーベラに嫌われてしまうんじゃないかと、気が気じゃなかった。本当にすまなかった、最後に謝りたくてここへ来たんだ」
ランスロットの答えに、ガーベラは大きく息を吐いた。
この男は、この年にまでなって、愛を知らなかったのだ。
初めての愛を失う恐怖で、ガーベラを監禁した。しかも、逃げれるように仕向けて。
本当に難儀な男だ。全て兄である国王が原因ではありそうだが。
だが、まあ、監禁したとはいえ、このやり方は違うと思ってはいたようだ。
大公家の屋敷の執事や侍女長は、明らかにランスロットに優しい。恐らく、あの人達はランスロットが王宮で王子として兄から疎まれていた時から力になっていたのだろう。
そう言った、僅かばかりの良心によって、ランスロットは、ぎりぎりで堕ち切ってはいない。
「ランスロット」
ガーベラは初めて、ランスロットの名前を呼んだ。
「わたくしを閉じ込めて、お前が病んでどうする。それこそ、国王の思うツボではないか。そしてお前は、わたくしに逃げて欲しかったようだが、そんな事はしないぞ、勝手に最後にするな」
ガーベラの言葉にランスロットが目を見開く。
「この国から出ていかないのか?」
「出ていくつもりなら、とっくに出てる。簡単に逃げれるような場所に監禁しておいて、何を言う」
「なぜ?」
「出ていく必要がない」
「狩猟大会のような事が、きっとまた起きる」
「事故はあったが、わたくしは大事なかったではないか、お前は大袈裟に捉えすぎだ。国王とて愚かではない、わたくしの祖国を刺激するような事まではすまい」
「あなたは、兄を知らないのだ」
「過去に何かされたのだな?」
「………」
ランスロットが押し黙る。
「詮索はしない。だが過去は過去だ、お前はもう子供ではないし、何より、わたくしが付いている」
「え?」
「何を呆けた顔をしている?わたくしがお前の妻となったからには、国王など恐るるに足らず」
「………」
「国王が、お前とわたくしに手出し出来ないような地位を、わたくしが築いてやろう。王位の簒奪ではないぞ、わたくしはこの国の政治を揺るがすつもりはない、お前にその気があるなら別だがな。
無視出来ないくらいの勢力になれば良い。そうすれば、お前も安心であろう。全てわたくしに任せろ」
ガーベラが妖艶に笑う。
最近は、体つきも女らしくなってきて、こういう表情が様になるようになったガーベラだ。
ガーベラの言葉に、ランスロットはしばらくの間、呆けたままになる。
そして、存分に呆けた後、くく、と笑いだした。
「おい?」
ガーベラが驚く中、ランスロットは大きく笑いだす。
「おい、大丈夫か?何がおかしい?」
尚も笑い続けるランスロット。
「なんだ?気がふれたか?」
「ふっ、ははは、ちがう、」
笑いながら否定される。
笑いの発作が治まってから、ランスロットはガーベラを、とても爽やかな笑顔で見つめた。
「簡単な事に気付いたんだ」
「なんだ?」
こんなに爽やかなランスロットは初めてだ。しかし、爽やかだが何とも言えない、圧、が感じられて、ガーベラは自分がこの男の獲物になったような気がした。
「俺はずっと怖かった。兄があなたに何かするんじゃないかと。
この塔に、あなたを閉じ込めてからは、あなたが俺を憎むんじゃないか、今日にも出ていくんじゃないか、とびくびくしていた。
俺はガーベラに、この国を出て平穏に暮らして欲しかったし、でも、それを許容出来ない自分も居て、自分の醜さにも呆れた。
そして、こんな醜い俺をガーベラは見放すだろうと思っていた。今日は、あなたを安全に祖国へ送る決意をしてここへ来たんだ。だが、あなたは出ていかないと言う」
ランスロットの熱っぽい優しい瞳が、ガーベラを捉える。
「俺はもう怖がらない。兄にも怯えない。ガーベラ、あなたを兄からも、その他の何者からも守ると誓う」
ランスロットは跪いてガーベラの手を取った。
「そして同時に絶対にあなたを離さない。絶対にだ。
ガーベラ、俺はあなたが俺から離れる事を許さない。今、そう決めた。決めてしまうと、本当に簡単な事だな」
守る、よりも、離さない、の方に熱が感じられるランスロットだ。
“離れる事を許さない”とは、束縛の匂いがするし、ランスロットの瞳は熱っぽいが少し暗さもあり、なんとも言えない凄味がある。
監禁された時点で、愛が重たそうだとは思っていたが、やっぱり何やら、重たそうな展開だ。
ちょっと及び腰になるガーベラ。
「ガーベラは土魔法が得意だ、塔から出る事は容易かっただろう?サイラスに頼んでも簡単に逃げられた」
ガーベラを見上げて爽やかな笑顔のまま、ランスロットは続ける。
それはその通りだ、数日前にそっくりそのままサイラスに伝えた内容だ。
「でも逃げなかった。もう、絶対に逃がさない。逃げれば必ず捕まえる」
ランスロットがにっこりする。
「………」
爽やかな笑顔なのに、雰囲気は真っ黒で圧が強い。
何やら激重ではないか。
大丈夫か、この男。
「愛している、ガーベラ。全てからあなたを守り、愛すると誓う。一生側に居てほしい、というか側に居てもらう」
ガーベラはランスロットを真っ直ぐ見下ろす。
そこには青年らしく、熱情に任せて、獣のように瞳をギラつかせている男が居た。
悪い顔ではないな、と思う。
結婚初日の、生気の少ない老け顔も中々良かったが、こちらの方がずっといい。
ガーベラの心臓が、ドキドキと音を立てる。
本当にこの男は、わたくしの母性本能をくすぐるのが上手いな、と、16才のガーベラは思う。
ガーベラは、ふう、と息を吐いた。
面白いではないか、ここは、わたくしが一肌脱いでやるしかないようだ。仕方あるまい?妻なのだから。
「お前の、重たく陰湿な愛を受け止められるのは、わたくしくらいであろうよ。その愛、受けて立とうではないか」
胸を張ってガーベラは言った。その頬は赤く染まっている。
「………俺の愛も偏っているとは思うが、ガーベラ、あなたも大分、偏ってないか?」
ランスロットは跪いたまま、苦笑した。
***
その後すぐに、ガーベラは塔から解放された。
ガーベラの部屋は、ランスロットの隣の部屋へと移される。
ランスロットは、公然とガーベラに愛を注ぐようになり、ガーベラの祖国との交易に力を入れるようになった。海の向こうの大国が、大公夫妻を重用しだし、大国と交易をしたい貴族を中心に新たな勢力を築きつつある。
ガーベラはガーベラで、本日も、夫の重たい愛を受け止めつつ、新たな勢力の地固めや、嫌味を込めた花束作りや、新たな趣味であるレース編みに勤しむ、充実した日々を送っている。
***
以下、おまけです。
ランスロット側の経緯
ガーベラとの顔合わせにて
(可憐な少女だな)
結婚式前
(結婚というよりも、幼い王女をお預かりするつもりでお迎えしよう。適齢期には祖国へ綺麗なままお返ししなくては。兄に目を付けられないように、接触は最低限にする必要もある。期待や不安を抱かせてはいけない、愛する事はないと伝えねばならないな)
ガーベラ本性表す
(可憐というよりは、かなり独特な王女なのだな)
魔道具で帰宅を覗き見される
(まあ、子供の悪戯のようなものだ)
舟遊びにて
(子供扱いはやめよう、彼女は、きちんと女性として接すべき人だ)
食事に散歩
(時々、可愛い人だな)
ガーベラ、16才の祝いで酔っぱらう
(危なっかしいな。俺と一緒の時以外は酒は出さないようにしなければ)
ボートレースで川に落ちたガーベラを抱き上げて救出
(なんて華奢なのだろう、一生俺が守ろう、他の誰にも触れさせたくはない)
歌劇鑑賞、ガーベラ、劇に感涙する(本文には書けませんでしたが、号泣しました)
(愛しいな)
もっと笑って欲しい、笑顔は他の誰にも向けないで欲しい、自由に過ごして欲しい、どこにも出ていかないで欲しい、兄上に俺の気持ちは気付かれていないだろうか?兄上が何かするのでは……
そして狩猟大会での事故からの監禁、でした。
ガーベラの思ってた経緯とは、ちょっと違います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました!
3月末に、お気に入り登録が100を越え(登録していただいた方、ありがとうございます!)、何か記念にと書いた短編です。(書いてる内に登録が300を越えた、、、(; ゜ ロ゜)、ありがとうございます!)
お楽しみいただけていたら嬉しいです。
登場人物達は、構想中のお話の脇役というか、準主役というか、という人達なので、その内にお目にかけれればな、と思っています。