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ユヅキとエラがどちらも不遇な家庭環境だった理由

 作品の中でもチラっと書いているのですが、ユヅキの魂は「オロレアの民」で、しかも「人魔(じんま)(古代種)」です。

 それも、女性(ルナバルトの奥さん)の魂でしたね。この人も人魔でした。


 この人魔、人を無意識レベルで魅了してしまうという恐ろしい能力を持っていますが、実は唯一、ニ親等までの血族には効かないか、逆の作用を及ぼします。それはそうでしょう。制御の出来ない子供の間に、下手をすれば家族に劣情を抱かせてしまいますから。


 そのために、虐待を受けることもしばしばあります。

 ユヅキも同様に、姿こそ普通の人間で日本人でしたが、魂は人魔のもの。それも輪廻した女性の魂だったせいで、ユヅキ自身も少し変わった子であり、達観し過ぎたところがあったので余計に親から嫌われました。


 無意識レベルで魅了する力の片鱗が、逆の作用を及ぼすのですからたまったものじゃなかったでしょう。

 幸か不幸か、都会育ちなので周りはユヅキに好感度の高い状態なので、家の外では平穏でした。とはいえ、すでに心を閉ざしている上に荒れていたので、踏み込んでくる友達や大人も居なかったようですが。


 唯一、武人である祖父に引き取ってもらったというのも、運が良かったのだと思います。

 かなりの武人の元に居られたというのは、ルナバルトの奥さんの魂が、強くあったならという消えない悔やみが引き寄せたのかもしれません。


 エラも同じく、親から酷い虐待を受けていましたね。

 人魔から生まれなかった人魔の幼子が、オロレアでも遠い過去から、間引きされていた理由がこれです。

 だからこそ、生き延びた人魔は集落を作ってひっそりと暮らしていたのですが。なかなかそこに辿り着ける人魔は居なかったということでしょう。


 力の制御を本能的に覚えて、上手く生きられた人魔も居るには居たのですが、元々の数も少ないので悪目立ちすることが多かったのです。人魔の力を知る現オロレアの王族でさえ、その扱いに困って見て見ぬふりをしたりしますから。対策をしても本腰まで入れない、という感じで。

 ゆえに、オロレアでも悪い伝承が残ったままだったりと、踏んだり蹴ったりなのが人魔の実情です。


 エラが黒い虎魔(こま)に生かされたのも、育ってから食べた方が理になると思われたからですし、エラの方はいつ死んでいてもおかしくありませんでしたね。


 と、書き始めると長くなってしまいました。

 ユヅキとエラが、どちらも不遇な家庭環境だった理由はこんな感じです。

 久しぶりに、ガチのネタバレでした。

 お楽しみいただけたでしょうか?



補足

 ただ、普通の人間が突然変異で人魔を生んだ場合だけで、人魔が人魔を生んだ時には能力の作用も反作用もありません。人魔は容姿だけでなく人格的にも優れている事がほとんどで、我が子に惜しみない愛情を注ぐことでしょう。

 月に居た科学者ダラスの奥さんと、その子どもである娘さんは、とても良い親子関係でした。まさしく親の深い愛情と、それを受けて育ったとても思いやりのある良い子でした。

(二人の最後を思い出してつらい……)


 

 


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