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Lonnecu side 新興宗教


「立ち去れぇ!!このケガレどもめ!!!」


何やら外が騒がしいと扉を開けて、耳に入った言葉がこれだったものだから、ロネクは面食らった。


「はい?」


「おぞましい行為を繰り返す異教徒め!死体に触れるなんぞ忌々しい!!」


真っ先に思ったのは、"あの行為"がバレたのか、ということ。


「ロネクさんっ!すみません!私のせいで…!」


だが、そういうわけではないらしい。人混みから死体のように顔を蒼白とさせて前へ出た女は、前に犯した死体の姉だ。


「ティーネさん、落ち着いて。どういうことですか?」


「はい、その、この集団がいきなり街へやってきて、『この街に葬儀屋はあるか』と叫んでいたものですから、ここをお教えしたんです。そしたら──」



「死はケガレだ!墓も葬儀屋も街から離すべきだ!!」


「ケガレで金を稼ぐ下卑た葬儀屋は、今すぐにここを去れ!」



「──こんなことに…」


「なるほど」


呆れ笑いつつ、発言から宗教団体か何かだろうと辺りを付ける。こういう手合いは無視するのが一番だ。だが、こう堂々と罵られて黙っているほど、ロネクは気が長くなかった。


ので、


「私は神父ではありませんが…少し、説教しましょう」


ロネクは聖人君子のように微笑んでみせた。


「なぜ、そんなに死を厭うのです?」


「死は神様から最も縁遠いもの!すなわち忌むべきものよ!!汚らわしいっ!」


「いずれ迎える終わりが安らかな心地であるよう祈るのはおかしなことですか?」


「死は憎むものだ!嫌うものだ!それが安らかだと?この異常者が!」


「そもそも、死を疎むような発言ばかりされていますが、あなた方のところでは死体はどう扱うのです?まさか、野ざらしのまま放置するわけじゃないでしょうね」


「ハッ、バカなことを。死体など、貴様のような卑しい者が勝手に処理するだろう。我々のような者に悪影響だから、お前はここを出ていけという話だ。論点をずらすな、これだからケガレは…」


「その論点とやらがおかしいからこうしてお話していますのに…やはり、私に神父様の真似事はできませんでしたか…」


憂いた表情を作ると、ティーネの同情の眼差しが得られた。これで、彼女の葬式はロネクに担わせてくれるだろう。


「全く、差別に侮辱。話になりませんね。近所迷惑です。お帰りください」


「何だと…!ケガレの分際で──」


男の言葉は遮られた。背後から男の肩を叩く者がいた。振り返ってその人物の姿を視界に収めた瞬間、男は口をつぐんだ。



「お止めなさい。見苦しい」



その人間は、女のようでもあったし、男のようでもあった。だが、性別なんて些末な問題だと思えるほど、美しかった。その存在だけで、宗教ができそうなほど。


「他の信徒から話は聞きました。また、あなたですか。そこの方に謝罪なさい」


「ヴィナス様っ!私は、あなた様のためにっ!」


「だから、わたくしの言うことが聞けぬと?」


「いえ、そういうわけでは。ですが…っ!」


「この期に及んで言い訳ですか?恥を知りなさい」


ロネクへの暴言で熱狂していた周囲が、静寂に包まれる。ある者は膝を付いて祈り、ある者は出会えた幸運に涙を流し、ある者は喜びのあまり失神していた。


集団の先頭で喚いていた男も押し黙るが、ロネクへ謝罪する気はないようだ。それを見てヴィナスはため息を吐く。


「ご迷惑をお掛けしました。…また後日、謝罪に参ります」


ヴィナスが指を鳴らすと、同じ服をまとった男女が現れ、失神した者や強情にこの場に残ろうとする者を抱えた。


混乱の後のやりきれない感情を残して、彼らは去っていった。

ヴィナスは全く予定になかったキャラです。なんか急に生えてきた

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