僕はマスクが外せない 1限目
僕の初めての恋は突然始まった。
4限目授業終わり、皆がそれぞれ自分のお弁当を持ち高校も2年生で、ある程度グループという物が出来ていた。
ところが僕は何処にも属することも無かった。いや無かったのでは無い。”出来なかった”が正しいのかもしれない。
その日も1人自分の机でお弁当のふろしきを解いていた、その時だった。
「それほんと?凄いね〜w」
クラスで言う一軍と言ったらいいのだろうか。そのグループが僕の目の前の机に集まって話していた。
こういう事は何度かあったしその日も少し机を後ろにずらしやり過ごそうとしていた。
その時一軍の中でも中核となる一軍の人物が僕の机に当たって僕の箸が落ちた。
その人物が僕が初めて恋をした人―柊あおい―であった。
柊は人当たりが良く誰にでも仲良くできて俺とは対照的な正にクラスの光だった。誰にでも優しく、そして綺麗であった。モデルをやってても誰も「嘘だ」なんて言わないであろうルックスをしていて、そして何より光っていたのが、その整った顔立ちであった。
柊「ごめんね…当たっちゃって…お弁当大丈夫?」
その一言がクラスのどこにも属せなかった俺にはあまりにも優しくて、そして暖かかった。
俺「だ…大丈夫…気にしないで……」
案の定キョドる、そして、いつもなら同時に自己嫌悪に浸る所だった。
柊「よかった…!!ほんとにごめんね!!皆〜中庭で話そ〜」
その時僕の初めての恋心は柊が落とした箸みたいに簡単に”落ちた”。
何気ない言葉がここまで暖かくそして鼓動を早くしたのも初めてだった。
これが柊あおいに恋をしたと分かった。初めての時間だった。