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恋の所労は私が直す  作者: 雅也
6/13

6話


                 6


 週末の金曜日、作戦を練る為に、翔と遥は、会社の帰りに、お好み焼き屋に向かった。


 日中、遥に この心のトラウマを乗り越えるには、元カノの美咲に会って、決着をつけるように言ったが、連絡どころか、今の居場所さえ分からない状態からのスタートなので、全く手探り状態から始めなくてはと思っていたが、遥が大学時代の女子と連絡を取って、今の美咲の状況を知っている友人が居たら、聞きだすと言う事から始める事にした。

 あれから一切、今でも、美咲から遥には、全くの連絡などは無く、とにかく、その友人達が頼りの二人だった。



「今日は私が奢るから、元気出して、翔」

 お好み焼きを頬張り、ビールを一口飲んだあと、遥は翔を励ます。


「色々と、ありがとう。 ホントにオレ、コレに関しては、ヘタレだな。 自分自身がイヤになる。 早く心のけじめを着けたい」

 翔も、小さく切ったソレを、頬張り、グラスを傾けた。


「取りあえず、大学時代の友達には、数人連絡しておいたから、何らかの収穫はあると思うから、期待してて」

「重ね重ね、ありがとう。 普通はココまでしてくれないよな、面倒くさがって」

「何言ってるの、翔は私にとって、大事な人なんだから、私に向いてくれるまで、頑張るから」

「それ、プレッシャーだぞ」

「あ、ごめ~ん....。でも、次は絶対に、私のモノだからね、翔は」

「予約か?」

「予約受付は、一名までにしてよね」

「はは、こんなヘタレなんて、誰も相手にしないから....」


 明日からの土日はお休みだ、最近は、遥が翔に気を使って、ドライブ、ショッピング、レジャーなどに誘ってくれているお陰で、遥と居る時だけは、明るくなってきた。

 その事に、翔は、遥に対して、深い感謝をしている。


 楽しい食事の途中、遥のスマホが着信音を鳴らした。

 名前は、先ほどの友人の内の一人で、素早い対応をしてくれたみたいだった。


「もしもし........」


 会話が始まった、あまり聞き耳を立てていると、遥に悪いので、翔もスマホを取り出し、ニュースを見ていた。


                  △


 会話を終えた遥が、複雑そうな顔をした。


「どうしたんだ?」

「あのね、ここで話せそうに無いから、場所を変えようよ」


 どうやら、この店内の喧騒の中では、話辛い事情もあるのだと思った翔は、遥の意見に同意し、場所を変えることにした。



 どうやら、美咲の最近の情報が、早くも一件目で知ることが出来たみたいで、翔の心がざわつき始めた。

(何なんだ、この感情は。 もう何年も経っているのに、この気持ちは....、オレってまだ美咲の事を....、)


 複雑な感情が、翔を覆う。


「何処にする? 遥」

 少し考えてから、遥が。


「翔の家でいいかな? まだ8時前なら、行っても良いよね」

「それはもちろん良いが、一応、母さんに連絡しとくから」

「うん、お願いね。 でも、うふふ、おばさんに会うの久しぶりだわ~」

「萌も可愛くなったぞ」

「え~、あの萌ちゃんが?」

「ああ、いま大学4年生だ」

「あれ~早いものね、時が経つって」

「うわ、おばさんみたいな言い方....」

「おばさん言うな~!....」


 二人で大笑いして、会計を済まし、翔の家に二人で向かった。



                  ◇



「ただいま~!」

 縣家の玄関を開け、翔が帰った事を知らせる。 すると、奥の方から母親....、では無く、妹の萌が出てきた。


 あがた もえ22歳 大学の4回生である。

家庭的だが、ボーイッシュで、とにかく人の面倒見が良い、兄 翔の事が大好きで、とにかく兄妹仲が良い。 遥とも仲が良く、数年以来の付き合いだ。


「お帰り、お兄ちゃん。 はるちゃん、待ってたよ~、早く上がって上がって....、」


 

入室を促し、3人揃って両親の居るリビングに一度通される。


「おじさんおばさんこんばんは、こんな遅くにお邪魔して、すみません」

 すると、漫勉の笑みで、母親の あがた 由美ゆみが。

「あら~、久しぶりね遥ちゃん。 話は聞いてるわよ、いつもいつもウチの息子がお世話になって、ありがとうね、ダンナと共に感謝してるのよ~」

 続いては父の あがた まことが。

「はるちゃん、コイツの付き合いありがとな、本当に家内と共に、感謝しているんだ、これからもお願いしてもいいかな?」

「はい、こちらこそお願いします」


 何だか、結婚の承諾でも貰ったような翔と遥だった。

 が、その雰囲気を破ったのは、萌だった。

「お母さん、今日って、はるちゃんうちに泊まって行ってもいいよね?、私と一緒に女子トークしたいから」

 この言葉に、翔が、 やっぱりな 的な顔をする。

「やっぱな~、萌はそう言うと思って、遥にお泊りセットをオレが与えておいた」

「さすが!お兄ちゃん。 分かってるぅ~」

「実はオレも、遥とまだ喋りたいからな」

 この言葉に、家族が反応した。


「お兄ちゃん、はるちゃんに告るの?」

 一瞬間を置き。


「ン、な訳まだ無いだろ~」(まだ)


 縣家の面々が、がっくりと落ち込んだ。

 その顔を見てから、翔が、早く2階にある自分の部屋に行こうと、促した。

「遥、2階いくぞ」

「うん」

 そう言って、二人で行こうとしたら。


「私も良いよね?」

 萌が聞いてきたので。

「ああ、おいで」

「うん、トークセット(お菓子類)を持ってくから、後でいくね」

「分かった」


 そう言って、翔と遥は先に翔の部屋に、上がって行った。




 その後、リビングに残る夫婦の会話。


「ねえあなた、あの二人、いつになったら、くっ付くのかしらね」

「まあ、時が経てば何とかなるんじゃないかな? だが、全くもって、翔のヤツ、女心が分かって無いな」

「あら、分かって無いのはあなたよ」

「え?」

「だって、はるちゃんは、もう決心がついているみたいなのに、翔がヘタレでしょ? それを直しに来たみたいよ、今日は」

「それって....、」

「もうすぐだから、待ってなさいな、うふふ」

「なんだ??」


 由美の言葉の意味が、イマイチ理解できない誠だった。


                 △


「何か久ぶりに来るな~、翔の部屋」

「全然変わって無いだろ?」

「そこがいいんだよね」


 翔の部屋に入って、ローテーブルの前に座り、翔が早速聞き出す。


「さっきの電話の事だけど....、」

「ちょっと待って、萌ちゃんが来てから話すから」

「なんで?」

「今回は、女性の意見が大事よ」

「そうか」


 と言っているうちに、トレイにトークセットを持って、萌がやって来た。


 ローテーブルの真ん中にトレイを置いて、萌もテーブルの前に座った。


「萌ちゃんも聞いてね、コレからの話」

「もしかして、あのお兄ちゃんの事?」

「そうよ」


 夕食時にかかって来た電話の内容が、今から兄妹に話される。






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