9-8. レベルアップと不機嫌さん(2)
≡≡≡≡ステータス ②≡≡≡≡
☆持ち物☆
制服★ レースのドレス 海軍制服 浴衣(紺) 学生バッグ★ 普通の靴★
潮干狩り基本セット レターセット(白) スチル用フレーム♡ 記念ボールペン(虹) 名刺 竜の涙(極小)50g
Pブラシ Pトリミングセット(バリカン付) Pフリスビー
P骨カルガム
B『犬種別☆おしゃれカット集』
B『ヴェリノのお料理メモ (焼きそば)』
T『ミラクル・リゾートへの旅』2枚
☆称号☆
◆潮干狩り初心者 ◆なりそこないライフセーバー ◆企画初心者 ◆生き物ふれあい中級者 ◆幸運の使者見習い・初級 ◆恋愛強者 ◆諦めない心 ◆ミス学園祭 ◆テイマー見習い・初級
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「こっちはあんまり…… お、この 『竜の涙(極小)』ってのが売れるやつだな!」
【とっておくとモンスターとのエンカウント率が……】
「上がるのっ……!?」
【いえ、冗談ですよwww そもそもこのゲームにモンスターなんていませんからww】
「あー…… だよな」
うぉん、とチロルがひと声吠えてしっぽを振る。
【けど、称号の 『テイマー見習い・初級』 はかなり貴重です】
チロルの解説によると、『テイマー見習い』 は、レア召喚獣との使い魔契約を結ばないと得られない、稀少な称号であるらしい。
【効果は、動物に懐かれやすくなります。初級では通常より+1%ww】
「少なっ……」
【見習いですからww でもこれで、ペットショップのバイト募集に応募できるようになりますよww】
「おおおっ、やりたい!」
【では、募集があればお知らせしますねwww】
「チロルぅっ! ありがとな!」
がばりと背中にとりつき、頬擦りをする。
今さらだけど、ガイド犬って色んなことができるんだなー!
「草生やすだけじゃないんだなー!」
【wwww 当然ですwwww】
さて、と、次は交遊値だけど……
「今回はそんなに変わんないなー?」
「いえ、それなりにすごいと思います。ジョナスさんの好意値がもうすぐ1,500ですし」
「それより、どうして 『エルミアさん』 の誕生日が分かってるのかしら」
「えっ……」
目敏いサクラとエリザの指摘に、慌ててしっかりとステータス画面を見直す。
≡≡≡≡ステータス ③≡≡≡≡
☆プレイモード☆
モブコース(好意値半減)/友情
称号効果 +25%
☆交遊 (PL)☆
◆エリザ・テイラー : 公爵家令嬢・学生・ルームメイト
◆サクラ・C・R : 子爵家令嬢・学生 ※誕生日 07/07
◆エルミアさん: 男爵家令嬢・学生 ※誕生日 05/10
◆リーナ2525 : ショップ 『リーナの万屋』 店長
◆ねこねこねこん : ショップ 『Mon Chaton』 店長・猫型獣人
◆アイリス・グリーン : ショップ 『アイリス&ヴェーナ』 店長
◆ののみや しの : ショップ 『志乃』 店長
☆交遊 (NPC)☆
◆エルリック・クレイモア : 王子
(好意値)1,333 (友情値)1,110
◆ジョナス・ストリンガー : 侯爵家次男
(好意値)1,413 (友情値)760
◆ミシェル・ブロックウッド : 伯爵家長男
(好意値)1,250 (友情値)880
◆イヅナ・T・J・クルス : 海運王家・男爵家長男
(好意値)705(友情値)840
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「確かに、ただ飯食っただけにしては好意値上がってる! んで、ルミたんの誕生日が明後日!?
どうしよう? プレゼントかな? 取りあえず、バースデーカード送るっ?」
慌てる俺。
「好意値はカホールちゃん効果でしょうね。後はあの 『全員あーん』 が実は嬉しかったとか」 とサクラがジョナスの分析してくれる一方で、エリザは 「エルミアさんの誕生日、聞いたのではないの?」 と確認してくる。
「いや、今、初めて知った」
「さては」
キラリ、と一瞬光る、エリザの目。
「カバンをお出し」
「ん? これ?」
俺の学生バッグを渡すと、エリザは 「失礼」 と断りつつも猛然と中を探り出した。
「きゅうんっ! きゅんっ」
エリザのパピヨン犬、アルフレッドも一緒にカバンの中を覗き込んで、お手伝いしている。
「きゅんきゅんっ?」
「いえ、それではないわ」
「きゅんっ!」
「そう、それよ!」
アルフレッドが、何か小さいカードみたいなものを咥えて、しっぽをちぎれんばかりに振りつつ俺に差し出した。
「おっ、ありがとな!」
受け取って見てみると……
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆
☆ ☆
☆ エルミアさん だよ! ☆
☆ ルミたん てよんでね ☆
☆ ☆
☆ 血液型: B型 ☆
☆ 誕生日: 5月10日 ☆
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆
「なんて図々しいのかしら?」
「きゅんきゅんきゅんっ!」
眉をひそめるエリザを宥めるように、アルフレッドが、胸にすりすりと身を擦り寄せて鳴く。
おっぱいが微妙に変形してぽよぽよしてるのが……ふぅぅぅっ。御馳走様です。
「ヴェリノさんのお友達になりたがってることは、間違いないでしょうね」
「………………ふんっ」
サクラが言うと、エリザの眉の間のシワが一段と深くなった。
うーん。エリザは奥ゆかしいから、押してくるタイプの子は合わないのかもしれないな?
……でも、こんなカードをこっそりくれるなんて、きっと寂しんぼさんなんだろうと、俺は思う。
「喋ってみたら、けっこう面白い子だよー?」
「そうかもしれませんね」
サクラがうなずいて、トイプードルの頭を撫でる。……と。
エリザが、急に立ち上がる。
「あたくし、お先に失礼させていただくわ」
そのままスタスタとベッドに向かい、サッと中に潜り込んだ。
「おう、お疲れー!」
「じゃあまた、次は日曜ですね。集合は6時ですよ」
「…………」
俺とサクラが口々に言うのに、珍しく返事もしないまま。
エリザはログアウトしてしまった。
「どうしたんだろ? トイレかなー?」
「さあ?」
クスッと笑うサクラ、何か知ってるんだろうか。
けれど、聞く間もないまま、サクラも 「ごめんなさいねー、またピクニックで!」 と、ログアウトしていってしまった。
残された俺は、ひとり考え込む。
――― エリザとエルミアさんかぁ……
何とか、仲良くなれる方法はないのかなー?
「そうだ!」
俺はイソイソとレターセット(白)を取り出すと、手紙を書き始めた。
宛先は、もちろん、エルミアさんだ。
読んでくださりありがとうございます!
召喚授業・初級編これにて終了ですー。
次はいよいよピクニック編♪ 話の中ではまだ5月ですが、今の季節にはちょうどですよね←こじつけw
更新は、少々お時間いただきまして、10月頭予定でございます (遅くなってすみません)
ではー、良い連休をお過ごしくださいませ。
感想・ブクマ・評価☆いつもめちゃくちゃ感謝しております!