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9-1. 授業を受けよう(1)

 後夜祭の翌日、5月8日は金曜日。

 ――― 今日からしばらくは、普通の日々が始まる。


「俺、このゲームで普通の授業受けるの初めてー!」

「をんっ♪」


「今更ですけど、初心者でそこまで企画に入り浸るのがバカなんじゃないかしら? 授業受けたいなら、ちゃんとおっしゃい!」


「いやいやいや、だって、企画(そっち)の方が楽しかったから! ありがとなー、誘ってくれて」


 上から目線で詫びてくれるエリザにお礼を言うと、エリザは 「ふんっ」 とそっぽを向き、かわりに腕の中のパピヨン犬(アルフレッド)が 「きゅうん♡」 と返事してくれた。


「ヴェリノさんは、早く勉強レベルを上げた方が良いので、授業をなるべく受けてくださいね」


 サクラは、トイプードル(りゅうのすけ)を肩に載っけて歩いている。控えめにいって、めちゃかわいい。


「俺としては、そんなに頑張らなくていーかなー。NPC(おとこのこ)の好意値も、これ以上はいいし……」


「ミシェルさんの 『お姉ちゃん、教えて』 イベントを体験したくないんですか?」


「………………したい」


 その後、学園への道々にサクラとエリザが説明してくれたところによると。

 NPCとのイベントは、好意値・友情値はもちろんのこと、俺の各種レベル、持ち物、称号……etc.などとも深く関わっているらしい。


「ヴェリノさんは好意値・友情値が上がるイベントは、とっても順調にこなしてますけど…… この後は細かな発生条件が必要となるものがメインになってきます」


 恋愛ゲームはこれからが本番なんですよね、と言うサクラの笑顔は、達人のそれだ。


「ま、このゲームは緩い方だから安心してちょうだい!」


 エリザいわく、厳しい恋愛ゲームでは、必要レベルを満たすだけではなく、さらに 『好意値○○以下』 のような条件がつくらしい。


 条件レベルに達しつつ、攻略キャラを不自然なまでに避けまくって好意値が上がらないようにする…… 当然、他のイベントは犠牲になる。


「1つのイベントのために同じ攻略キャラを、周回しなきゃならないのよね…… もはや愛も恋も甘台詞も、全てどうでも良かったわ……」


「わかります」


 エリザの思い出しボヤキに、うんうん、とうなずくサクラ。

 アレはMMOじゃないから、見たイベントはスキップできたのがまだ救いでしたねー、などと言っているが……


「…………」


 ついつい、スキップされた攻略キャラの気持ちを考えてしまう俺である。



 さて、そんな話をしているうちに、学校に着いた。

 学園の立派な門を通り抜けたところで、空中に手を伸ばし横にスライドさせると…… 出た。

 教室割だ。


 このゲームの学校は、教室ごとに受けられる授業が決まっていて、生徒は好きな授業を受けるために教室を選ぶようになっている。


「さぁーて、どれにすっかなー!」


 俺とサクラとエリザは、顔を寄せあって教室割を覗き込んだ。



 ≡≡≡≡≡ 教室割 ≡≡≡≡≡


 ☆1階

 1A:魔法理論・基礎 (8/30)

 1B:占い学・初級 (18/30)

 1C:召喚術・初級 (9/10)

 1D:家庭科 (25/30)


 ☆2階

 2A:魔法理論・応用 (10/30)

 2B:占い学・中級 (25/30)

 2C:召喚術・中級 (10/10)

 2D:美術 (22/30)


 ☆3階

 3A:講義室 (使用中)

 3B:占い学・上級 (22/30)

 3C:召喚術・上級 (10/10)

 3D:音楽 (18/30)


 ☆4階

 4A:企画会議室 (15/50)

 4B:企画会議室 (10/50)

 4C:企画用物置 (3/ー)

 4D:企画用物置 (1/ー)


 ☆体育館

 A:実践魔術・初級 (25/30)

 B:実践魔術・中級 (27/30)

 C:実践魔術・上級 (20/30)

 D:ダンス (18/20)

 E:演劇 (27/30)


 ☆運動場

 A:体育  (20/25)

 B:飛空術 (15/15)


 ☆裏庭

 幻想生物学 (21/25)


 ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡



 大きなイベントの後で休んでいる人も多いのか、今日は人気の授業も空きがあるな。


「召喚術初級と実践魔術初級が……! 両方空いてるぅぅ!」


 悩む俺。


 実践魔術初級は、将来的に転移術を会得しようと思うなら受けておくべき授業だ。


 しかし、召喚術初級は、文句なく楽しそうだ。


「どちらかといえば、召喚術の方がなかなか空きませんよ」 


「なら召喚術だな! サクラは?」


「音楽にしてみようと思います」


「あたくしは実践魔術・上級に行くわ」 と、エリザ。


「転移術ってあまり必要ないと思っていたけれど、使えれば便利ですものね!」


「いいなー、俺もやっぱり実践魔術・初級にしようかなー …… でも、召喚ってしてみたいし……」


 ほんと、迷う。


「使えなくても、わたしが運んであげますよ…… 失敗は多めに見てください、ですけど」


「ふっ、あたくしなら絶対に失敗しなくてよ!」


 サクラとエリザが口々に言ってくれるので、俺は結局、召喚術の教室に行くことにしたのだった。


読んでくださりありがとうございます!


久々に、普通の日常生活でございます。あーんど、初授業! ……どうなりますかは、また次の回で(笑)


ではー!季節の変わり目、体調などお気をつけてください。


感想・ブクマ・評価☆、めちゃくちゃ感謝しております!

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[一言] >ついつい、スキップされた攻略キャラの気持ちを考えてしまう俺である。 こういうところがヴェリノたん( ˘ω˘ ) そして召喚術キターーー!!!! これは新キャラの予感( ˘ω˘ )
[良い点] なんと、80話を超えての初授業!(笑) いやー、このまま授業なんてものとは縁を切り、いっそ清々しいまでの勉強レベル1を貫くのかと……。 ……ないか、さすがに。(笑) とりあえず、お嬢さん…
[一言] 授業シーン突入ですね (*´▽`*) 楽しみにしておきます☆彡
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