表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/340

8-1. 後夜祭(1)

 5月7日、午後5時40分。


 俺たちは寮の部屋に集まっていた。

 目的は、俺の全身コーディネート…… つまりは制服や軍服でなく、ちゃんとドレスを着るように監視、ってことだ。


「あたくしが貸してあげても良かったけれど」


「やはりミシェルさんからのドレスで正解ですね」


 買い物の後で早速(さっそく)壁に飾った、本祭の後のグループ集合スチルの前で、ウンウンと頷きあうサクラとエリザ。

 そして、しっぽを盛大にふって鳴いてくれてるガイド犬たち。


「そっかなー?」


 エリザから借りた杖を持って、鏡の前で振ってみる俺である。

 確かにこうすると、魔法少女っぽくてカッコいい! かわいい!


 ――― 前ミシェルに買ってもらったときには、胸と肩を見せすぎかつ、スリットがパンツギリギリまで入ったデザインが、何だか恥ずかしかったんだが……


 慣れたらどうってことないな、うん!


 折角似合うんだし、楽しまなきゃ損だぜ!


 ――― こう思えるようになったのも、イヅナのおかげだなー! プレイヤー(おんなのこ)だもんな、俺!


 エリザのドレスは、相変わらずの、派手になりすぎない品の良い赤。

 サクラのドレスは……


「あーっ、それ前に買った? 可愛い! サクラにぴったりだな!」


「はい、エリザさんからのプレゼントで……」


 サクラが嬉しそうにくるりと回ると、透けるような薄い布を何枚も重ねた薄紫のスカートが、ふわーっと広がった。


「おおおっ! さすがエリザだぜ! 親切さ炸裂だなっ!?」


「ばっ…… ちっ、違うわよ!」


 誉めたのに、真っ赤になって否定するエリザ…… やっぱり、筋金入りの照れ屋さんだな!


「あたくしは……っ、ただ……!」


「早めの誕生日プレゼントで、くれたんですよね?」


「そっ、そうよっ。だからもう、サクラの誕生日はプレゼントないのよ!? ざまぁみなさい! おーほっほっほっほ!」


 ゲーム内で誕生日が祝えるなんて、初耳だな。

 いいこと聞いたぞー!



「サクラ誕生日いつ?」


「7月7日です」


 をん、とチロルが鳴いて 【交流プレイヤーの情報が加えられましたw】 と教えてくれる。


「2ヶ月後かー! 俺も何か考えよっと!」


「お気遣いなく」


 サクラはニコニコしてそう言ってくれるが、絶対に皆で集まって、お祝いとかしたいなー!

 楽しそうすぎる!


【7月7日といえば、『七夕祭り』 ですよw】


 チロルが俺の足にもしゃもしゃ絡まりながら、教えてくれる。


「それって 『そうめんの日』 のこと?」


【さぁww 当日までのお楽しみですww】


 ……へぇ……。

 7月7日っていうと、現実の世界では高級食材の 『そうめん』 を食べる日なんだよね!

 ゲーム(こっち)では何やるのかな? めちゃくちゃ気になるぜ!


 それはさておき。


「エリザはー? 誕生日いつ?」


「人の誕生日を聞くときは、自分から言うものよっ」


「俺? 俺は12月25日!」


 『ケーキとプレゼントの日』 なんだぜ!

 俺は誕生日だから、2個プレゼントを貰える。毎年めちゃくちゃ楽しみにしてるんだよな!


「で、エリザはー!?」


「う……ふ、ふんっ! 自分が覚えやすい誕生日だからって、偉そうにしないでいただける?」


 折角きいたのに、エリザはツーン、と横を向いてしまった。


 言いたくないのかな?


 ――― エリザのことだから、祝われるとテレる、とか、そういう理由だろうな。


 ……よし。

 いつか絶対に、探りだしてやるぜ……!


 密かに決意する、俺であった。



 そして。


「キュンキュンキュンッ」


「キュウンっ」


「クゥン、クゥン……」


 サクラのトイプードル(りゅうのすけ)、エリザのパピヨン犬(りゅうのすけ)、それに俺のシェルティ犬(チロル)…… 3匹の犬たちがそれぞれに鳴き、時間が来たことを知らせてくれる。


 これからエントランスの大時計で、NPCの皆さん…… エルリック王子、ミシェル、ジョナスにイヅナと待ち合わせして、皆で後夜祭に行くんだ。


 後夜祭では何をするのか、っていうと、飲み食いしながらワイワイ楽しくお喋りしたり花火みたりするらしい。



――― しかも、参加費無料! (重要!)


飲食代、タダ! (最重要!)


なんか記念品まで貰えるらしい!? (かなり重要!)




もう、楽しみすぎるぜ ―――!




読んでくださいまして、どうもありがとうございます!


ようやっと始まりました後夜祭ー!


今年はリアルでお祭りに行けないぶん、アレコレと妄想しながら書きました! ←浸りすぎてしばしば筆がとまりがちw


これからしばらく毎日更新予定です。

ガヤガヤと賑やかな章になりそうですが、楽しんでいただければ幸いです m(_ _)m


感想・ブクマ・評価☆、いつもとっても感謝しております!


でーーーはーーー!

暑いので、どうぞご自愛くださいませー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[良い点] ヴェリノ……いよいよ本格的に目覚め始めたな、そっちに……。 自然と男子を女子化する……おっそろしいゲームやでえ……!(笑) [気になる点] なんと、そうめんが高級食材になっているとは………
[一言] すっかりヴェリノたんがおんなのこに( ˘ω˘ ) いいぞいいぞ( ˘ω˘ )
[良い点] 浸っていた分、お祭りの内容充実してそうです。 しかし、早い誕生日プレゼントで、本当の誕生日にプレゼントなしでざまあって、変な悪役令嬢ですね。 7月7日のそうめんって、現実でもあるのですか?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ