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輝ける陽のあたる世界~ツンデレ悪役令嬢と一緒に幸せ学園生活!のんびり日常するだけのVRMMO~  作者: 砂礫零


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閑話 5 ~エリザとサクラとお買い物(4)~

 俺とエリザ、サクラ、イヅナはおしゃべりしながら 『リーザの万屋』 をあとにした。足元では、もふもふガイド犬たちが追いかけっこするみたいに前後しながらついてきている。いつ見ても、和むなあ。

 途中、ペットショップに寄り、夏に向けてチロル用の冷感シートを買ったら、いよいよ本日のメイン! 

 呉服専門店 『志乃』 に到着だ。


「うっわあ! 豪華!」


 店のショーウィンドウには、重たそうな和服が長い袖を広げた状態で飾られていた。

 艶のあるクリーム色からピンク色のグラデーションになっている生地に、大小色んな種類の花が丁寧に描きこまれている。

 俺は着物に詳しくないけど、すでに芸術品レベルってことだけはわかる。

 こういうのが 『逸品』 ってやつなんだろうな。

 ちなみに値段は、15万マル。

 俺の喉から意図せずして 「げっ」 という音が漏れる。気分は初級ダンジョンボスがなぜか強くて全滅させられたときのアレだ。


「15万!? 誰が買うの!?」


「重課金者か、悪役令嬢コースで3・4周プレイしている人、っていうところでしょ」


 バカバカしい。とでも言いたそうに、エリザが鼻を鳴らす。


「高価なのは理由があって、1点1点、手描きだからなんですよ」


 サクラがカメラを出して和服のスチルを撮りながら、説明してくれた。

 チロルがしっぽを振る。


「ぅおんっ、ぅおんっ」

【未成年の課金は、保護者の了承が必要です】


「いや買わないよ!?」


「ぅおんっ」

【wwww】


 チロルが生やした草をバックに、俺はイヅナの服の端を引っ張り、頭をさげる。

 

「イヅナ! ごめん! 買ってあげられない!」


「いや、気にすんなよ、ヴェリノ! オレは、あんたと…… あんたと…… サクラと、デートできただけで嬉しいから」


 イヅナは爽やかに、俺の肩を軽く叩いて慰めてくれる。

 そもそもデートで(みつ)ぐのはNPCの仕事でしょ、とエリザがツッコみ、イヅナが笑いながら賛同した。


「じゃ、オレ、みんなにケーキおごるぞ! どうだ?」


「いいよ、イヅナ! 今日は、俺がみんなにおごりたい!」


「そっか? 悪いな! じゃ、この次はオレで!」


 このままカフェに流れようか、という雰囲気になったとき。

 あの、とサクラが口を開いた。


「そのショーウィンドウのは、浴衣じゃないです。浴衣は、店内の浴衣コーナーで、だいたい5000マルから、あると思いますよ」


 なら、呉服屋に入ってみるか。

 俺はエリザ、サクラ、イヅナに続いておそるおそる、格式高そうな筆塗りあげの一枚板看板の下をくぐった。

 店内にはショーウィンドウに負けていない華やかな布が、俺たちの目の高さに合うようにゆったりと展示されている。

 浴衣コーナーは、サクラの言うとおり、その一角にあった。

 ここだけは浴衣を着せて髪を結ったマネキンが飾ってあって、かわいい感じになっている。

 気になる値段は、と。


「おっ、マネキンのが15000マル! こっちのラックは5500マルか! 高すぎなければ、買えるな!」


 ほっとした。けど、種類がありすぎて何を選べばいいか、ピンとこないな。

 それはイヅナも同じらしく、俺とイヅナは結局、エリザとサクラに選択を任せることにした ―― のは、ちょっと、失敗だったかもしれない。


「おそろいで似合って可愛いとなると、やはりコレかしら」


「あっ、コレもイイと思いますよ!」


「あら、これも」


「ついでですから、これも着てもらいましょう!」


 エリザとサクラの買い物は、とにかく長い! そして、めちゃくちゃ量が多い!

 なんで、こんなに沢山のものをおしゃべりしながら見て、疲れないんだろう?

 楽しそうに浴衣を選んでくれるのは、もちろん有り難いんだけどね。


「え…… こう言っちゃなんだけど、まだ、試着あんの?」


「おっ、これもオレたちに似合ってるんじゃないか? さすが、サクラのチョイスはセンスあるな!」


 俺が次第にゲンナリとしてき、イヅナが次第にイキイキとノってきたころ ――


「コレね」 「ですね」


 サクラとエリザは、やっと、うなずいたのだった。

 肌触りのすごく良い、派手すぎず地味すぎない一品だ。

 ネイビーブルーの生地に、和風っぽい花と葉っぱがバランスよく散りばめられていて、かわいいけれど下品じゃない。


「イヅナさんはもちろんですけど、ヴェリノさんも背はそこそこあるので、大きな柄が似合いますね。それに花模様も可愛いです」


「ふっ…… さすがはこのあたくしのチョイスだわ!」 

 

 サクラとエリザが満足そうにうなずく。

 俺も、この浴衣はけっこう気に入った!

 イヅナも何度も鏡を確認して、嬉しそうだ。


「な、イヅナ! 諦めないで良かっただろ?」


「そうだな…… って、ちょい待て! オレ、これ着るの!?」


 ふと我に返ったかのように慌てるイヅナに、エリザがピシリ、と言い放った。


「往生際が悪くてよ?」


「なんだって!?」


「このあたくしの選んだものを! 着たくないと言うつもり!?」


 でた、エリザの悪役令嬢ムーヴ!

 今日もお疲れさんです!

 けど、この件に関してはほんと、エリザが正しいと思う。


「いいじゃんイヅナ! 俺とおそろいにする、って約束だっただろ? いいかげん、決めよう!」


「心配されなくても、イヅナさんに良くお似合いでしたよ?」


「えっ、ほんと!?」


「ええ、もちろん」


 サクラから、ほんわかした笑顔を向けられ、イヅナはやっと納得したのだった。

 さすが、サクラだ。


 だが、それだけでは終わらなかった ―― なんと、この浴衣、一着12,000マルもしたのだ!

 予算の倍以上……っ


「ええええ! まじですか!?」


 レジで思わず叫ぶ俺に、サクラが 「それはどっちかというと、ピンな方ですね」 と説明してくれた。


「なにしろ綿紅梅の50着限定品ですから。現実世界(リアル)の値段に比べたらこっちは5分の1以下ですよ。ある意味でお買い得です」


「なんか良くわからんけど、そうなのか……」


 俺は全員の顔と、腕のなかの浴衣を交互に見比べる。


「早くなさいよ、ヴェリノ」 と扇を緩やかに動かしながら言うエリザの心は 『まさか、あたくしたちの労力を無駄にしないでしょうね!?』 だな。

 サクラは 『お買い得なんですよ、本当です!』 だ。

 そしてイヅナは 「ん? どうした、ヴェリノ?」 と首をかしげた。


「やっぱり、オレが買ってやろうか?」


「いや、いい…… 俺が買う約束だし!」


 俺は、意を決して財布から3万マルを引き抜いた。

 ヒュウウウ……

 俺の気持ちにリンクしたかのような、寂しい効果音。

 ああ、出会ったばっかりなのに、一瞬でサヨナラ、俺の万マル札 ―― また会う日は永遠に来ないかもしれないけど、俺は後悔なんてしない!

 しないんだ……!

 

 だってまだ千マル札がこんなにあるから日常生活は余裕だし、着ていく浴衣が決まって夏祭りもますます楽しみになったしね!


 ―― このあと俺たちは船に乗ってケーキ屋 『Mon Chaton』 へ行った。

 エリザとサクラにお礼も兼ねてケーキをおごり、ついでに俺とイヅナも季節のマスカットショートなんかを食べちゃったりして、みんなで楽しくおしゃべりした。

 最終、財布の中身は4,820マルと 『普段なみ』 に戻っちゃったけど……

 みんなで買物できて、いい1日だったな、って思うんだ。


「と、まだこれから、後夜祭があるぞ!?」


「そうだった!」


 ますます、いい1日になりそうだ ――

読んでくださり、ありがとうございます!


これにて閑話5は終了です。

……何も閑話にすること無かったんじゃ、って感じでイヅナとの仲が変なことになっていますが(汗) それほど好意値はまだ上がってないはずなので無問題……!


次回はいよいよ後夜祭!

更新予定は…… 今週来週とバタバタしそうで目処が立っておりませんが、来週半ばを目指して頑張ります。しばしお待ちくださいませーm(_ _)m


でーーはーー!

めちゃくちゃ暑いので、熱中症などお気をつけください!

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◆日常系の異世界恋愛作品です◆ i503039 

バナー制作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[一言] くぅ~!!これは必要経費なれど、なかなかに手痛い出費ですな~!(泣) それにしても、イヅナは単純な奴かと思っていたら、なかなかに良い感じの内面を抱えたヤツですね! これ、深みにハマったら…
[良い点] >重課金者か、悪役令嬢コースで3・4周プレイしている人 ゲーム中でのお金持ちの表現の仕方が最高です!ww [一言] 綿紅梅を知らなかったので勉強になりました (*´▽`*) 数話前の『女…
[良い点] なんだかんだ言って、ギリギリ買えるレベルでのチョイスをしてくる女子2名が恐ろしい……! これって確信犯ですよね、ね! うひょぉー……。
感想一覧
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